今年の中秋の名月は見事でした。それにスーパームーンもほぼ完璧に見ることができました。と、いう訳で”月”の句を中心にならべました。句会での出句に加え、あれこれ駄作や独りよがりな句も加えています。きびしきご批評をお待ちします。
年長(た)けてこの月を愛づたのしさよ
大き湖(うみ)月を抱きて静まれる
句座黙(もだ)すうつくしき月の滴りに
鐘響くこもりく初瀬雨月また
燭を消し十六夜愛づる静かさよ
みみず鳴くびわ湖への道闇深し
韻友(いんゆう)と画友誘ひて登高す
あちこちに炊(かし)ぐ煙や野分晴
灯も要らぬ酒一壺(いっこ)あり居待ち月
マラルメの詩(うた)吟じつつ秋思かな
宇宙から宇宙訪ふ月今宵
友よりの書信届くや二日月
灯を消してただ月を見る静かさよ
こもりくは菊日和かな未来鐘
えびふりゃーみそかつきしめん秋渇(あきがわき)
年長(た)けてこの月を愛づたのしさよ
大き湖(うみ)月を抱きて静まれる
句座黙(もだ)すうつくしき月の滴りに
鐘響くこもりく初瀬雨月また
燭を消し十六夜愛づる静かさよ
みみず鳴くびわ湖への道闇深し
韻友(いんゆう)と画友誘ひて登高す
あちこちに炊(かし)ぐ煙や野分晴
灯も要らぬ酒一壺(いっこ)あり居待ち月
マラルメの詩(うた)吟じつつ秋思かな
宇宙から宇宙訪ふ月今宵
友よりの書信届くや二日月
灯を消してただ月を見る静かさよ
こもりくは菊日和かな未来鐘
えびふりゃーみそかつきしめん秋渇(あきがわき)
今晩は!!
しばらく続きました秋日和も、明日から天気が崩れそうですね。今年は一段と秋の深まりが早いように覚えますが、いましばらくこの心地良い秋を楽しみたいものです。
句座黙(もだ)すうつくしき月の滴りに
観月の吟行句座との設定と想われますが、月の
美しさはただ黙ってお月さまを見上げるのみです。
美しい月光の明かりを、「月の滴り」との措辞の表現が
素敵です。
燭を消し十六夜愛づる静かさよ
十六夜の月の美しさを眺める時、人工の明かりは
野暮と云うものですね!!。燭を消し、青白き月光の
うす明かりに浸るのみです。僭越ながら「静かさよ」は
「静けさよ」との方が韻文らしく感じますが如何で
しょう?
みみず鳴くびわ湖への道闇深し
道路の燈火などまったくない田舎道は、まさに「真の
闇」ですね!!。真っ暗な道を車のライトを頼りの
琵琶湖への道は、目的地へ到着するまでは不安な
ものです。
その辺りの雰囲気が「みみず鳴く」の季語とぴったり
です。
灯も要らぬ酒一壺(いっこ)あり居待月
月見をしながら、月明かりのもとで一献酌み交わす
との趣旨のようですね!!。やがて酔いが回れば
己が太鼓腹を叩き、腹鼓です。・・・?童謡の証成寺
の狸囃子のようです。
灯を消してただ月を見る静かさよ
前挙句の燭の御句同様、美しい月見には、火灯り
は野暮のようですね!!。又、僭越ながら「見る」は
「観る」のほうが相応しいとも。そして「静かさ」は「静け
さ」の方が韻文らしく思うのですが如何でしょう?
えびふりゃーみそかつきしめん秋渇き
名古屋弁の方言使いのこの御句は愉快ですね!!
