MOVIE KINGDOM Ⅱ

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ポイントは★~★★★★★★

No.054 「チェイサー」 (2008年 125分 シネスコ)

2009-05-22 00:23:40 | 2009年劇場鑑賞
監督 ナ・ホンジン
出演 キム・ユンソク
   ハ・ジョンウ
   ソ・ヨンヒ



今日は久々の韓国映画の鑑賞です。
甘いラブストーリーなんか連想してしまう韓国映画なんですが、今回は衝撃的なクライムサスペンス・・・という猟奇サスペンス、またはサイコサスペンスと言った方がいいかな~
10か月に21人を殺害した疑いで逮捕された、韓国で“殺人機械”と言われた連続殺人鬼ユ・ヨンチョルの事件をモデルに作られた映画だそうだが、実録モノではなくフィクションとしてのオリジナルストーリーです。

(あらすじ)

デリヘルを経営する元刑事ジュンホ(キム・ユンソク)のところから女たちが相次いで失踪(しっそう)して、ときを同じくして街では連続猟奇殺人事件が発生する。
ジュンホは女たちが残した携帯電話の番号から客の一人ヨンミン(ハ・ジョンウ)にたどり着く。
ヨンミンはあっけなく逮捕されて自供するが、証拠不十分で再び街に放たれてしまい…



またまた日本映画が真似できないような映画が出てきましたね。
内容の過激さもさる事ながら、ストーリー展開の運び方の上手さは、昨今の日本の刑事映画と比べるとレベルも高いと思います。
デリヘル嬢殺人事件を追うのが元刑事で今はデリヘル店の店長と言う設定も面白いですね。

残虐な事件をテーマにしてるだけに暗い陰湿な作風は避けれないところなんだけど、前半は警察側の何とも気の抜けたユルイ描写がチョイとコミカルにさえ感じてしまい結果的の陰湿な感じを薄めてる効果になってます(このユルイ感じがドラマの中では問題になってくところなんだろうけど・・・)

監禁したデリヘル嬢を手足を後ろで縛り上げ、ノミと金づちで頭を打ち抜く殺し方は生々しくショッキングですね。
しかも手際よく行かず、何度も打ちミスを繰り返し、自分の手さえも傷つけてしまう・・・そんな細かい描写が怖いです。
でもこういう細かさがこの事件の狂気性を現してるし、観客に視覚的に痛みを共有させることで映画の中に引き込んでると思います。
日本映画にはここまでの勇気な無いだろうね~



また事件を追う元刑事でデルヘルの店長を演じるキム・ユンソクがよかったです。
決して2枚目でないないこのオッサンが、最初は自分とこの店のデリヘル嬢がどこかに売り飛ばされたと思って、カンカンになりながら足取りを追うんだが、いつしかこの猟奇殺人の渦中に巻き込まれ、事件を憎むというより“犯人を憎む”というまさしくチェイサー=追撃者となり警察の捜査無視の“私闘”を展開していく。
いつしかこのヤクザな店長がこの映画唯一のヒーロー的な役割となっていきます。

しかしこの映画展開が進めば進むほど混迷を極め、容疑者が殺人を認めてるにも拘らず釈放されたり、また尾行されてるのに殺人を成し遂げたり、振り下ろされる金づちをスローで捉えた描写の絶望感(なぜ絶望かは書けないけど)・・・ますます観客のフラストレーションが溜まる。
それを払拭すべくクライマックスの血みどろの死闘が展開されるけど、これはまさにリアルファイト!
しかし暗い影を見る側に落としたまま劇場を後にさせる映画でもあります。



★★★★ 2009.5.21(木)布施ラインシネマ10 北館 シネマ3 19:45 k-5

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