Studio_Rosso 1/43 自動車模型制作日記1

692-0055島根県安来市飯生町605-8Studio_Rosso渡部洋士 Tel 0854-22-1546火水曜定休

BBR製1/43Ferrari430スクーデリアの修理

2021-05-02 20:30:19 | ミニカー修理
本日の山陰は・・・どうも荒れ模様が続きます。
朝から雨が降ったり止んだりを繰り返しています、風も強く寒いですね。
今日はアトリエにもエアコンを入れて暖房しています。
そんなに荒れていましたが夕方になると天候が回復して来ました
夕方の空はこんな感じです

市内でコロナが出たお陰か・・・今日は暇ですね。
まあこんな事もたまには良いですよ。(本業は進みますからね〜笑)

今日は長文ですよ〜!!
時間の余裕がある時にお読みください(笑)
本日の患者さんはこちらです。
BBR製のFerrari430スク−デリアというモデルです。
このモデルはメーカー完成品をお客様がお買いになられたらしいです。
もう店頭では売っていなかった為にどこからかセカンドハンド品を購入された様ですね。
気に入っているホワイトパールのモデルなのですが・・・
ルーフの部分に補修痕が有ります。
これが気になるそうでして・・・他にも何点か気になる部分が有るという事でご依頼を頂きました。

こちらが補修痕のアップです
ウインドウの脇に黒い接着剤なのか塗料なのかよくわからないですが・・・付いていますね。
何故ここがこの様な事になるのか・・・修理をするにあたって考えてみないといけません。
その原因を突き止めないとまた同じ様な症状が出てしまいます。
修理って言うのは元に戻すだけではなく出来れば再び同じ様にならない様に出来る範囲で対策を打つ事だと思うのです。
ここからは想像ですが・・・
まずボディが収縮してウインドの中央部分が浮いてきます・・・BBRのモデルはデカールがクリアーコートされていませんのでウインドウのゴム系接着剤にデカールが引っ張られる様に剥げて来たのでしょうね。
で誰かが接着剤を付けて貼付けた・・・当然デカールの一部分は破れてしまうので塗料を使ってタッチアップした・・・と言う事では無いかな!?
でもう一つ・・・このラインですがブラックの一色なのですが実車は中央にガンメタになっていまして縁には黒く細い縁取りが有る仕様にしてほしいと・・・

ライトの中のカラーをブラックかガンメタに変更・・・
確かにこの車のライトの内側はもう少し黒っぽい感じがしますね。

フロントのインテークもガンメタが明る過ぎるのでフラットブラックか黒っぽいガンメタに変更・・・
実はリアタイヤの上側のインテークにも同様のメッシュが付いていますがこちらも同じ色が標準みたいなのでついでに塗っておきましょう。

そう言えば・・・
この車のキットを持っていたはずなので・・・自宅から探してきました

確かにキットではラインはガンメタで黒い縁取りが有りますね

キットの中にはデカールが無かった・・・私は基本別保管なので・・・キットが有るという事はどこかにデカールが有るはずです
と思ってボディを出してみたら、いつも見慣れたグレーのレジンでは無くこんな白い物でした・・・
でも硬そうですね〜という事は質は同じなのかな??

デカールを探しました
私の膨大なキットコレクションの中にはどうやら2個同じキットが有るらしい・・・
デカールが隣り合って2枚有りました。

そうだ!
ホイールの塗り替えも有りましたね〜
見積もりに入っていませんでしたすっかり忘れちゃっていましたね〜たまに有るんですよこんなポカがね〜。

デカールをスキャンしてデカールのデータを作ります
黄色いカラーにしているのはトレースするのに見やすいからです・・・

最終的にはこんな感じで枠だけにします。
ガンメタリックの部分は印刷では再現出来ませんから塗料を使って塗ります。

ラインも太さの検証をしたいので3種類作ります
と言うのも細すぎますとプリンターの限界が来てしまう場合もありますからね。

デカール用紙にラッカーで塗りました
一応キットのガンメタリックに合わせて調色しておきます・・・デカールのガンメタが正しいのかどうかは?ですし貼って見ないと下のカラーの調子も有りますからこの時点では決められないんですよね。
なかなか難しい所ですね。

