ザ・コミュニスト

連載論文&時評ブログ 

共産教育論(連載第48回)

2019-04-09 | 〆共産教育論

Ⅸ 教育行政制度

(2)領域圏内教育行政  
 世界共同体専門機関である世界教育科学文化機関の提示する規準に沿いつつ、各領域圏の実情に合った教育行政の要となるのは、民衆会議である。共産主義社会には政府機構が存在せず、行政機能もすべて民衆会議が直接所管するところ、教育行政もその例外ではない。  
 具体的には、領域圏民衆会議の常任委員会である教育委員会―名称は種々想定できるが、ここでは最も簡明な名称を採用する―が領域圏全体の教育行政の要となる。領域圏の民衆会議教育委員会は、領域圏内の教育制度全般の設計を担当するが、連邦型の連合領域圏では通常、教育制度は連合を構成する準領域圏の権限であるから、連合民衆会議の教育委員会の役割は限定され、準領域圏民衆会議の教育委員会が中心的な役割を担うであろう。  
 統合型領域圏にあっても、地方自治制度の下では、教育行政は地方圏が実務的な中心となる。このように、教育委員会は教育行政に関する権限を持つ各圏域の民衆会議に重層的に設置され、世界規準に準拠しつつ全体が有機的に機能していくことになる。  
 これら教育委員会はどの圏域のそれであっても、行政官庁としての教育委員会とは異なり、民衆会議の一委員会であると同時に、行政機関としての機能を併せ持っている。従って、教育委員長は教育担当閣僚ないし教育長のような地位にあると言える。  
 各圏域の教育委員会には、重要な下部機関ないし専門機関が置かれる。下部機関の代表例は、教員人事評議会と教員処分審査会である。前者は教員の採用と配置を司る機関であり、後者は教員の懲戒処分を決する機関である。
 専門機関の代表例としては、教員免許試験管理機構と基礎教育教材開発機構がある。前者は教員免許試験の作成及び実施を業務とする機構であり、後者は世界教育科学文化機関のガイドラインに準拠しつつ、領域圏ごとに統一的な教材を開発・発行する機関である(拙稿参照)。


コメント    この記事についてブログを書く
« 共産教育論(連載第47回) | トップ | 共産教育論(連載第49回) »

コメントを投稿