独立行政法人国際協力機構(JICA)の「草の根技術協力事業(地域経済活性化特別枠)」に採択された紀南電設(株)=林惠一代表取締役、御坊市湯川町小松原=の「ミャンマー連邦共和国ヤンゴン管区内における無電化地域の電化と技術移転事業」が本格始動する。2つの無電化村の若者らを技術指導・育成し、2村あわせて約350世帯すべてに太陽光パネルとLED照明を設置して電化する取り組み。調査など準備段階が終わり、週明けから若者らの技術指導、今秋から設置工事が始まり、年内に電化を終える。
この事業は地方自治体が主体となり、企業や大学、NGO等が有する技術や経験を活用して開発途上国への貢献を支援。紀南電設は平成24年からミャンマー地域開発局等と無電化地域の現状などの意見交換を続け、無電化地域で電化を熱望する住民との話し合いなどを行い、同国内の電気技術発展のため、25年6月にヤンゴン市内にコンサル業務を担当する支店を開設し、2人を地元雇用するなど地域に密着した取り組みを続けている。県と紀南電設がJICAに提案し、同年12月に紀南電設を事業実施団体として事業採択された。
ヤンゴン市内から車と川船で約3時間かかるヤンゴン管区内郊外にあるミーライ村(290世帯)とアタヤゥン村(55世帯)のあわせて345世帯すべてに1世帯当たり日本メーカー製のソーラーパネル1枚(1メートル×1・4メートル、115ワット相当)、大洋化学(株)製造の直管型LED照明2本(1本11ワット)、LED電球1個(8ワット)を設置する。パネルは家の屋根に備え付けたり、竹で造った支柱に備え付けるなどし、発電した電気はバッテリーに蓄電して夜間に使用できるようにする。
設置後、維持管理のメンテナンス等が必要なため、2つの村から住民指導役などにあたる若者5人を選び、ヤンゴン市内の電気事業者2社から選んだ2人と政府関係者3人のあわせて10人を日本に招く。10人は週明けの13日に来日、14日に県庁に下宏副知事を表敬訪問し、15日から18日まで同社で太陽光発電システムの知識や設置手法、設置工事、メンテナンスなど必要な技術指導を受ける。政府関係者は入札制度などを学び、19日に帰国する。
9月から2つの村で若者5人を中心に各世帯への太陽光パネルなど設置工事を始め、12月下旬には設置を終え、各世帯に引き渡す予定。引き渡しの際には式典も計画している。年明けから月1回のメンテナンスを続け、来年5月ごろ事業が完了する見通し。JICAからの事業支援額は約3000万円。林社長は「研修で技術をしっかり学び、それを帰国後に生かしてほしい。(事業を通じて)少しでも豊かな生活が送れるお手伝いができればと思っています」と話した。
ミャンマーでは都市部等の大電力消費地は大規模発電施設設置で電化対策を推進しているが、この対象とならない無電化地域は国全体に点在しており、電化対策が大きな課題。紀南電設の取り組みは電化対策のモデル事業となり、設置後は他地域からの視察も予定するなど無電化解消へ期待がかかっており、ミャンマーとの友好親善、国際貢献につながりそうだ。
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