印刷してみました
ガンメタリックの上に黒いラインだけ印刷しています
この時の黒いラインがきちんと見える様なガンメタリックで下のパールホワイトとも相性が良くないといけませんから・・・まあ好みの問題が強いかな〜!!(笑)

ミニカーをレザー台座から外しまして仮組用の台に移しました
レザーの台座を汚しますと綺麗にならないので作業用の台座に交換します

そして・・・
次の作業をしますともう元には戻れません・・・
デカールを剥がします

そうそう、デカールを剥がす前にウインドウを外さなければなりませんでした
邪魔にもなりますし汚れると掃除が大変なんです。
先に外しておきましょう。

先ほども書きましたがBBR製のミニカーはデカールの上にクリアーコートがされていませんので強力なデカール軟化剤を付けてデカールを剥がします。
この軟化剤はいつも使っているタミヤの水性アクリル塗料用のシンナーです。
デカールの軟化剤としても使いますしこの様にデカールも剥げます。
下の塗料はウレタンクリアーなので溶ける心配も有りません。
綿棒で擦って掃除します。

デカールを剥がした所はコンパウンドを掛けて磨いておきます
デカールが貼られていた部分はクリアーが日焼けしてなくて少し色が濃い感じですね。
まあ良く見ないとわからない程度ですが・・・。

ここが何かタッチアップされていた部分です・・・
この色素は普通のブラックの塗料では無く・・・黒いマジックですね
マジックはダメですよ色素が残って綺麗になりませんからね。
面倒でもラッカー塗料の方が良いですね。

これでやっと綺麗になりました。
少しホッとした一瞬ですね〜
あとはホイールの部分の分解等も有りますが・・・デカールを貼る方が先かな・・・
この方法がダメなら次の方法をかんがえなければなりませんしね〜。

少し黒い部分が残っていますが右側のは内装を塗った時にはみ出たのかもしれません、左側の傷の様な部分はマジックです
幸いにして双方ともデカールの下に隠れますから大丈夫でしょう。
ギリギリセーフですね〜、良かったわ〜。

他にも加工をしないといけない部分が有りますので分解を進めます
まずはヘッドライトですがシルバーの部分を塗り替えますので部品を全部外します
片側だけでもLEDのスモールランプ、ウインカー、ヘッドライトと3つの部品が付けられています
そしてフロントのインテークのメッシュ、とサイドのエンジン吸気口のメッシュとかですね・・・
少しずつですが原型が無くなってきますと心細く感じるのは私だけでしょうか・・・?
でもこの後ホイールも塗りますのでほぼ全バラになってしまうのですよね。

次はいよいよデカールを貼りたいのですが・・・
その前にデザインナイフの刃を交換しましょう。
黄色いのはオルファ純正の」デザインナイフの刃です、白いのはモノ◯ロウの大◯魂の格安品です。
金属をカットする様な場合にはモノ◯ロウの大◯魂で十分イケルのですが・・・デカールの様な繊細な作業の時にはやはりオルファの純正品が良いですね。
先が尖っていますしよく切れます。
私は2本のデザインナイフに両方の刃を付けて使い分けています。
なので今日はオルファの純正品を使います。

まず中央に1.8mm幅のマスキングテープを貼ります。
この1.8mmなどという幅のテープは無いので自分でカットした物です。
左右に2本ラインが入っていますがその中央部分が1.8mm幅なのでこれを中心に貼っておきまして両側に作ったデカールを貼ると真っすぐにラインが揃うという作戦ですね。

カットしたラインを貼ってみました・・・
でもまだこれは予行演習なんです・・・出来るかどうかわからなかったのでね。

次にマスキングテープを剥がしてみました
これでデカールがきちんと貼れていたら大成功ですよ。
うん!なんとかいけそうですね〜

で・・・デカールをもう一度剥がしてやり直します
今度はきちんとマスキングテープを中央に貼ります・・・さっきのは適当に貼ったので少し曲がっているんです(笑)
やり直したのがこのストライプです。
なかなか良い感じですね。
こう言う方法でオレンジとか水色とかの中間色のデカールは作れます。

