現在発売中の『航空ファン』12月号の特集は「在日米軍三沢基地」。
7月から数回にわたって取材に赴き、ホストユニットであるF-16航空団
35FW(第35戦闘航空団)を中心に取材してきました。
ご存じのとおり35FWには13FS、14FSの2個飛行隊が配備されていますが、
取材時には13FSは中東地区でのAEF(航空宇宙遠征軍)展開に派遣されており、
三沢に残っていたのは航空団の約半数の勢力でした。
とはいっても、訓練のフライト数は相当なもの。ナイトフライトも含め、
一回のピリオドで7~8機が訓練に飛び立つこともあります。

また13EFSとして海外展開するのは飛行隊の全員、全機というわけではなく、
一部の隊員は三沢に残って任務に就いており、また航空機も一部は
三沢での訓練に参加していました(逆に14FSから供出されて中東に展開した
機体も数機あるようです)。
三沢といえば、航空自衛隊の第3航空団(第3飛行隊、第8飛行隊)がF-16の
姉妹機とも呼べる日米共同開発のF-2を運用しており、基地北側の
HAS(シェルター)エリアでは日米のバイパー(毒蛇のことですが、F-16の
ニックネームでもあり、F-2も「バイパーゼロ」などと呼ばれることも)が
入り乱れます。ですが、フライトのピリオドが日米でずらして設定されているうえ、
取材時の双方への配慮から(とくに自衛隊の取材では米軍機が写ることを制限されます)
日米のバイパーが一緒に写り込むチャンスは多くありません。


9月中旬に実施した取材の際には、35FWはナイトフライトが多い週で、
そうした訓練にも立ち会うことができました。
夜はパイロットがNVG(暗視ゴーグル)を使用することもあって、撮影時には
原則フラッシュも使用できませんし、露出や遅いシャッタースピードなど、
貴重な撮影チャンスではあっても過酷な撮影環境といえます。


真っ暗な滑走路からアフターバーナーを光らせて離陸していくF-16、
とてもカッコいいのですが、残念ながら写真では(私の腕では)それを
記録することはできませんでした。
以前にFCLPの取材で硫黄島に行った際にも、こうしたジレンマに悩まされました…。
さて、最後にご紹介するのはアメリカンなピックアップトラック(車種は
トヨタのハイラックスですが、北米仕様車です)。
空軍基地ではなぜかこの手のピックアップトラックの官用車をよく見かけます。
そしてこの車両は、35FW司令、ティム・サンドバル大佐の専用車。航空団司令まで
ピックアップを使うんですね。

前方のバンパーには大佐の階級章が掲示されており、荷台の横には司令を示す
「35FW/CC」の文字。ちなみに空軍では航空団司令や飛行隊長をCC、副司令や副隊長を
DCと表記します。海軍では航空団司令はCAG(Commander Air Group)、
隊長はCO(Commanding Officer)、副長はXO(Executive Officer)と呼びますが、
空軍でなぜCC、DCと訳すのかは、じつははっきりとは分かっていません。
きっとChief Commander、Deputy Commanderの略なのでは? と思っているのですが。
(神野)
7月から数回にわたって取材に赴き、ホストユニットであるF-16航空団
35FW(第35戦闘航空団)を中心に取材してきました。
ご存じのとおり35FWには13FS、14FSの2個飛行隊が配備されていますが、
取材時には13FSは中東地区でのAEF(航空宇宙遠征軍)展開に派遣されており、
三沢に残っていたのは航空団の約半数の勢力でした。
とはいっても、訓練のフライト数は相当なもの。ナイトフライトも含め、
一回のピリオドで7~8機が訓練に飛び立つこともあります。

また13EFSとして海外展開するのは飛行隊の全員、全機というわけではなく、
一部の隊員は三沢に残って任務に就いており、また航空機も一部は
三沢での訓練に参加していました(逆に14FSから供出されて中東に展開した
機体も数機あるようです)。
三沢といえば、航空自衛隊の第3航空団(第3飛行隊、第8飛行隊)がF-16の
姉妹機とも呼べる日米共同開発のF-2を運用しており、基地北側の
HAS(シェルター)エリアでは日米のバイパー(毒蛇のことですが、F-16の
ニックネームでもあり、F-2も「バイパーゼロ」などと呼ばれることも)が
入り乱れます。ですが、フライトのピリオドが日米でずらして設定されているうえ、
取材時の双方への配慮から(とくに自衛隊の取材では米軍機が写ることを制限されます)
日米のバイパーが一緒に写り込むチャンスは多くありません。


