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世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載第27回)

2024-05-14 | 世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

四 汎アフリカ‐南大西洋域圏

(3)アンゴラ

(ア)成立経緯
主権国家アンゴラを基本的に継承する統合領域圏。ただし、隣接するコンゴに囲まれた旧飛地カビンダは世界共同体の飛地禁止ルールに基づき、後掲のニューコンゴに編入される。

(イ)社会経済状況
20世紀の独立戦争と独立後内戦を経た主権国家時代は石油とダイヤモンドを基盤に経済発展を見せていたが、石油やダイヤモンドは世界共同体の管理下に移されるため、コーヒーを中心とした農業生産が中心となる。環境的持続可能性に配慮した農業生産の多角化も推進される。恒常的なインフレーションによる世界一とされた物価高問題は、貨幣経済の廃止により解消される。

(ウ)政治制度
統合型領域圏として、民衆会議制度が導入される。独立戦争の中心を担った主権国家時代の支配政党・アンゴラ解放人民運動は会議外でなお影響力を持つ。

(エ)特記
独立闘争を支援した歴史のある隣接のナミビアとは緊密な社会経済協力関係を構築する。

☆別の可能性
人口が少ないナミビアと合同領域圏を形成する可能性もある。

 

(4)ニューコンゴ

(ア)成立経緯
隣接する別々の主権国家であったコンゴ民主共和国とコンゴ共和国が統合されて成立する単独の連合領域圏。上述のとおり、アンゴラの飛地カビンダも編入される。

(イ)社会経済状況
旧コンゴ民主共和国領域は有数の資源国であり、このことが長期に及ぶ内戦の元であったが、天然資源の管理が世界共同体に一元化されるため、こうした紛争鉱物経済は終焉する。一方で、旧コンゴ共和国領域では遅れていた鉱物資源の持続可能な開発が世界共同体により進められる。紛争要因の除去と両コンゴの統合により、農業生産力が高まり、アフリカ大陸有数の農業地域としてアフリカの食を支える。石油を主産業としたカビンダの状況もほぼ同様である。

(ウ)政治制度
旧コンゴ民主共和国の州、旧コンゴ共和国の地方とカビンダを準領域圏とする連合領域圏のため、連合民衆会議は各準領域圏から人口に比例した数の代議員で構成される。政治代表都市は旧コンゴ民主共和国首都キンシャサとコンゴ河を隔てた旧コンゴ共和国首都ブラザヴィルが統合されたコンゴ大都市圏。連合公用語はフランス語だが、カビンダのみはポルトガル語。

(エ)特記
旧コンゴ民主共和国領域圏では長年の内戦による武装勢力の乱立が生じていたため、世界共同体の関与のもと、武装解除と少年を含む戦闘員の社会復帰プログラムが進められる。

☆別の可能性
長年の別国状態を考慮し、より緩やかな合同領域圏の形態が選択される可能性もある。

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