先にクリアーを塗ろうと思っていましたが・・・
このままですとマスキングが大変なので先に分解します
シャーシの金属板はネジを外しても取れませんでした
ドライヤーで加熱してグルーを溶かしてやらないとね〜分解出来ないのですよね。
コクピットの床板の裏側にはこの様にグルーがべっとりと付いています。

見てはならない物も沢山見る事になります・・・分解しなければ見なくて良かったんですけど・・・。
ボディの裏側のフロントの車軸が通る部分はこんな風に欠けていました。
何といい加減な・・・まあ見えないから良いと思ったのかな??
でも良く見ますとグルーに埋まっているフロントホイールを支えるシャフトですが・・・真中辺りでまっ二つに切れています。
恐らく車軸が短くてホイールがフェンダーアーチと面一にならなかったので切って広げたんでしょうね〜。

ホイールを全部外しましたがリア側もシャフトは切られていました・・・
酷いな〜もう少し長い真鍮線でも使った方が良かったんじゃないでしょうか?

そして・・・こんな部分も・・・
リアホイールハウスの中側なのですが部品が割れてなくなっています・・・
まあホイールが付きますとわからない(見えない)のですが・・・コクピットの前側は確かに見えないし分解しない限り見えませんが・・・ここはいかんでしょう〜(滝汗!)このボディはちょっと酷いですね。

これでほぼ全バラ状態ですね・・・
でも実はこの後ドアの内張りやダッシュボードも外す事となります・・・

こびりついていたグルーを掃除します
グルーが付いたままですと組立てがうまくいかないのですよね〜。

フロントの車軸の部分も・・・
室内の部品がこの様に嵌りますから・・・まあ問題は無いのかもしれませんが・・・。
買ってくれるお客さんの顔が見えてないんですよね〜きっと。
まあ取り敢えず車軸の通る部分を掃除しておきました。


明日はこの続きからですね。
もうちょっとで終わるはずなんですが・・・連休明けからはAMGに戻れますかね〜!!

ボディにウレタンクリアーを塗りました

2021-05-02 16:49:39 | ミニカー修理
さてGWの営業は本日までとなります、明日から私もGW!!
だと思うでしょ?
いや〜草刈りや芝刈り薪割りが待っています・・・(滝汗!)

で本業を始めましょう。
お客様がホイールの塗り替えをご希望になっておりますので・・・あのシャフトが切れてバラバラになった物を何とか分解しなければなりませんが・・・
ブレーキは赤のままで・・・と言う事なのでブレーキ部分はなるべくそのまま使いたい所ですね。
ですがシャフトはどうやら瞬間接着剤でホイールに差し込まれて接着されていまして外れません。
普通はシャフトにハンダゴテを当てて加熱して瞬間接着剤を緩めて外すのですが・・・シャフト自体がホワイトメタル製なのでそれも出来ず・・・アセトンに浸ける方法も有りますがそれではブレーキがダメになってしまいます・・・。
しかもブレーキディスクも何やらよくわからない接着剤がドバ〜ッと盛られていましてね外れません。
こんな場合はキットのインストを見まして構造を理解してから作戦を立てましょう・・・。
こんな場合にもキットが有ると助かりますよね〜。

インストに依りますとホイールのインナー側にエッチングのディスクを差し込んでからホワイトメタル製のブレーキキャリパーの付いた円盤を接着する様になっていますので・・・
シャフトはカットしてしまってホイールを旋盤に取付けてセンターボスの周囲の部分だけを削る事に致しました。

こんな感じで中央のボスの周囲を旋盤で削っています
一番奥側がエッチングなのですが大体ホワイトメタル製のキャリパーの付いた円盤を削った辺りで外れますね。
一つ間違えますとキャリパーもろともホイールが変形してしまう危険な技です(笑)

削る前のホイールはこんな感じになっています
多分キャリパーの円盤が厚みが有りますのでこの部分でガッチリと接着されているのでしょう。
余り無理な力を掛けますとホイールのスポークが繊細なので・・・変形したら即終了ですね。

