元気な高齢者こそ使いたい電子機器

80歳を過ぎても、日々の生活を楽しく豊かにする電子機器を使いこなそう

ワールドカップ開催国で、ブラジルの政治経済の内容を、良く知る絶好の機会だ。

2014年06月16日 22時16分21秒 | 日記
 ブラジルで開催されているFIFAワールドカップで、日本が第一戦でコートジボワールに、どう見ても実力的な差を感じる負けをさらす結果になった。

 後の2試合で頑張るしかないが、サッカーの世界の強豪の底力を知らされる試合でした。

 そして開催国のブラジルで、スタジアムの工事遅れや、インフラ整備の遅れなど、日本人の感覚からいうと、信じられないほどの国民の楽観性を見せつけられたが、まあ世界に存在する国々、民族の多様性を知る良い機会であったといえます。

 筆者も、この開催国、南米のブラジルについては、意外に政治経済の詳細を知らなかった事に気が付いた。

 ブラジルと言えば、リオのカーニバルや、せいぜいコーヒーの産地程度の認識でしかなかったが、広大なアマゾン流域の肥沃な土地があり、地下資源も豊富な国家だと、改めて知った。

 そのためグローバル企業や世界の金融資本が、ブラジルに多くの投資を続けてきたため、経済の活況ももたらされ、結果として国民生活に歪も顕著になり、インフレの影響も出るようになった。

 そして国民の所得の増加の影響もあり、海外旅行なども急速に伸びているという。

 今回のワールドカップ開催にもかかわらず、国内の市民の生活格差も拡大傾向にあり、ストライキやデモも、ワールドカップ開催の機会をとらえて行われているようで、ある意味では国民が現政権に対して、堂々と不満をアッピールしており、日本国民の政治参加の現状より健全であると筆者は感じた。

 下に添付した藤井英彦氏のコラムで、最近のブラジルの経済や政治が、良く理解できました。

 地下資源も豊富であり、農産物の収穫量も多く、一時的な経済混乱は間違いなく克服できる国であると、筆者はブラジルの可能性の確信を持った次第です。

(ダイヤモンド・オンラインより貼り付け)

ワールドカップ開幕!
懸念広まるブラジル経済の近未来
――日本総合研究所理事 藤井英彦

 ワールドカップ目前になって、ブラジルからは工事の遅れや開催に反対するデモの報道が相次いだ。懸念は経済全般に広がっている。だが、ブラジル・コストと呼ばれる構造問題が存在するにもかかわらず、同国市場や近隣市場の成長魅力から外資参入は引きも切らない。ブラジル経済は内外需に牽引され、着実な成長軌道に復帰する公算が大きい。

イメージとは大きく異なる産業構造

 サッカー・ワールドカップが開幕し、お祭り気分も高揚してきた。その高まりとは裏腹に、ブラジル経済が揺れている。競技場や観客を運ぶ鉄道で未完成の工事が残るなど、円滑な大会運営を危ぶむ向きもある。 懸念は経済全般に広がる。典型が経常赤字の拡大や成長鈍化だ。ジルマ大統領が就任した2011年の半ば以降、先行き懸念からブラジルの通貨レアルは趨勢的に下落傾向にある。輸入物価の上昇が上乗せされてインフレが進み、利上げで成長鈍化に拍車が掛かる。悪循環だ。今後のブラジル経済をどのようにみるべきか。

 最初に、ブラジル経済の特徴をおさらいしておこう。ブラジルといえば、アマゾン川をはじめ広大な国土に肥沃な農地が広がる。 農業国であると同時に、鉄鉱石や石炭をはじめ鉱物資源に恵まれた資源国というイメージが強い。しかし、現実の産業構造はイメージから大きく懸け離れる。

 産業別にGDPシェアをみると、一次産業は1割弱、二次産業は2割強で、6割強が第三次産業だ。さらに業種別にみると、近年、経済構造の変化が進む。三次産業では不動産業やサービス業から、商業や運輸・倉庫業へのシフトだ。背景には消費の拡大や国土開発の広がりがある。

