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持続可能的計画経済論(連載第27回)

2018-07-16 | 〆持続可能的計画経済論

第6章 計画経済と労働生活

(3)経営参加
  資本制企業では、経営と労働とは厳格に分離されているのが一般である。労働組合の交渉権は認められていても、労組は経営そのものに介入できない。資本制企業では企業内における労使の厳格な階級的区別と優劣関係が基本となっているからである。
 これに対して、共産主義的な企業体においては、その程度と方法には企業形態ごとに差異はあれ、労働者の経営参加が共通した要素となる。この問題についてはすでに第4章でも論じたところであるが、ここで改めて労働の観点からもまとめておきたい。
 共産主義的企業体における労働者の経営参加は、大雑把に言って、経営と労働が分離されざるを得ない大企業では労働者代表機関による間接的な参加となり、経営と労働が合一化される中小企業では職員(組合員)総会による直接的な参加となるのであったが、いずれにせよ、こうした労働者参加機関は、労働条件や福利厚生に関わる問題に関しては、経営責任機関との共同決定権を保持している。
 共同決定という意味は、労働条件や福利厚生に関する案件は、必ず経営責任機関と労働者参加機関との合意に基づいて決定しなければならないということである。また労働者参加機関は、これらの問題に関して、経営責任機関に対し提案権を持つこと、さらに特定の経営問題が労働条件や福利厚生にも影響を及ぼす場合は共同決定事項として取り上げるよう経営責任機関に対し要求できることも含まれる。
 これを資本制企業に移し変えて類推すれば、労働条件や福利厚生に関する問題については、経営機関と企業内労働組合の共同決定事項とされるようなものである。しかし、資本制企業における労組はあくまでも企業外組織であるので、真の意味での労使共同決定は成立し得ない。
 共産主義的企業体にあっては、外部的な労働組合組織は必要ない。企業内労働者参加機関とは、言ってみれば労組が企業内在化されたようなものだからである。
 もっとも、労組の結成が禁止されるわけではないが、労働者は企業内参加機関を通じて行動することが基本であり、労組はあくまでも外部の非公式団体にすぎないから、企業体は労組を公式の交渉相手とみなす義務はないのである。

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