全国の2024年春の公立高校入試で、外国人生徒へ特別選抜による定員枠を設ける学校が2割にとどまることが2月3日、共同通信の調べで分かった。
文部科学省は各教育委員会に定員枠の設定を求めているが、入学後の指導体制の不安などから地域や学校によって対応に差があり、狭き門となっている。
近年、外国籍の子どもは増加しており、専門家は「高校進学でつまずくと、正規雇用に苦労する傾向が強い。きめ細かい支援が必要だ」と指摘する。
各都道府県教委などによると、外国人生徒向けの定員を設けるのは、全日制と定時制の延べ計約3880校のうち25都道府県にある約750校。
ただ定員については「若干名」から具体的な募集人数を示す学校までさまざまだ。
石川県では2024年入試で初めて枠を設ける。
県教委の担当者は「日本語の習熟度に合わせ多様な形での入試が必要」と語る。
他の22府県では定員を設定している学校はゼロだった。
そのうち栃木、群馬、長野、福岡の4県では定員は設けないものの面接など外国人生徒向けの特別選抜を実施。
一方で「入学しても中退させないための体制が整つていない」として定員枠の設定に後ろ向きの自治体もある。
文科省によると、日本語指導が必要な外国人の児童生徒は2021年度に4万7千人以上で、20212年度と比べ1・8倍に増加した。
一方で、全中学生の高校などへの進学率は99・2%(2021年度)なのに対し、日本語指導が必要な中学生の進学率は89・9%(同)と10ポイント近い開きがあった。
文科省は外国人生徒の社会的自立のために「高校での適切な教育が重要」と定義。
各教委に対応を求めている。
主に外国籍の子どもの進学先には、私立やインターナショナルスクールなどの選択肢もあるが、費用面や立地の偏りにより通学に制約があるため、公立の果たす役割は大きい。
弘前大大学院の吉田教授は「多文化共生が求められている中で、現状の入試制度では教育の機会が損なわれている。中卒では正規雇用につながらない場合も多く、入学後の支援体制の充実も必要だ」と話した。
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