輸入食材を利用している加工食品などで、円安と価格高騰の結果、4月以降に値上げが相次いで発表されているが、安い食品を買い求めている消費者に、冷水を浴びせられるようなコラムが、ロイターに掲載されている。
米国産の牛肉が、狂牛病の汚染があるのではないかと騒がれて、最近はようやく終息しているが、もともと狂牛病の汚染が広がったのも、いかに安く飼料を調達するかという発想から、本来穀物類を主食にしている牛に、廃棄牛肉や骨粉を与え続ける事により、狂牛病汚染が広がった原因があった。
米国の畜産業者には、一部とはいえ、低価格販売に対応するために、病気を防ぐ目的と称して、抗生物質やホルモン剤を与えていた。
そして最近は成長促進剤を与える事により、健康被害が出るのではないかと、懸念されている。
この成長促進剤(ラクトパミン、ジルマックスなど)は、欧州(EU)や露、中国でも使用禁止とされている。
米国では牛、豚に与える事を米食品医薬品局(FDA)は禁止していない。ただFDAは人体に対する影響を調査している訳ではないと言う。
しかし、投与された豚や牛に歩行障害など、各種の異常がみられる例が多いと言う。
日本にも、米国産の牛肉、豚肉は大量に輸入されており、本来なら厚労省でも、本格的に調査する必要があるのではなかろうか。
(ロイターより貼り付け)
コラム:米国産の食肉に潜む健康リスク
2015年 04月 1日
3月31日、米国で肉を食べるのなら、消費者は用心すべきだ。化学物質「ラクトパミン」は牛などの家畜にとって間違いなく安全ではないばかりか、それを食べる消費者にとっても安全ではない可能性がある。
Wayne Pacelle
[31日 ロイター] - 欧州連合(EU)のどの国でも、中国やロシアにおいてでさえも、牛肉や豚肉を食べるときに化学物質「ラクトパミン」のことを気にする必要はない。これらの国では、家畜の成長促進剤としてラクトパミンを使用するのを禁止しているからだ。
しかし、米国で肉を食べるのなら、消費者は用心すべきだ。ラクトパミンは豚などの家畜にとって間違いなく安全ではないばかりか、それを食べる消費者にとっても安全ではない可能性がある。ラクトパミンは多くの豚に歩行障害などを引き起こしたり、死に至らしめたりしている。
米国の養豚業者は、食肉処理場に豚を出荷する前の数週間、成長を速めて赤身肉を増やす目的でラクトパミンを飼料に添加する。
養豚業者だけでなく、米経済誌フォーチュンによると、肉牛農家もラクトパミンに殺到している。大手食肉加工会社が、別の成長促進剤「ジルマックス」を与えられた肉牛の扱いを拒否したことを受けての動きだという。
ロイターの調査報道では、タイソン・フーズとカーギルをはじめとする食肉加工会社は2013年後半、食肉処理場に運ばれた牛から足に疾患を持つ個体が複数確認されたのを受け、ジルマックス投与牛の買い取りを中止したことが明らかになっている。
テキサス工科大とカンザス州立大が2014年3月に出した報告書は、「(ジルマックスを)投与された牛の死亡率は80%高かった」としている。
食肉加工会社がジルマックス投与牛の購入を中止して以降、同成長促進剤の製造発売元である米医薬品大手メルクは、安全性に問題がないことを示す研究を行っている。ただ、これまでのところ、食肉加工業界は同社の主張を受け入れていない。
しかし、一方で肉牛農家らは、ジルマックスの代わりとして、牛に深刻な健康被害をもたらす恐れがあるラクトパミンを使用している。ラクトパミンはこれまで、約25万頭に上る豚の薬害反応に関係しているとされ、その症状として歩行困難や震え、活動過剰、ひづめ障害、呼吸困難、衰弱死などが報告されている。
牛肉を食べる人は気を付けた方がいい。米食品医薬品局(FDA)による1999年のラクトパミン認可には、人間に対する安全性評価は含まれていない。
