Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

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次世代Atom搭載ネットブック、1月にもリリース

2009-12-20 23:59:59 | Technology

 当初、「小さくて安価なPC」として売り出されていたネットブックですが、最近は少しずつ、その役割も変わってきています。と言いますのも、CULVノートPCという「薄くてそこそこ安価でそれなりの性能を持っているPC」がネットブックの価格帯の少々上に位置するようになり、そのラインナップが拡大するにつれ、「ネットブックに多くを求める必要は無いんじゃないか?PCとして使うなら、CULVノートがあるし」という風潮が出てきたため。現在では、「ネット特化のPC”ライク”マシン」という、より抽象的な概念で使われるようになりました。

 何故PCライクかと言いますと、ネットに特化傾向が高まるにつれ、OSがWindowsだけではなく、Linux、Androidなどが使われるようになりました。また、CPUもAtomやGeorgeのようなx86系だけでなくARM系を採用した機種もネットブックと呼ばれる様になってきたからです。

 ARM系が最近注目されているのは、クアルコムのSnapDragonやNVIDIAのTegraと言ったARMプラットフォームが、低消費電力である上にHD動画再生支援機能を備えるなど、比較的大きな画面でリッチコンテンツを扱いたい場合に有利な特徴を持っているためです。
 これらの新興勢力に対抗するため、Intelが開発を進めてきたのが第2世代のAtomである「Pine View」。そのプラットフォームを採用したネットブックが、2010年の1月・・・あと1ヶ月ほどでリリースされるとか。

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 年末商戦では回線抱き合わせのネットブックが華やかに売り出されていますが、メーカー各社は来年1月あたまにも次世代 Atom 採用マシンを一斉にリリースする予定です。第2世代の「Pine View」 Atomは従来チップセット側に含まれていたGPUコアとメモリコントローラを統合したCPU。プラットフォーム(「Pine Trail」)はCPU +ノースブリッジ + サウスブリッジの伝統的な3チップ構成からCPU + ICHの2チップになり、CPUに統合された部分がより微細なプロセスになったため消費電力は低く、実装面積は小さくなります。グラフィックが従来の Atomネットブックで標準的な GMA 950から、より新しいGMA 3150へと微妙に進化しているのもポイント。

 ご存じの通り、NVIDIAのIONプラットフォームを除き、Intel純正のAtomプラットフォームのグラフィックス性能は決して高くないです。それを補うために、グラフィックス性能を向上させてはいるのですが・・・GMA 3150はまだ分かりませんが、全バージョンのGMA 3100の性能は、さすがに数年前のものだけあってHD動画の再生は苦しい状況です。むしろ、Pine Viewの改善点として大きいのは、より低消費電力になったことと、CPUとGPUの統合によって実装面積が小さくなったことでしょう。

 インテルにしてみれば、利益の薄いAtom系よりもCULV系を使って欲しいというのは、ネットブックが流行りだしてから一貫して読み取れる傾向です。今回も、あえて性能の向上を押さえ、CULV系との差別化を図ったとも考えられます。SnapDragon、Tegra両陣営に対しては、x86系であることで十分メリットが示されるという意図でしょうか。

 インテルのネットブックに対する姿勢が垣間見えるようなPine Viewネットブック。SnapDragon及びTegraプラットフォームを採用したネットブックが登場したときに、市場がどのようになっていくか・・・個人的にはAtomネットブックは縮小していくのではないかなあ、と思っています。