ザ・コミュニスト

連載論文&時評ブログ 

続・持続可能的計画経済論(連載第26回)

2021-12-26 | 〆続・持続可能的計画経済論

第2部 持続可能的経済計画の過程

第5章 経済計画の細目

(3)世界経済計画の構成及び細目
 持続可能的計画経済の中軸を成す世界経済3か年計画は、世界全体のグローバルな計画として、世界共同体を構成する各領域圏における経済計画の規準となるものである。そのため、それは各領域圏における計画のひな型でもある。
 ただし、世界経済計画は、生産目標というよりも、各領域圏における生産活動の上限を示すキャップのような意義を持つから、その記述は大綱的なものとなる点で、各領域圏経済計画の序論に当たるような計画と考えてよい。
 その構成として、まず冒頭で3か年計画の全体像を示す総論が提示される。これは計画の各細目への導入部であると同時に、3か年計画の要約ともなる部分である。
 続いて、エネルギー計画が提示される。これは、持続可能的計画経済が地球環境の持続可能性を担保するために実施されることを反映して、環境破壊の主因でもあるエネルギーの持続可能な計画供給を実現するための土台となる部分である。世界経済計画においては主要部分と言ってよい項目である。
 その中心点は再生可能エネルギーの供給計画であるが、注意すべきは化石燃料の供給も排除されないことである。化石燃料は供給をおよそ排除するのではなく、再生可能エネルギーの補充として、計画的かつ縮減的に供給されていくことになる。その点で、資本主義経済におけるエネルギー構成とは逆転的である。
 続いて、生産計画の細目である。ここでは、業種別の産業分類によるのではなく、前回も見たように、地球環境の主要素のいずれに負荷のかかる業種かによって分類されることが、持続可能的計画経済の要諦である。
 すなわち、大気負荷産業・土壌負荷産業・水資源負荷産業・生物資源負荷産業といった分類基準となる。複数要素にまたがる包括的な負荷産業は、重複的に分類される。
 この生産計画の細目は世界計画経済の各論に当たる部分である。その策定に当たっては、世界共同体における五つの汎域圏ごとの地域な計画量が考慮されるが、汎域圏同士の分捕り合戦とならないよう、生産計画を汎域圏ごとに分割することはしない。
 なお、世界経済計画の別表として、世界共同体の直轄自治圏(及び信託代行統治域圏)の経済計画が付属する。直轄自治圏(及び信託代行統治域域)は一般の領域圏とは異なり、世界共同体が直轄するため、その経済計画も世界共同体が直接に策定するのである。その内容は、領域圏経済計画に準ずる。
 また、各次世界経済計画にはその全体概要の根拠となる環境上の指針を直接に盛り込むわけではないが、別表として明示することで、根拠を明確にするとともに、事後的な評価及び中途での修正にも対応できるようにする。


コメント    この記事についてブログを書く
« ソヴィエト連邦解体30周年... | トップ | 近代革命の社会力学(連載第... »

コメントを投稿