FDAは、食肉処理場への出荷前に豚にラクトパミンを与えることを認めており、米有力消費者団体コンシューマー・リポーツの2013年の調査では、スーパーマーケットの店頭に並ぶ豚肉製品の5分の1からラクトパミンが検出されたという。
食肉業界の生産性改善への重点的取り組みは、食の安全や動物愛護への意識がかつてないほど高まっている消費者の利益とは相反する可能性がある。
外食業界ではこのところ、劣悪な環境で育てられた家畜や化学物質を投与された家畜の肉の不使用を売りにする「ファストカジュアル」業態が成功を収めている。このことは、消費者が健康的に育てられた畜産品を求め、そうした肉には相応の金額を払うことを浮き彫りにしている。
この流れに気付いた米豚肉加工最大手のスミスフィールド・フーズは、ラクトパミンの本格的な削減に乗り出したほか、妊娠した母豚を狭いおりに入れて管理する飼育方法(クレート飼育)を中止する姿勢も明らかにした。
消費者の間ではすでに、高級子牛肉を生産するための子牛のクレート飼育や養鶏場でカゴ飼育に反対する機運も出ている。成長促進剤が家畜に与える悪影響を知るようになれば、同じような反応が起きるかもしれない。
食肉業界は、責任ある畜産について議論を進めている。しかし、一部の業者は生産性改善のため見境をなくしているようにも見える。
需要拡大に応えるべく食肉生産の増大に注力してきた畜産業界はこれまで、家畜を狭い屋内に閉じ込め、本来よりも大幅に速いペースで成長させ、ホルモン剤や抗生物質などを投与してきた。
しかし、食の安全と家畜の健康を理由に、EUはこうした化学物質の多くを使用禁止にした。食品安全性に関する厳しい規制では知られていない中国やロシアも同様だ。
米畜産業界ではいまだに使われているが、その理由は何なのだろうか。
*筆者は米動物愛護協会(HSUS)の会長。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
(貼り付け終わり)
米国産の牛肉が、狂牛病の汚染があるのではないかと騒がれて、最近はようやく終息しているが、もともと狂牛病の汚染が広がったのも、いかに安く飼料を調達するかという発想から、本来穀物類を主食にしている牛に、廃棄牛肉や骨粉を与え続ける事により、狂牛病汚染が広がった原因があった。
米国の畜産業者には、一部とはいえ、低価格販売に対応するために、病気を防ぐ目的と称して、抗生物質やホルモン剤を与えていた。
そして最近は成長促進剤を与える事により、健康被害が出るのではないかと、懸念されている。
この成長促進剤(ラクトパミン、ジルマックスなど)は、欧州(EU)や露、中国でも使用禁止とされている。
米国では牛、豚に与える事を米食品医薬品局(FDA)は禁止していない。ただFDAは人体に対する影響を調査している訳ではないと言う。
しかし、投与された豚や牛に歩行障害など、各種の異常がみられる例が多いと言う。
日本にも、米国産の牛肉、豚肉は大量に輸入されており、本来なら厚労省でも、本格的に調査する必要があるのではなかろうか。
(ロイターより貼り付け)
コラム:米国産の食肉に潜む健康リスク
2015年 04月 1日
3月31日、米国で肉を食べるのなら、消費者は用心すべきだ。化学物質「ラクトパミン」は牛などの家畜にとって間違いなく安全ではないばかりか、それを食べる消費者にとっても安全ではない可能性がある。
Wayne Pacelle
[31日 ロイター] - 欧州連合(EU)のどの国でも、中国やロシアにおいてでさえも、牛肉や豚肉を食べるときに化学物質「ラクトパミン」のことを気にする必要はない。これらの国では、家畜の成長促進剤としてラクトパミンを使用するのを禁止しているからだ。