 二次産業では製造業から鉱業へのシフトだ。レアル高や周辺国との取引増加で製品輸入が増える一方、海底油田の開発本格化で鉱業が成長を牽引する。ブラジルは2度の石油危機で深刻なダメージを被ったが、今日、世界有数の産油国に変貌した。

需要回復反映し輸出入とも増加へ

 経常赤字に次いで、成長鈍化も同様だ。貿易黒字が減るということは外需の成長牽引力が低下することを意味するし、海外旅行や海外からのネット購入が増えると、輸入が増加して国内需要の海外流出に繋がる。 外国企業の利益送金の増加は、資金制約の強まりから事業再投資をはじめ、ブラジル国内での経済活動の抑制に作用しよう。

 さらに直近の動向をたどると、本年1~3月、成長鈍化が一段と強まった。まず近年の実質経済成長率をみると、リーマンショックに直撃されて▲0.3%とマイナス成長に陥った09年を除いて、2000年代後半は6%前後だった。しかし、11年2.7%、12年1.0%、13年2.5%とペースダウンし、本年1~3月、季調済前期比年率で0.7%と1%割れに陥った。

 主な需要項目別に本年1~3月の寄与度をみると、民間消費は▲0.4%、固定資本形成が▲1.7%、輸出等は▲1.6%と内外需の3本柱が総崩れだ。需要減を映じて輸入等は▲0.2%とマイナスだ。本年1~3月のプラス成長は在庫増が主因だ。意図せざる在庫積み上がりは在庫調整を通じて景気下押しに作用する筋合いだが、下押し圧力は強まるだろうか。

 まず輸出数量は昨年末から弱含みで、本年3月は直近ピークの1月比▲5.8%減少したものの、4月、一転して前月比8.0%と大幅増だ。品目別には大豆や肉類の食糧、原油やボーキサイトなどの一次産品に加えて、航空機や電気部品が増加した。相手国別には、欧米に加え、チリやペルーなど周辺各国、UAEやエジプトなどの中東諸国向け、いわば新興国向けが増加した。南米や中東各国をはじめ総じて新興国は引き続き底堅い成長を続けると見込まれるだけに、着実な輸出増が期待されよう。なお、輸入数量も本年2、3月の大幅減から4月大幅増に転じた。輸出増と重ねてみれば需要回復を映した動きであり、在庫調整に伴う景気下押し圧力を過度に懸念する必要は小さい。

消費マインドを悪化させたインフレ

 一方、同国の経済成長を支えてきた民間消費に着目すると、小売売上は、昨秋来、頭打ちとなり、本年に入って次第に弱含み傾向が強まった。主因は消費者マインドの冷え込みだ。昨秋来、消費者信頼感が月を追って悪化し、本年5月はリーマンショック直後の2009年4月以来の低さまで落ち込んだ。しかし雇用情勢は堅調だ。労働力人口が昨年半ばから減勢に転じたものの、失業者数が大幅に減少して雇用者数が横這いで推移している。失業率は本年4月4.6%と既往最低を更新した。

 労働需給の逼迫は賃金上昇を後押しする。所得雇用環境の改善で貧困層が減り、中間層が増える。同国でも貧困と犯罪は密接に絡む。麻薬問題も同様だ。政府が積極的に就業政策を進めるなか、経済成長と雇用増の好循環は社会問題を解決に導き、さらに財政好転を進める打ち出の小槌だ。なお、ワールドカップ大会に向けた建設工事の進捗遅れを、反対運動の強まりや国民性に帰す見方がある。しかし状況はわが国とも似ている。わが国でも昨年来、建設工事労働者の需給逼迫が深刻化し、工事遅延が広がった。労働力に制約があれば、どの国でも工事は進まない。

 それでは消費者マインド悪化の原因は何か。インフレだ。消費者物価の前年比上昇率は12年6月の5.1%を底に急ピッチで上昇し、13年初来、7%前後の上昇が続いている。インフレで実質所得が目減りしたうえ、13年4月以降の金融引き締めで先行き懸念が強まった。企業マインドも冷え込み、設備投資に翳りが広がった。 ブラジル経済の行方を慎重視する見方が台頭してレアル安が進み、輸入コスト上昇がインフレ圧力を加速させた。