下の句を添えて見たいと思います。
くうてくうてもうみゃーでかんは
以上の句を選ばせて頂きました。
桜の花と同様、お月様もそうですが、余りにも美しい
ものは俳句で詠む事は至難の技ですね!!。
自然の与えてくれるものは、それだけで芸術であり
美しいものには「言葉は不要」とも思う事があります。
ただ、黙って観る、聞く事が感じる事につながるよう
です。心で詠み、心で詠うとも思えるのです。
その為、「桜」、「月」の兼題で小生はうまく詠めた試し
がありません。
素晴らしい名月の写真と俳句 堪能しました。敢えてその中から次の句を頂きました。どうやらゆらぎさんは琵琶湖が大変お気に入りのようですね。
年長けてこの月を愛づたのしさよ
同感です。何故か先を思うよりも振り返ることが多くなってきたように思う。これが年長けたことなのだろうかと思う。
大き湖月を抱きて静まれる
景の大きな句ですね。それだけに作者の湖への思いが伝わってきます。
みみず鳴くびわ湖への道闇深し
みみず鳴くびわ湖への夜道は深いのでしょうけど、一方では作者の今追求の詩芸文学を極める道もどこまでも深く、向こうが見えない闇の中にあるのでしょうか。作者の高い志が感じられます。
灯も要らぬ酒一壺あり居待ち月
月明かりの中で酒を片手に俳諧詩歌を吟じ、時に弦のない琴か、幽玄のチェロをお弾きになるのか。平安朝か、西行、芭蕉の時に思いを巡らせておられるのか。暫し現生を離れての刻をお過ごしのようですね。羨ましき限りです。
あちこちに炊ぐ煙や野分晴
えびふりゃーみそかつきしめん秋渇
年長けてこの月を愛づたのしさよ
韻友と画友誘ひて登高す
灯も要らぬ酒一壺あり居待ち月
灯を消してただ月を見る静かさよ
毎度のことながら遅いコメント申し訳ありません。
巻頭のスーパームーンの写真は雰囲気があっていいですね。観月に関わる次の3句を頂きました。
大き湖(うみ)月を抱きて静まれる
大きな湖が湖面に映る 小さな月を抱いて満足しているという措辞にユーモアがあって面白く感じました。
灯も要らぬ酒一壺(いっこ)あり居待ち月
暗闇で酒を嗜むとはよほどの酒好きなのでしょうね。月が出るまでに一壺では足らないのでは!
みみず鳴くびわ湖への道闇深し
琵琶湖へ向かうのは観月のためでしょうか。暗闇でも観月への期待が感じられます。
六句もお取りいただき、それぞれに丁寧なコメントや過分なお言葉、ありがとうございました。恐縮のかぎりです。ご指摘いただいた、言葉遣いはそのとおりです。ありがたく頂戴いたします。「句座黙す・・」の句は、句会で特選をいただきました。
名古屋弁の駄句に下の句をつけていただきありがとうございます。面白くなりました。
四句もおとりいただき、ありがとうございました。「年長けて・・」ですが月を愛で、友と句を詠みあうその楽しみがいつまで続くのかと思うと、今の今がことのほか愛おしくなります。そんな気持ちで句にしました。
「灯も要らぬ・・」ですが、室内の照明はいらない、せめてというなら蝋燭の明かりくらいで、月が出てくるのをお待つ、そんな気分です。待っているあいだ、酒は欲しいですね。ワインでもいいのかな、やはり白わいんでしょうね。
まあまあ! 沢山並べてお採りいただき、感謝です。このうちの「韻友と画友・・・」ですが、もちろんこれは大兄と龍さんを意識したもの。この情景をほんとに実現させませんか? 例の野点マグを持って行きますよ! 車を運転すると飲めないので、せめて須磨離宮あたりでしょうか?
観月の三句をとっていただき、嬉しいです。「大き湖・・」ですが、比叡山頂からびわ湖を眺めた時の景です。びわ湖の向こうに月が登ってくる、やがて高くなると湖面にそれが映ずる。しびれる景です。
「みみず鳴く・・」ですが、観月のためとの解釈をいただき、喜んでいます。もともとは平家物語の中の、源氏がびわ湖をさして敗走してゆくシーンを思い浮かべてものですが、分かりませんよね。大兄の解釈を得て、この拙句も生を得た感じです。ありがとうございました。