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世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載第25回)

2024-05-07 | 世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

三 汎アメリカ‐カリブ域圏

(15)チリ

(ア)成立経緯
チリ共和国を継承する統合領域圏。ただし、南太平洋上の離島領イースター島(ラパ・ヌイ)は分立し、遠ポリネシア領域圏に包摂される。アンデス合同領域圏の招聘領域圏でもある。

(イ)社会経済状況
主産業であった銅を中心とする鉱業は世界共同体の管轄下に移される一方、環境的に持続可能的な農業林水産業が発展し、南米における一つのモデルとなる。資本主義的経済成長下で拡大した経済格差は貨幣経済の廃止により解消される。

(ウ)政治制度
統合領域圏であるため、一元的な全土民衆会議による統治体制となる。マプチェ族を中心とした先住民族も先住民自治体を形成し、連合に代表を送る。20世紀に大量人権侵害の猛威を振るった軍事政権を形成した軍は、世界共同体の軍備廃絶規定によって廃止される。

(エ)特記
旧版ではアンデス合同領域圏に包摂していたが、アンデス合同領域圏の基礎でもあるアンデス共同体を脱退したチリは独自性が強く、単立の領域圏とした。

☆別の可能性
可能性としては高くないが、アンデス合同領域圏に加入する可能性もなくはない。

 

(16)ラプラタ

(ア)成立経緯
主権国家時のアルゼンチンとウルグアイが合併する形で結成される連合領域圏。ラプラタの名は、支流を含め、領域圏を貫流する大河であるラプラタ河にちなむ。

(イ)経済社会状況
アルゼンチンの工業力を継承しつつ、持続可能的な農牧業も統合される。社会的にはウルグアイの進歩性が領域全体に浸透する。アルゼンチンがたびたび経験したデフォルト経済破綻や資本主義的経済成長下での貧困問題は、貨幣経済の廃止により解消される。

(ウ)政治制度
連合民衆会議は元来から連邦制だったアルゼンチンの州と集権制のウルグアイの県が合併整理のうえ再編された準領域圏から同数選出された代議員で構成される。マプチェ族を中心とした先住民族も先住民自治体を形成し、連合に代表を送る。政治代表都市はブエノスアイレス。両国で20世紀に大量人権侵害の猛威を振るった軍事政権を形成した軍は、世界共同体憲章の軍備廃絶規定によって廃止される。

(エ)特記
ブエノスアイレスには世界共同体の人権司法機関である人権審査院が常設され、世界の人権保障の中心となる。

☆別の可能性
ウルグアイが連合せず、単立の領域圏となる可能性もなる。

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