APEC会議の期間に日中首脳会談を行いたいと、日本政府と中国政府間で交渉が続いていたが、ぎりぎりでようやく実現した。
TVのニュース画面で見る限りでは、習近平国家主席の顔には笑顔がなく、握手もいかにも冷たい関係が続いていたのが読み取れるようであった。
恐らく米国からの強い働きかけが、日中両国に行われたのであろう。
それにしても、安倍首相と露プーチン大統領との会談も前日に行われているのに、今回はオバマ大統領との会談予定がまるで見えない。
オバマー習会談は充分に時間を取って行われるというのに。
今回の日中会談では、かなり日本側が条件を飲んでいるようだ。下に貼り付けた中日新聞記者の解説が、比較的率直に安倍政権の今後も含めて表現している。
(『中日新聞(東京新聞)の記事ーー日中首脳が会談 第2次安倍政権で初』の解説記事部分を貼り付け)
◆対話継続へ努力が必要
<解説>安倍晋三首相と中国の習近平国家主席が十日、約三年ぶりとなる日中首脳会談を行ったのは、国内総生産(GDP)で世界二位の中国と三位の日本が、隣国同士なのに首脳会談も開けない状態を、これ以上放置できないとの判断で一致したからだ。
日中関係に関し、首相は第二次安倍政権発足以来、強気の姿勢を貫いてきた。東シナ海や南シナ海での中国の海洋進出について、各国に「法の支配」の重要性を訴え、中国や韓国の反発を承知で、昨年末に靖国神社参拝に踏み切った。
それが今回、首脳会談の実現に向けて中国との間で四項目の合意文書まで作成。沖縄県・尖閣諸島をめぐり「領有権問題の存在を事実上認めた」と、中国側に宣伝されてもやむを得ないような表現も認めた。
これは首相の靖国参拝に「失望」を伝えるなど、東アジア地域の安定を求める米国の視線を気にしたのは確か。経済界や与党内にも日中の対立を放置したままの安倍外交への疑問があり、配慮せざるを得なかった。
首相は訪中に先立ち、テレビ番組で「日中のいがみ合いに早く終止符を打ってもらいたいと、みんな思っている」と話した。
中国も、十日に始まったアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議のホスト国。各国首脳を迎える中、隣国との緊張関係に手を打つ必要があった。
ただ、模様眺め的な「一時休戦」では意味がない。首相は今回の会談を日中関係改善の「第一歩」と位置づけているが、せっかく復活した対話が途切れないよう、努力を続けることが必要だ。
(北京で、高山晶一=首相同行)
次はいわゆる人民日報(人民網日本語版)の電子版に掲載されたコラムである。
読売や朝日の社説などがまだ読めないので、国内メディアの見解がわからないが、人民日報は「日本は中日二国間の政治文書や『村山談話』などの歴代内閣が発表した約束を固く遵守しなければ、アジアの隣国とともに未来に向けた友好関係を発展させることはできない」と周国家主席の言葉を引用している。
日本政府の修正された歴史認識を、従来通りの認識に戻すのが前提だと明確に述べており、歴史の改ざんは許さないと日本政府に、くぎを刺したうえでの会談であったと見るのがまともな見方であろう。
たった30分程度の会談は会談という程の物ではないであろうが、筆者も今後の日中間の改善は望むところであり、両国の友好関係を望みたいところだ。
(人民網日本語版より貼り付け)
習主席が安倍首相と会談「日本は平和発展の道を」
人民網日本語版 2014年11月10日16:48 習近平国家主席は10日、北京の人民大会堂で、日本側の要求を受け、アジア太平洋経済協力(APEC)会議非公式首脳会議に参加するため中国を訪問中の日本の安倍晋三首相と会談した。
習主席は、「中日は隣国同士であり、両国関係の安定的で健全な発展は、両国国民の根本的な利益に合致し、国際社会の期待に合致するものだ。中国政府は一貫して対日関係を重視しており、中日間の4つの政治文書を基礎として、『歴史を鑑とし、未来に向かう』との精神に基づいて、中日関係の前向きな発展を推進することを主張してきた」と述べた。
習主席は、「ここ2年間に、中日関係に出現した大きな困難の理非曲直は明らかだ。双方は中日関係の処理と改善で4つの原則・共通認識を発表しており、日本が共通認識の精神に着実に基づいて関連の問題を適切に処理することを願う。歴史問題は13億人を超える中国国民の感情に関わることであり、この地域の平和、安定、発展という大局に関わることであり、日本は中日二国間の政治文書や『村山談話』などの歴代内閣が発表した約束を固く遵守しなければ、アジアの隣国とともに未来に向けた友好関係を発展させることはできない」と指摘した。
また習主席は、「安定的で健全な中日関係を構築するには、時代の進歩の流れに順応することが必要だ。日本が引き続き平和発展の道を歩み、慎重な軍事政策、安全保障政策を採用し、隣国との相互信頼の増進にプラスになることをたくさん行い、地域の平和と安定の維持に建設的な役割を果たすことを願う」と述べた。
安倍首相は、「中国の平和発展は日本にとって、世界にとって最も重要なチャンスだ。日本は双方が達成した4つの原則・共通認識の内容を実施し、関連の問題を適切に処理し、ここを出発点として、日中の戦略的互恵関係の改善と発展を推進していきたい。日本は引き続き平和発展の道を歩むことを決意し、現在の内閣は引き続き歴代内閣の歴史問題における認識を堅持していく。日本は中国によるAPEC非公式首脳会議の開催が成功するよう応援する」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年11月10日
