
『航空ファン』のカバレージは大気中だけにとどまらず宇宙にもおよびますが、
残念ながら現代のヒコーキファンの多くは、あまりエアロスペースに関する関心は
高くはないようです(昨年のはやぶさ帰還などで盛り上がっている部分もあり、
一過性で終わってほしくはないのですが)。しかしそんななかでも、
ヒコーキ形をしており、帰還時には滑空で帰ってくるという
スペースシャトル・オービターの人気はなかなか高い印象。でもご存じのとおり、
スペースシャトルミッションはまもなく終了となります。
当初の予定では2010年中に最後のミッションが行なわれる予定でしたが、
残る2つのミッション、STS-133(ディスカバリー)とSTS-134(エンデバー)が
それぞれ延期されており、現時点ではSTS-133が2月24日、STS-134が
4月19日に打ち上げを予定しています。そしてさらに、STS-134がトラブルによって
地球に帰還できなくなった際に行なわれる救出用の予備ミッションとして
STS-335が準備されていましたが、これが正式にSTS-135(アトランティス)として
6月28日打ち上げ予定でスケジュールされました。
大きなメインタンクを抱いて垂直に上昇して行くスペースシャトルの姿は
なんとも堂々としていますが、帰還の際にはマッハ25のスピードで大気圏突入後、
フロリダ州ケネディスペースセンターかカリフォルニア州エドワーズAFBに向け
降下してくる、そんないかにも“航空機然”とした姿がヒコーキファンにも
受け入れられる理由かもしれません。チャレンジャーの事故は打ち上げ時、
コロンビアの事故は帰還時のものでしたが、緊張感あふれるその船内で、
乗員たちがどんな思いでミッションに臨んでいるのかも非常に興味深いところです。
なお、スペースシャトルの乗員のみが手に入れることのできる記念品として、
「MACH25CLUB」パッチというものも存在します。このパッチはただ単に
“宇宙に行った”という部分だけでなく、“スペースシャトルで宇宙に行った”
ことを示すヒコーキ乗りの誇りなのかもしれません。

【これが某所で見ることのできた「MACH25CLUB」パッチの実物。】
スペースシャトル退役後についてはアメリカのオライオン計画などが
準備されているとは言うものの、しばらくの間はISS(国際宇宙ステーション)への
交通手段はロシアのソユーズに任せる以外にありません。
2月7日付の朝日新聞夕刊によると、そういった危惧からアメリカでは
スペースシャトルのローンチをNASAから委託して実行している会社
USA(United Space Alliance)が、2013年からエンデバーとアトランティスを使って
民間ベースでミッションを数年間、年2回程度実施するという提案を
行なっているそうです。もしこれが実現すれば、スペースシャトルは2011年以降も
宇宙を往復し続けることになるわけですが、ヒコーキファンにもちょっとうれしい
このニュース、どうなるのか気になるところです。
『航空ファン』、『世界の傑作機』など、
文林堂の本の情報はコチラから!
説明のしかたがよくありませんでした。すみません。STS-134の救出ミッションが必要となる可能性はほぼなくなったものの、そのために準備していた予備ミッション(STS-335)を無駄にするのでは経費がもったいないということで、ISSへの正規の輸送ミッション、STS-135に格上げになったということのようです。現時点では、NASAのプロジェクトとしてのスペースシャトルミッションはこのSTS-135が最後となる予定です。
ああいった機体も将来的には民間ベースで運用される時代が来るのでしょうね。その頃には我が国も現行よりも更に大型の無人補給機をバンバン打ち上げている・・・・なんて事なら良いのですが。それに自衛隊が装備品を他国と共同開発します、なんて言うと大騒ぎなされる某野党の方々も、宇宙分野なら、あまり反発なさらないのでしょうね。
STS-135になにかあった場合はクルーはISSに退避し、ロシアのソユーズによる救出を待つことになります。
そのため救出しやすいように、STS-135のクルーは4人だけという事情もあったようです。
細かな解説ありがとうございます。
エンデバーも無事帰還、残すところ復活したディスカバリーの最後の1回だけとなってしまったスペースシャトル、残念ながらUSAによる今後の打ち上げ継続の話もその後聞こえず、逆にオービターの展示先が発表されてしまったのは少し残念ですね。あとは最後のミッションを無事に終えてくれるのを祈るのみです。