MOVIE KINGDOM Ⅱ

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ポイントは★~★★★★★★

No.100 「さまよう刃」 (2009年 112分 ビスタ)

2009-10-16 12:54:05 | 2009年劇場鑑賞
監督 益子昌一
出演 寺尾聰
   竹野内豊
   伊東四朗



本日は久々の3本ハシゴ鑑賞に挑戦です。
しかも難波と梅田にまたがっての鑑賞は日米問題作2本とバカ1本です。
最初の作品は邦画で東野圭吾原作の「さまよう刃」。
TVやラジオで何かと紹介されていたので大筋は知ってますが、今、日本が抱えてる問題の一つでもある重いテーマの作品なので注目していました。

(あらすじ)

むごたらしい事件によって、大切な一人娘を亡くした長峰(寺尾聰)。
ある日、娘を殺した人物の名前と居場所を偶然知った長峰は、犯人の少年の一人を殺害。
後日、もう一人の犯人を追う長峰から、殺害の自供と現行の少年法への憤りをつづる手紙が警察に届く。
一方、長峰を追う捜査本部の織部(竹野内豊)は、法と正義のはざまでやるせない思いを抱いていた。



重いテーマの作品ですね~何かと現実的にも世間を騒がせてる青少年による凶悪犯罪。
特に性犯罪や薬物などの凶悪な事件は報道などでどんどん取りあげられて、その度にこの映画のテーマが語られています。
少年法の是非・・・未成年は極刑になりにくく、むしろ法律はそんな凶悪犯に更生のチャンスを与えようとする。
しかしそんな凶悪犯に家族を殺された遺族は堪ったもんではない。
広島の母子殺害事件でもわかるように、遺族はそんな法律の審判を待つしかないのです。

この映画寺尾聡扮する長峰という男を通して、遺族の怒りをもっとも極端に表現=犯人たちに自ら復讐するを描いてます。
彼の娘が車に連れ込まれ拉致される場面が遠く引いた映像で撮影され、次のシーンでは死体となって発見される。
この間のレイプシーンや暴行シーンは一切描かれず(一部ビデオで撮影された場面が出るが)ドラマは娘を失った長峰の行動を中心に進行していく・・・
そういう場面を排除してことで、観客は映画的なバイオレンスより犯人たちに対しては新聞報道程度で知らせらる知識で、この長峰の心情を図ろうとする。



この映画は現行の少年法への矛盾と正義、人権や命について問いかける問題作です。
仇打ちなんて良しとする事はないと思うけど、それは関係の無い人間が言える事で、当事者にすれば法律なんかで納得できない心情があると思います。
まぁ、そんなことを言うと法なんてどうでもいい無法地帯になってしまうんですがね。
この作品で長峰は犯人の一人を殺害し、さらにそのリーダーを追い詰めていきます。
当然彼も少年たちと同じ殺人者となり、警察に追われる身となるんですが、警察の動きと長峰の行動が交互に描かれラストシーンへとドラマは進んでいくんですが、重いドラマながらその辺の展開、特に現金受け渡しの少年を張りこむ警官たちの姿はエンターティメントな作品のようなサスペンスで盛り上がります。

見た目はそんな場面でハラハラさせるシーンを用意しながら、所々で伊東四朗と竹野内豊の会話の中にこの映画が言わんとする部分が語れていきます。
長峰の心情に共感しながら、どうにもならない法律のやるせなさを感じる竹野内豊に、法を守る側の自分たちの立場を強調する伊東四朗のやりとりがまさにこの映画が観客にと問いかけることではないでしょうか?



同じように酒井美紀と山谷初男の親子にもそんな関係が見てとれます。
暴力による復讐には何も生まれないと長峰を諭す酒井美紀と、長峰に猟銃を渡して警察から逃がす山谷初男・・・この親子の正反対の行動もまたこの映画の難しい問題を現してるようです。

寺尾聡が常に静かで寡黙で、その時にの為に潜めさせてる刃を胸にしまった復讐心を抱いた父親を見事に演じています。
特にラストで見せるあの目線は・・・痛いくらい長峰の心情が胸に刺さります。



☆☆☆☆ 2009.10.15(木) なんばパークスシネマ シアター7 15:40 M-5

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