Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

「クリック詐欺」でGoogleが打撃

2006-03-11 00:57:10 | Crime
 まずはじめに、「クリック詐欺」というものがどんなものか、確認しておくことにしましょう。

 クリック詐欺とは、Hot Wiredの記事によれば、

ペイパークリック(pay-per-click)方式の広告のヒット数データを不正に操作する方法だ。クリック詐欺はネット上で現在、獲得ヒット数にもとづいた広告契約の普及が進んでいることと、オンライン広告費が劇的に増加していることに便乗している。この恩恵を一番受けると思われるのは、詐欺的なクリックから手数料を得る検索エンジン関連のコンテンツ制作者と、汚い手を使ってペイパークリックへの支払いをかさませ、ライバルの広告費を膨らませようと考える競争相手だろう。

つまり、「1クリックいくら」という契約で載せている広告に対し、購入意欲が全くない人が何回もクリックすれば、広告主にとって全く無駄な投資となる訳です。ライバルの広告を無駄に何回もクリックすることによって、無駄な広告費を大量に払わせるという「嫌がらせ」を行うことができる・・・また、広告サービス提供者も、広告収入が増えることになり、結果的に利益を得る事となる訳です。そして問題は、まさにその一点なのです。

 GoogleやYahooなどのポータルサイトにとって、広告というのは一番収益率の高いメイン事業です。ですが、ポータル運営元に支払う広告費の一部が、広告主にとっては全くメリットの無いものだとしたら。そして、それがだんだんと無視できない割合に広がっていったとしたら、広告主は果たして、広告を出し続けるでしょうか?

クリック詐欺訴訟:グーグルとヤフーで路線の違い Hot Wired

訴訟での原告側の主張によると、グーグル社は、自社の広告パートナーと共謀してクリック詐欺の重大性を隠蔽し、返金を回避しようとしてきたという。

 結果として、「ポータルも利益を増やしている」という事実がある以上は、広告主にしてみれば、疑心暗鬼になるのも当然と言えるでしょう。今回の訴訟ではその不満が噴出した形となっています。
 Googleは、結局9000万ドルの和解金、正確にはタダで広告を出し続ける権利を広告主に与える事になりました。また、Yahooについては顧客と争う姿勢を見せているようです。
 どちらの姿勢が正しいか、なんて大それた事を言うつもりはありませんが、私個人の意見としては、もしもパートナーに選ぶとしたら、多少なりとも補償を出し、和解したGoogleを選ぶだろうな、と言うことです。株主だったとしたら、この時点で手放す可能性はありますが。

 Google、Yahooに限らず、クリック詐欺の及ぼす影響というのは、思った以上に根が深いのではないか?と考えます。
 つまり、Web上の広告に対する価値が急落するという事です。もちろん「クリックいくら」という形式を「とらない」広告についてはそうでもありませんが、「とる」場合は、問題が大きくなればなるほど、広告ばなれが進むでしょう。
 そうなった場合、何が起こるか。今まですべて無料で運営されてきた様々なインターネット上のサービスにおいて、広告収入によるペイが期待できない場合には、サービス維持のために別の収入源を模索する必要があります。もしも、それが「利用者個人への料金徴収」という形に落ち着くならば、最終的には末端の個人ユーザーにまで影響が及ぶことになるのです。

 現在では”専門の代行業者”まで存在するという「クリック詐欺」。そもそもの「目的」を悪用したこの悪質な所行は、根本的に防ぐことは不可能でしょう。ですが、将来的に、何らかの形で規制ができないと、インターネットでのサービス利用の根幹が崩れてしまうような、何とも言えない危機感を感じてしまいます。 


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