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『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』春のツアー⑤

2023-06-21 00:30:11 | 全国巡回公演

『ヘレン・ケラー』春の旅は5週目を迎えました。

今週は 群馬県 みなかみ町立水上小学校

    埼玉県 学校法人開智学園 開智未来中学校

    栃木県 栃木県立小山高校

    東京都 港区kissポート財団 赤坂区民センター

の公演でした。

 

水上小学校

群馬県みなかみ町は、私たちのアトリエ演劇工房がある第二の拠点の場です。劇団風は「文化芸術によるまちづくり実践事業」として、みなかみ町の子供たちと一緒に公演をつくっています。水上小学校では3年前に、文化庁委託事業で『星の王子さま』を上演しています。高学年のみなさんとは、再会の場となる公演でした。

児童さんたちの教室は廊下を挟んで体育館のすぐ目の前にあります。朝、舞台設営を行っていると、登校する児童さんたちが体育館の中を覗きに来てくれました。そして、20分休みには全校児童さんと先生方が舞台見学。およそ100名の児童さんが、照明、音響、舞台装置、衣装を体験しながら、楽しそうに体育館中を駆け回る姿に元気をもらいました。ヘレン・ケラーのお話しを知っていること、星の王子さまを観たことなど、役者たちに色んな話を聞かせてくれました。

「文化芸術は感受性を育んでくれます。感じる心を大切にして見てくださいね」という校長先生の言葉で開演。舞台に声をかけながら楽しんで見てくれている姿、じっくりと見つめてくれる姿、校長先生がお話ししてくれたように、ひとりひとりが自分の感じ方や考えを持ち込んで共に舞台をつくってくれました。

みなさんがこの日、体験したことや感じたことが学校の思い出のひとつとなって、いつの日か思い返してくれたら嬉しいです。

 

開智未来中学校

朝、学校に到着すると60名を超える生徒さんが搬入のお手伝いをするために待ちかまえてくれていました!お互いに声をかけ合いながら、協力をして運び込まれていく舞台美術や機材。生徒さんたちの頼もしい姿!今日の公演がどんな出会いになるか、メンバーもワクワクしながら搬入作業を行いました。

公演の担当をしてくれた先生が、ご自身の授業時間を舞台見学の時間にしてくれて、午前中いっぱいは生徒さんたちが代わる代わる体育館に来てくれました。徐々に組み上がっていく舞台を見ながら、俳優に質問をしたりと大いに盛り上がりました。さらに美術の時間だった生徒さんは舞台装置を模写しに訪れてくれました。

開演前には校長先生が「今日は、ほんものを見られる機会です。演劇を見ることで、みなさんの日常生活を豊かにしてほしい」とお話しをしてくれました。生徒さんたちは、はじまりから終りまで自分の全ての感覚を活かして参加してくれました。ヘレンと一緒になって喜んだり、笑ったり、真剣な眼差しをむけてくれたり。躍動する客席が、大きな波のようになって舞台を動かしてくれたと思います。

公演後にもたくさんの生徒さんが片付けを手伝ってくれました。片付けでもあっという間に荷物が運び出されて、驚くほどの早さ!瞳が輝いている姿、はじける笑顔がなんとも印象的でした。

最後はみんなで記念撮影。生徒さんも先生も一緒になって、この一日を思いきり楽しみ、学びへと繋げてくれたことが何よりの幸せです。これからも素敵な学校生活を送ってください。

 

小山高校

小山高校は午前中が1・2年生、午後が3年生が観劇する2回公演を行いました。前日の夕方に小山市立文化センターで準備をしていると、文化センター近くの学校に通っている担当の先生の娘さんが、遊びに来てくれました。舞台装置のドアを出たり入ったり、ヘレンの衣装を着たりと楽しんでくれていました。公演の日は学校があるため、残念ながら観劇をしてもらうことはできませんでしたが、またいつの日か再会できますように。

開演前には担当の先生と校長先生が、それぞれの想いや願いを生徒さんたちに伝えてくれました。「ヘレンやサリバン先生、誰かが偉いというのではなく、人と人とが関わることで成長が描かれているこの作品だからこそ、みなさんに見てもらいたいと思いました」「演劇は客席と舞台でつくりあげるものです」「人はみんな、障害のあるなしではなく誰もが強みと同じく生きづらさを抱えていると思います。それは人生の宿題だと私は思います」。生徒さんたちは先生方の言葉を受けとめて、舞台と向き合ってくれました。

カーテンコールでは「ここにいるみんなが、将来の何かへとつながる経験をしたと思います」「自分自身も誰かを支えられる、助けられる人になりたいと思います」と、それぞれの回で生徒会副会長さんと生徒会長さんが挨拶をしてくれました。公演後には当初は予定になかったバックステージツアーも開催!!その後も多くの生徒さんたちが残ってくれて、ヘレン役の倉八と座談会も行われました。

倉八の話しを輝いた表情で聞いているみなさんがとても印象に残っています。最後はみんなで記念撮影。とても良い笑顔ですね!一緒に舞台をつくってくれて、ありがとうございました。

 

港区kissポート財団主催 バリアフリー演劇『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』

港区kissポート財団主催によるバリアフリー演劇『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』が港区の赤坂区民センターで行われました。楽屋には「おかえりなさい」というメッセージが書かかれていて、心が温かくなりました。

公演当日は区内、区外、遠方から足を運んでくれた方、レパートリーシアターKAZEでバリアフリー演劇を観て今回も楽しみに駆けつけてくれた方など、およそ300名のみなさんが来場してくれました。開場と同時に舞台見学が行われ、ポンプから水を出したり、衣装を着たり、俳優と言葉を交わされて劇場内の温度がどんどん高まっていくのを感じました。

本番がはじまると、客席のあちらこちらから笑いが起こったり、舞台に向けて応援の声を届けてくれたりと会場が一体となっていきました。カーテンコールでは大きな拍手とブラボーという掛け声が!ひとりひとりが、「今という瞬間を生きて、ここで息づいている」そのことをお互いに感じ合いながら過ごせた時間は、かけがえのない時間でした。

公演後にも、興奮が冷めないまま再び舞台見学、そして座談会も行なわれました。座談会には小・中学生の子供たち、彼らの親御さん、手話を学んでいる学生さんたちが参加をしてくれて、それぞれの視点から感想を伝えてくれたり、質問をしてくれました。「いつもはこんなに積極的ではないと思っていたけど、子供のこんな一面もあるのだと驚いています。今日が本当に楽しかったのだと思います」と話してくれたり、「"心の鍵"が、僕たち親子のキーワードなんです」と伝えてくれる親御さんもいらっしゃいました。みなさんからもらった元気や勇気を、これからのツアーで出会う子供たち、大人たちへ繋げていきます。そしてまた赤坂区民センターで「ただいま」と言って再会できますように!

 

本番前に行われた舞台説明。舞台の構造、広さや高さ、出演者による役紹介(衣装や髪型など)の様子

 

レパートリーシアターKAZEで「ヘレン・ケラー」「TOUCH」を観劇し、今回も会場に駆けつけてくれました!

 

衣装に触れてもらい、俳優と交流

 

本番前の舞台見学で記念撮影

 

本番前の舞台見学で記念撮影

 

みなさん、本当にありがとうございました。ひとりひとりと交わした言葉、1回ずつの公演の時間と記憶を身体に刻み、新たな出会いに向かって旅は続きます。

文:渋谷愛(アニー・サリバン役)


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