しかし、米国で肉を食べるのなら、消費者は用心すべきだ。ラクトパミンは豚などの家畜にとって間違いなく安全ではないばかりか、それを食べる消費者にとっても安全ではない可能性がある。ラクトパミンは多くの豚に歩行障害などを引き起こしたり、死に至らしめたりしている。
米国の養豚業者は、食肉処理場に豚を出荷する前の数週間、成長を速めて赤身肉を増やす目的でラクトパミンを飼料に添加する。
養豚業者だけでなく、米経済誌フォーチュンによると、肉牛農家もラクトパミンに殺到している。大手食肉加工会社が、別の成長促進剤「ジルマックス」を与えられた肉牛の扱いを拒否したことを受けての動きだという。
ロイターの調査報道では、タイソン・フーズとカーギルをはじめとする食肉加工会社は2013年後半、食肉処理場に運ばれた牛から足に疾患を持つ個体が複数確認されたのを受け、ジルマックス投与牛の買い取りを中止したことが明らかになっている。
テキサス工科大とカンザス州立大が2014年3月に出した報告書は、「(ジルマックスを)投与された牛の死亡率は80%高かった」としている。
食肉加工会社がジルマックス投与牛の購入を中止して以降、同成長促進剤の製造発売元である米医薬品大手メルクは、安全性に問題がないことを示す研究を行っている。ただ、これまでのところ、食肉加工業界は同社の主張を受け入れていない。
しかし、一方で肉牛農家らは、ジルマックスの代わりとして、牛に深刻な健康被害をもたらす恐れがあるラクトパミンを使用している。ラクトパミンはこれまで、約25万頭に上る豚の薬害反応に関係しているとされ、その症状として歩行困難や震え、活動過剰、ひづめ障害、呼吸困難、衰弱死などが報告されている。
牛肉を食べる人は気を付けた方がいい。米食品医薬品局(FDA)による1999年のラクトパミン認可には、人間に対する安全性評価は含まれていない。
FDAは、食肉処理場への出荷前に豚にラクトパミンを与えることを認めており、米有力消費者団体コンシューマー・リポーツの2013年の調査では、スーパーマーケットの店頭に並ぶ豚肉製品の5分の1からラクトパミンが検出されたという。
食肉業界の生産性改善への重点的取り組みは、食の安全や動物愛護への意識がかつてないほど高まっている消費者の利益とは相反する可能性がある。
外食業界ではこのところ、劣悪な環境で育てられた家畜や化学物質を投与された家畜の肉の不使用を売りにする「ファストカジュアル」業態が成功を収めている。このことは、消費者が健康的に育てられた畜産品を求め、そうした肉には相応の金額を払うことを浮き彫りにしている。
この流れに気付いた米豚肉加工最大手のスミスフィールド・フーズは、ラクトパミンの本格的な削減に乗り出したほか、妊娠した母豚を狭いおりに入れて管理する飼育方法(クレート飼育)を中止する姿勢も明らかにした。
消費者の間ではすでに、高級子牛肉を生産するための子牛のクレート飼育や養鶏場でカゴ飼育に反対する機運も出ている。成長促進剤が家畜に与える悪影響を知るようになれば、同じような反応が起きるかもしれない。
食肉業界は、責任ある畜産について議論を進めている。しかし、一部の業者は生産性改善のため見境をなくしているようにも見える。
需要拡大に応えるべく食肉生産の増大に注力してきた畜産業界はこれまで、家畜を狭い屋内に閉じ込め、本来よりも大幅に速いペースで成長させ、ホルモン剤や抗生物質などを投与してきた。
しかし、食の安全と家畜の健康を理由に、EUはこうした化学物質の多くを使用禁止にした。食品安全性に関する厳しい規制では知られていない中国やロシアも同様だ。
米畜産業界ではいまだに使われているが、その理由は何なのだろうか。
*筆者は米動物愛護協会(HSUS)の会長。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
(貼り付け終わり)
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