 しかし本年2月半ば以降、レアルが反転上昇に転じている。背景にはブラジル再評価がある。経常赤字や低成長は旺盛な内需の反映だし、年明け後の穀物価格を中心とする一次産品価格の上昇は、農業国であり資源国であるブラジルに追い風だからだ。すでにインフレ一巡の兆しもある。5月の生産者物価は昨年5月以来1年振りの前月比マイナスとなった。金融政策の軌道修正が視野に入ったと言えよう。輸出増を加味してみれば今後、内需が持ち直しに向かう公算は大きい。

地域の躍進という新たな成長のエンジン

 成長牽引力からみると、地方圏の台頭もポイントだ。従来、同国経済の牽引役はサンパウロ州やリオデジャネイロ州など南東部の都市圏だった。しかし近年、南東部以外のエリア、例えば国境沿いや農業エリアが好調だ。ペルーやコロンビア、チリをはじめ近隣諸国が総じて高成長を始め、貿易取引が拡大する一方、道路や鉄道、港湾など全国的なインフラ整備で、地下資源の開発や農業振興に拍車が掛かったからだ。

 近年の小売売上増加率をみると、とりわけベネズエラに隣接する北部ロライマ州や、ペルーに接しアマゾン川を利用した物流拠点化が進む北部アクレ州、ボリビアと接し同国農業の中心である中西部マットグロッソドスル州が大幅増だ。一方、パライバ州やペルナンブーコ州など北東部のエリアは、鉱山開発や製油所建設など政府の後押しで産業化が進み、成長離陸が始まっている。ブラジルは、地方圏の躍進で都市圏に加え、新たな成長エンジンを手に入れた。

ブラジル・コストを越えて

 もっとも、ブラジルの成長率は中期的にみて2~3%だ。7%の中国や6%のインド、5%の近隣諸国に比べて低い。主因はフェーズの違いにある。高度成長の鍵は、戦後のわが国から今日の新興国まで人口増と都市化、インフラ整備を含めた投資増の3点セットだ。人口増と都市化によるブラジルの高度成長は70年代半ばに終わった。中国やインドなど他の新興国と同列には比較できない。

 2002年、前ルーラ大統領の選挙期間中、市場から急進的な左派路線が警戒され、レアル安が大幅に進行した。しかし03年の大統領就任後、路線変更は行われず、市場の不安は沈静化した。一方、前メイレレス中銀総裁は、ブラジルが長らく悩まされてきたインフレの抑制に成功し、最も信頼される中央銀行総裁と呼称されるほど市場から支持を集めた。現ジルマ大統領、現トンビニ総裁はいずれも前任者を支えた後継者であり、今日、前任者に比肩する世論と市場の支持を手中にしている。

 一方、新興国のさらなる発展が続くなか、食糧や地下資源など一次産品は一段の需給逼迫が不可避だ。農業生産に必要な水源と土壌、豊富な鉱物資源など、ブラジルの供給余力は世界屈指である。厳しい労働規制や高い参入規制、インフラ不足、税制をはじめ制度の透明性や予見性の低さなど、ブラジル・コストと呼ばれる構造問題が成長制約に作用しており、改革は焦眉の急との見方もある。

 しかし、本年初のタブレット生産始動にも見られる通り、ブラジル・コストがあっても同国市場や近隣市場の成長魅力から外資参入は引きも切らない。貧困問題同様、経済成長が構造問題解決の推進役を担おう。労働力の供給制約や中東をはじめ海外情勢の流動化など内外に先行きリスクはあるものの、ブラジル経済は内外需に牽引され、着実な成長軌道に復帰する公算が大きい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ふじい・ひでひこ
研究・専門分野は内外マクロ経済、新産業動向、金融、税財政、成長戦略など経済政策一般。1983年03月東京大学法学部卒、83年4月住友銀行入行、90年8月日本総合研究所調査部、2000年7月同IT政策研究センター所長、04年2月 同経済・社会政策研究センター所長、05年4月同ビジネス戦略研究センター所長、07年8月同調査部長/チーフエコノミスト、11年7月理事就任、現在に至る。

(貼り付け終わり)


コメントを投稿