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共産教育論(連載第49回)

2019-04-09 | 〆共産教育論

Ⅸ 教育行政制度

(3)教育人事評議会と基礎教育センター  
 教育人事評議会(以下、人事評議会という)は、基礎教育課程教員の採用と配置を司る民衆会議教育委員会の合議体の下部機関である。人事評議会がどの圏域に属するかは、領域圏により異なる。一般的に言えば、小さな領域圏では領域圏、大きな領域圏では分権化され、地方圏または準領域圏となるだろう。  
 いずれにせよ、人事評議会は公正さを旨とする人事に関わることから、その個別の業務に関しては中立性を保持し、民衆会議による介入はいかなる形態であれ、許されない。  
 なお、人事評議会は教員の採用及び配置のみを司り、免許試験は教員免許試験管理機構が担当する。教員免許試験管理機構は統一的な教員免許試験の管理に特化した機関として、統合型領域圏では領域圏に、連合領域圏では準領域圏に属する。  
 一方、教員に対する懲戒処分は、人事評議会から独立した教員処分審査会の専権である。これも民衆会議下部機関の一つであるが、懲戒に当たる事実の認定と処分の決定という準司法的な任務を持つことから、審査官の過半数は法律家でなくてはならない。
 人事評議会によって採用された教員は、基礎教育センターに配置される。同センターは既存の教育制度で言えば学校に類似した施設であるが、教室を備えたいわゆる「学校」ではなく、原則的に通信制で提供される基礎教育の総合的なサポートセンターの性格を持つ。  
 基礎教育課程の教員はすべて科目分担制であるから、科目ごとにグループを形成する。各グループは所属教員から互選された一名の責任教員が統括し、センター全体はセンター長が統括する。センター長は校長に相当するような立場にあり、人事評議会の推薦に基づき民衆会議教育委員会が任期付きで任命する。  
 基礎教育センターの運営はセンター長と各科目グループの責任教員、事務系職員の代表者一名で構成する運営委員会によって行なわれる。運営委員会に加わらない一般の教員も、個別の案件ごとに委員会に出席し、意見を述べる権利を有する。  
 また各基礎教育センターは、当該センターの担当生徒の保護者の中から少なくとも三名、保護者以外の市民の中から少なくとも一名を外部委員として任命しなければならない。外部委員は常に運営委員会に出席し、意見を述べる権利を有する。


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