TVのニュース画面で見る限りでは、習近平国家主席の顔には笑顔がなく、握手もいかにも冷たい関係が続いていたのが読み取れるようであった。
恐らく米国からの強い働きかけが、日中両国に行われたのであろう。
それにしても、安倍首相と露プーチン大統領との会談も前日に行われているのに、今回はオバマ大統領との会談予定がまるで見えない。
オバマー習会談は充分に時間を取って行われるというのに。
今回の日中会談では、かなり日本側が条件を飲んでいるようだ。下に貼り付けた中日新聞記者の解説が、比較的率直に安倍政権の今後も含めて表現している。
(『中日新聞(東京新聞)の記事ーー日中首脳が会談 第2次安倍政権で初』の解説記事部分を貼り付け)
◆対話継続へ努力が必要
<解説>安倍晋三首相と中国の習近平国家主席が十日、約三年ぶりとなる日中首脳会談を行ったのは、国内総生産(GDP)で世界二位の中国と三位の日本が、隣国同士なのに首脳会談も開けない状態を、これ以上放置できないとの判断で一致したからだ。
日中関係に関し、首相は第二次安倍政権発足以来、強気の姿勢を貫いてきた。東シナ海や南シナ海での中国の海洋進出について、各国に「法の支配」の重要性を訴え、中国や韓国の反発を承知で、昨年末に靖国神社参拝に踏み切った。
それが今回、首脳会談の実現に向けて中国との間で四項目の合意文書まで作成。沖縄県・尖閣諸島をめぐり「領有権問題の存在を事実上認めた」と、中国側に宣伝されてもやむを得ないような表現も認めた。
これは首相の靖国参拝に「失望」を伝えるなど、東アジア地域の安定を求める米国の視線を気にしたのは確か。経済界や与党内にも日中の対立を放置したままの安倍外交への疑問があり、配慮せざるを得なかった。
首相は訪中に先立ち、テレビ番組で「日中のいがみ合いに早く終止符を打ってもらいたいと、みんな思っている」と話した。
中国も、十日に始まったアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議のホスト国。各国首脳を迎える中、隣国との緊張関係に手を打つ必要があった。
ただ、模様眺め的な「一時休戦」では意味がない。首相は今回の会談を日中関係改善の「第一歩」と位置づけているが、せっかく復活した対話が途切れないよう、努力を続けることが必要だ。
(北京で、高山晶一=首相同行)
次はいわゆる人民日報(人民網日本語版)の電子版に掲載されたコラムである。
読売や朝日の社説などがまだ読めないので、国内メディアの見解がわからないが、人民日報は「日本は中日二国間の政治文書や『村山談話』などの歴代内閣が発表した約束を固く遵守しなければ、アジアの隣国とともに未来に向けた友好関係を発展させることはできない」と周国家主席の言葉を引用している。
日本政府の修正された歴史認識を、従来通りの認識に戻すのが前提だと明確に述べており、歴史の改ざんは許さないと日本政府に、くぎを刺したうえでの会談であったと見るのがまともな見方であろう。
たった30分程度の会談は会談という程の物ではないであろうが、筆者も今後の日中間の改善は望むところであり、両国の友好関係を望みたいところだ。
(人民網日本語版より貼り付け)
習主席が安倍首相と会談「日本は平和発展の道を」
人民網日本語版 2014年11月10日16:48 習近平国家主席は10日、北京の人民大会堂で、日本側の要求を受け、アジア太平洋経済協力(APEC)会議非公式首脳会議に参加するため中国を訪問中の日本の安倍晋三首相と会談した。
習主席は、「中日は隣国同士であり、両国関係の安定的で健全な発展は、両国国民の根本的な利益に合致し、国際社会の期待に合致するものだ。中国政府は一貫して対日関係を重視しており、中日間の4つの政治文書を基礎として、『歴史を鑑とし、未来に向かう』との精神に基づいて、中日関係の前向きな発展を推進することを主張してきた」と述べた。
習主席は、「ここ2年間に、中日関係に出現した大きな困難の理非曲直は明らかだ。双方は中日関係の処理と改善で4つの原則・共通認識を発表しており、日本が共通認識の精神に着実に基づいて関連の問題を適切に処理することを願う。歴史問題は13億人を超える中国国民の感情に関わることであり、この地域の平和、安定、発展という大局に関わることであり、日本は中日二国間の政治文書や『村山談話』などの歴代内閣が発表した約束を固く遵守しなければ、アジアの隣国とともに未来に向けた友好関係を発展させることはできない」と指摘した。
また習主席は、「安定的で健全な中日関係を構築するには、時代の進歩の流れに順応することが必要だ。日本が引き続き平和発展の道を歩み、慎重な軍事政策、安全保障政策を採用し、隣国との相互信頼の増進にプラスになることをたくさん行い、地域の平和と安定の維持に建設的な役割を果たすことを願う」と述べた。
安倍首相は、「中国の平和発展は日本にとって、世界にとって最も重要なチャンスだ。日本は双方が達成した4つの原則・共通認識の内容を実施し、関連の問題を適切に処理し、ここを出発点として、日中の戦略的互恵関係の改善と発展を推進していきたい。日本は引き続き平和発展の道を歩むことを決意し、現在の内閣は引き続き歴代内閣の歴史問題における認識を堅持していく。日本は中国によるAPEC非公式首脳会議の開催が成功するよう応援する」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年11月10日
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