先日信州の中山道を回ってきた。その中でかねて念願の上田市の郊外の無言館を訪ねることができた。無言館はご存じのように、東京芸大を中心とする画学生や卒業生の若者が第2次大戦末期に戦場に赴き、志半ばで戦場に散っていった、その若者たちが出撃寸前まで描いていた絵を一堂に集めて展示している美術館である。やはり胸に迫るものがある。 写真は無言館
露の世や秒を惜しみて描きいそぐ
露の世や出撃前夜の筆の跡
露の世や妻に残せし未完の絵
露の世や妻を描きて戸を出でぬ
枝折戸を開けて露の世振り返り
露の世を語り明かして酌みかわす
露の世を抜けて踏み入る恐山
芋の葉に真珠のごとき露の玉