9月中旬に実施した取材の際には、35FWはナイトフライトが多い週で、
そうした訓練にも立ち会うことができました。
夜はパイロットがNVG(暗視ゴーグル)を使用することもあって、撮影時には
原則フラッシュも使用できませんし、露出や遅いシャッタースピードなど、
貴重な撮影チャンスではあっても過酷な撮影環境といえます。


真っ暗な滑走路からアフターバーナーを光らせて離陸していくF-16、
とてもカッコいいのですが、残念ながら写真では(私の腕では)それを
記録することはできませんでした。
以前にFCLPの取材で硫黄島に行った際にも、こうしたジレンマに悩まされました…。
さて、最後にご紹介するのはアメリカンなピックアップトラック(車種は
トヨタのハイラックスですが、北米仕様車です)。
空軍基地ではなぜかこの手のピックアップトラックの官用車をよく見かけます。
そしてこの車両は、35FW司令、ティム・サンドバル大佐の専用車。航空団司令まで
ピックアップを使うんですね。

前方のバンパーには大佐の階級章が掲示されており、荷台の横には司令を示す
「35FW/CC」の文字。ちなみに空軍では航空団司令や飛行隊長をCC、副司令や副隊長を
DCと表記します。海軍では航空団司令はCAG(Commander Air Group)、
隊長はCO(Commanding Officer)、副長はXO(Executive Officer)と呼びますが、
空軍でなぜCC、DCと訳すのかは、じつははっきりとは分かっていません。
きっとChief Commander、Deputy Commanderの略なのでは? と思っているのですが。
(神野)
あと、御嶽山で災害派遣任務を行っていた陸自ヘリコプターに付いての特集も。
第1ヘリコプター団所属のEAPS防塵フィルター付きCH-47JAチヌークが航空雑誌で解説されたの初めて見た気がしました。
責任の無い外野があれこれ批判してましたが、陸自パイロットの技量の高さを改めて実感すると同時に頼もしく誇らしく思いました。
残念ながら今年の捜索は打ち切られましたが、即応態勢の重要さも痛感しました。
ご購読ありがとうございます。
三沢の取材は現地の広報に素晴らしい対応をしていただき、さまざまな取材ができたので、その分誌面を充実させようと努めましたが、興味深く読んでいただいたと聞きうれしく思っています。
御嶽山の噴火は、昨今よく問題視される登山者の不用意な行動が原因となった遭難とも違いますし、日本の自然災害の怖さをあらためて思い知る事故となってしまいました(公共機関の注意喚起などを批判する声もありますが、それもまた後付けの批判でしかないように思います)。そのなかで自衛隊や警察、消防などの皆さんは、二次災害を起こさないように充分な配慮をしながらも、最大限の捜索活動に従事してくれました。東日本大震災や広島での大雨土砂災害とともに、その存在の重要さを感じ、頭の下がる思いでしたね。
ところで35FW司令専用車のハイラックス、北米仕様といいながら右ハンドルなのは何故???
自衛隊と米軍は同居していても別の組織です。航空祭の事前取材であっても取材は自衛隊の仕切りで行なわれており、自衛隊としては「航空祭に関連する米軍機以外の取材&撮影許可を米軍にとっていない」というスタンスになるわけです(実際には米軍もそこまでは気にしないのですが、問題が発生した場合には言い逃れができませんので)。杓子定規には聞こえますが、軍という組織の中では配慮すべき難しい部分なのかもしれませんね。航空祭ではいくらでも見ることができる基地内施設を、取材時には頑なに「撮影禁止」とする基地なども少なくありません。
ハイラックスについては生産が北米なのですが、逆輸入車やヨーロッパ輸出車両もあるので、右ハンドルが存在するのだと思います。