ザ・コミュニスト

連載論文&時評ブログ 

民衆会議/世界共同体論(連載第20回)

2017-12-14 | 〆民衆会議/世界共同体論[改訂版]

第5章 民衆会議代議員の地位

(1)代議員免許
 民衆会議の構成員―民衆会議代議員(以下、代議員と略す)―は、現行制度に比すれば国会/地方議会議員に類似するとはいえ、その地位は議員とは似て非なるものである。まず第一に、代議員は所定の免許取得者であることを必要条件とする。
 代議員免許は全土及び地方ともに共通の公的試験に合格することにより取得される。この代議員免許取得試は各領域圏ごとに実施され、受験資格は年齢不問―ただし、代議員の被選年齢は19歳以上―、かつ当該領域圏内に通算3年以上居住していれば誰でも受験可能である。
 ちなみに世界共同体における領域圏には「国籍」なる概念が一切存在しないため、海外領域圏の出身者であっても一定の居住年数を満たせば代議員免許が得られる仕組みである。ただし、領域圏ごとの実施であるため、試験は当該領域圏における公用語(複数可)で実施されることになる。
 試験の内容は、[Ⅰ]基礎科目として「政策立案」・「立法技術」・「政治倫理」、[Ⅱ]政策科目として(A群)必修科目の「政治・法律」・「環境・経済」、(B群)選択科目は「福祉・医療」と「教育・文化」のいずれか任意の一方を選択する。
 [Ⅰ]基礎科目は、代議員としての任務を遂行するに当たって必要な素養及び倫理に関する基礎的な理解を問うもの、[Ⅱ]政策科目中の必修科目は政策立案・立法者として理解されているべき「政治・法律」、「環境・経済」という二大支柱に関わる具体的な知識を問うものである。
 [Ⅱ]政策科目中の選択科目は、各論的な政策分野である「福祉・医療」または「教育・文化」のうち、各自がより関心を持つ一方を選択する。代議員は特定分野のスペシャリストではないが、ある程度の専門分化性を持たせる趣旨である。
 試験の技術的な実施方法としては、暗記力に依存する参照不可型ではなく、免許試験を所管する民衆会議考試局が編纂する各科目の公式教科書の持込み・参照を許可する参照型とする。これは、代議員の任務が特殊専門技能ではなく、総合的・包括的認識力にかかることに由来するものである。
 こうした免許試験の趣旨目的に照らしても、試験は少数選抜型ではなく、資格付与型のもので、その合格率は80パーセント以上の高率なものでなければならない。結果、合格までに多年を要さず、志望者の大半が二回以内の受験で合格可能なものとなろう。
 ただし、代議員免許は取得後25年経過または取得後10年間一度も代議員に応募しないことによって失効し、再取得するためには改めて免許試験を受け直さなければならない。この更新試験では、上掲試験科目中〔Ⅰ〕基礎科目は免除され、〔Ⅱ〕政策科目のみが課せられる。


コメント    この記事についてブログを書く
« 奴隷の世界歴史(連載第36回) | トップ | 民衆会議/世界共同体論(連... »

コメントを投稿