僕の前世はたぶんオランダ人。

おもしろきこともなき世をおもしろく

流れ行く者(上橋菜穂子)

2015年09月18日 | よむ

甲府へと向かう身延線最終便で読破。

ハードカバーを山中へ持ち込むだなんて

ベースキャンプ型ならではの贅沢。

守り人シリーズの

バルサ、タンダの幼少期にスポットをあてた

「エピソード1」的な短編集。

なんというか

救われないものたちの物語というか

その先に待ち構える苦難を

しっているからこそそう思うのかな。

結末も総じて後ろ暗い。

本編での爽快感など微塵も感じられない作風になっており

それぞれの人生が救われない暗い渦に巻き込まれるのを

暗示するかのような結末になっている。

心のどこかで

常に安住の地を求めながらも叶わず

薄暗い川の流れに身を任せ

流れ行く者たちの物語。