通算4作目の角田光代。
角田作品にでてくる女性は
全員根無草のような放浪を強いられる。
不思議なことに
根を張る大地を求めているのか
いないのか。
それすらわからないようで
精神的な意味でも
フラフラとしている。
心にぽっかりと穴が空いたまま
必ず誰かのために
フラフラを強いられる。
キッドナップツアーも
八日目の蝉も
紙の月も。
そして根を張ることなく
物語りを終える。
起きている事件のいくつかを除けば
他は当たり前に起きている
当たり前の日常なわけで
それを活字を用いて細かく
描写して紙の上に再現できる
角田光代はすごい作家だと思う。
対岸の彼女といいながらも
人と人の人生が
交わらないことなんて
そうそうない。
小夜子の見た川沿いの道に
橋が架かっていてよかった。
角田作品の
最後の1行は
必ず次へとつながる動詞で終わる。
ここがとても好き。