どんなジャンルのものでも、コンセプト製品というのは夢がありますよね。
絶対に市販されないような、先進的で未来を感じさせるようなコンセプトカーや、デザイナーの遊び心あふれるデジカメのモック、快適かどうかは分からないけどかっこいい住宅など、「採算度外視」「一部機能特化」などのとんがったコンセプトデザインは何とも魅力的です。
PCの世界でも、新しいチップや規格の発表に合わせて、その規格で実現できるコンセプトマシンを作ることがままあります。NVIDIAのIONプラットフォームを発表したときのキューブマシンは、むしろ何で市販しないのかと思うほどの完成度でした。PCの場合はパーツ生産の分業化が進んでいますので、コンセプトマシンでも新しいのは一部分と言うことが多いですが、そういう意味ではOLPCのコンセプトマシンは異質ですね。
OLPC・・・元100ドルPCのファウンデーションの発表するコンセプトマシンは、基本的に影も形も無い場合が多いです。XOの初代にしろ、デュアルタッチスクリーンのXO-2にしろ、どう考えても実現不可能とも言えるような仕様と価格設定をぶち上げてから、デザインを起こした時点で発表となっていましたので、他社の「規格ありきのマシン」とは大分趣が異なります。「夢ありきのマシン」とでも言いましょうか。
現実の製品は、ご存じの通り200ドルオーバーでASUSやACER、Intelに市場を荒らされてしまったけれど、ほぼ仕様どおりのXOと、開発終了となったXO-2とちょっと世知辛いです。特に、すばらしいコンセプトではあったものの、結局世に出なかったXO-2の事を考えると、今回もどうだろう?と思ってしまいますが・・・
夢じゃないよね?OLPCの夢タブレット「XO-3」 GIZMODO
全プラスティック加工で、液晶はマルチタッチ&バックライト付き。反射型表示の電子書籍モードもあるし、iPhoneの半分の厚さ、しかも価格は驚きの75ドル(6886円)!
耐久性が高く、防水加工、薄型、マルチタッチ、背面にはカメラもついてて、コンピュータとeブックリーダーで使い分けが効くマルチ・スクリーン --そのくせたった75ドルなんて、まさに夢のタブレットですよね。
とりあえずデュアルスクリーンではなくなりましたが、それ以外は本当に夢みたいなマシンです。物理ボタンは一切無しという思い切った未来仕様で、眉唾物の価格設定ですよ。いやもう、本当に実現できるのでしょうか?
これまでの例を鑑みるに、コンセプト通りに事が進むとはとうてい思えないですけれど、アーキテクチャをオープンにして、他社の自由な参入を促すともありますので、OLPCがダメでも、例えばDELLやASUSが作ってくれるかもしれないという期待は出来ます。市場に出るのは2012年だそうですので、気長に待ちますか。
・・・むしろ、この仕様でこの価格が実現できてしまったら、それこそ「世界が変わってしまう」と思うのですが・・・2012年には、これくらい珍しくもなくなっている、という可能性も否定できませんけどね。