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スウェーデン憲法読解(連載第6回)

2014-12-19 | 〆スウェーデン憲法読解

第二章 基本的自由及び権利(続き)

差別に対する保護

第一二条

法律又は他の法令は、民族的出自、皮膚の色若しくは他の類似の事情又は性的指向の観点から少数派に属することにより、不当に取り扱う規定を含んではならない。

 法の下の平等条項に相当する規定であるが、より踏み込んで少数派に対する差別の禁止という規範を明確にしている。ことに、性的指向による差別も明示している点は、先進的である。

第一三条

法律又は他の法令は、男性及び女性の間の同権を実現するための努力の一部を形成している場合又は国防義務若しくはそれに代替する義務を規定する場合を除き、性を理由として、不当に取り扱う規定を含んではならない。

 前条とは別途、ジェンダーによる差別禁止を取り出して規定したものである。ただし、男女差別撤廃のためにするクウォータ制のような優遇措置(アファーマティブ・アクション)や、兵役またはその代替義務に関して男女の性差を考慮することは許容している。

労働市場における争議行為

第一四条

労働者の団体並びに雇用者及び雇用者の団体は、法律又は協約が別に定める場合を除き、労働市場において争議行為を行う権利を有する。

 表題のとおり、労働基本権に関する規定である。ただ、争議権については言葉を濁す日本国憲法とは異なり、明確に争議権だけを取り出し、かつ雇用者側のストライキ(ロックアウト)まで規定しているのが特徴である。

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