4本ともホイールが分解出来ました。
右の1本はセンターのフェラーリマークがずれていますし、ホイールの塗装が厚くぼってりとした印象だったので一度塗装を剥離します。

床板はホワイトメタル製ですがこれにもグルーが沢山付いていましたので掃除をします。
ここで重要な事に気が付きました。
四隅に有る穴はこの床板とボディを留める穴、中央の前後に有る穴は展示ベースに取付ける穴なのですが・・・
全部のビス穴が長穴になっているのにお気づきでしょうか?
これはボディが収縮しても床板にストレスが掛かって曲がらない様にと言う工夫ですね。
特にボディと床板を留める4ヶ所のビス穴は皿ビスを使っていますので面取りがして有りますが・・・その面取りまで含めて長穴になっていますね。

ダッシュボードやドアの内装まで外してしまいました。
理由は・・・この後ウレタンクリアーを塗るのですが、マスキングしてもダッシュボードを汚してしまう恐れが有るのです。
なので外しておく方が良いと言う判断ですね。
これでほぼ全バラ状態です・・・ここまでになるとは見積もりしていませんでした(笑)

クリアーを塗らない部分をマスキングしてゆきます
クリアーを塗るのはラインを貼った部分ですね。
ウレタンクリアーを塗っておきますと例え窓が浮いてもデカールが剥げてしまう事は有りませんからウインドウを再接着するだけで補修を完了する事が出来ます。

リアのピラーの部分はボカしてウレタンクリアーを塗りたいので、丸めたマスキングテープを貼っておきます。
最終的には軽くペーパーを当てて磨いて仕上げる事になります。
このボカシ具合もなかなか難しい所です。
フロントの部分はボンネットの筋彫りの部分で塗り分けましょう。
どこで塗り分けるのかも考えて作業をしなければなりません。

ウレタンクリアーを塗りました
何回かに分けて塗りますが、出来ればデカールの厚みが見えなくなる位にしたいですね。

ホイールはシンナー風呂に入って頂き塗装を剥がしました
そしてサフを塗ってからガンメタリックを塗っています。
このガンメタは基本的にインテークのメッシュと同じ色なのですが・・・なかなか難しい色ですね。
ホイールの場合はそのバックにブレーキディスクやキャリパーが付いていますので濃い感じに見えてしまいますが、インテークのメッシュは奥行きも有りますし暗いのでガンメタが明るく見えてしまいます。
最終的には同じ色では無く微調整しないといけないかもしれませんね。

ホイールにはウレタンクリアーを塗りました。
実車の写真を見ますとどうも艶消しではないみたいなので・・・
ポッテリする事が無い様にシャープな仕上がりを目指してみましたが・・・どうかな??

タイヤホイールを分解していた時にわかっていた事がもう一つあります・・・
タイヤです・・・パンクしています(笑)
リアタイヤの片方なのですが展示ベースに当たる部分にしてありました。
まあ見せたく無い部分を地面の接地面にする事は有る事なのかもしれませんが・・・これはちょっと酷いな〜
凹んでいますし内側は少し欠けていました。
部品としては不良品で廃棄されるべき部品だったはずです。
中国のBBRの工場にはこんな部品を使わなくてもいっぱいタイヤが有ったと思うのにね・・・残念ですね。

このタイヤじゃあお客さんが気の毒なので私のキットから新品のタイヤを出して交換しておいてあげましょう。
部品が欠品になってしまってキットとして役に立たなくなりますが・・・私が作る時はどうするかって?
ご心配無くタイヤは自分でもっと良いのを作りますから大丈夫なんですよ。

ホイールのセンターにフェラーリのマークを取付けました・・・
BBRの純正デカールを持っていましたので使いましたが少し印刷にズレが有りますね・・・
でもまあ小さい物だからこの部分は勘弁してあげましょう〜!!(笑)
余り重箱の隅を突く様な事は言いたく無いのでね〜(笑)


さて今夜ゆっくりウレタンクリアーが硬化してくれると明日は研磨をして組立てに入れますかね〜
見積もりでは2日で完了予定だったのですがもう一日かかりそうな・・・その分は赤字です(汗!)
プロとしてはいつも原価意識を持って仕事をしなければなりませんからね〜アマチュアの方が羨ましい部分です(笑)