ストレートな禁欲、間接的な禁欲

2013年09月13日 | 快楽への欲求を理性的に抑制(節制論3)

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2-6. ストレートな禁欲、間接的な禁欲
 禁欲するとき、ストレートなそれは、その欲求自体に向かい合ってこれと対決し葛藤を引き受け、これに忍耐力を集中する。しかし、強い欲求に直接向かうのみでは、禁欲の持続の困難なことがあり、間接的に対決する方法もしばしばとられる。
 ストレートな禁欲では、断続的に欲求が顕在化、浮上するものでは、それの生起したときに抑圧の意志を集中し欲求のおさまるまで耐え続ける。欲求の静かな状態にある間、休憩できるが、欲求が大きくなったときに構えていることは必要である。間断なく持続する欲求については、おのずからに弱くなっていくものは楽だが、逆が多く、時間とともに抑止の意志を高めていくことが求められる。呼吸を止めているときの呼吸欲は、刻々と切迫的に高まってくる。これを禁じ続けるのは、だんだんと困難になり、気を集中して力むが、やがて忍耐力の限界となる。
 ひとの意識は、ひとつのことに集中して働く。他のことに気を向けると、いだいている欲求は、気になる度合いが小さくなる。その欲求は、そのままにしておいて、別の欲求充足等に注意を向けることで、間接的に禁欲となるようなことがある。睡眠欲(睡魔)は、強烈に引き付けるものが別に生起したら、ふきとばせる。禁煙では、喫煙の欲求をそのままにしておいて、アメやガムを口にして、これをまぎらわす。あるいは栄養のあるおいしい物が欲しいのを、水やお茶をがぶ飲みしてごまかすのも、間接的な禁欲になりうるであろう。仕事や勉強に集中することで、食・性の欲求とその快を忘れ意識から遠のけて、結果的に禁欲を実現することがある。

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