勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

杉原千畝 スギハラチウネ

2015年12月05日 | 邦画
事実に基づいた物語。

本省の訓令に反してビザを発給したため、長らく日本では不遇をかこった杉原千畝。その杉原千畝の生涯を描いた作品。

杉原が、「好ましからざる人物(Persona non grata)」として当時のソ連政府から忌避されて在モスクワ日本大使館に赴任できなかったのは有名な話ですが、それは杉原の能力をソ連政府が恐れたからだとも、反革命的な白系ロシア人との親交があったからだとも言われています。また、映画でも描かれているように、カウナスに赴任してからも各国の諜報員とも交わり情報工作を行っていて、情報官として非常に優秀な人物であったのは間違いないと思いますが、映画で描かれたようなカーチェイスとか、発砲とか有ったんですかね?杉原の場合、外交官の身分を持っているので、情報工作を行っていたとしても、NOC(Non Official Cover)の工作員とは違って、相手側の妨害は有っても、中々極端な行動までは出にくいのでは無いかと思うんですが・・・。

そう言う、ちょっと劇画っぽいところはイマイチに感じましたが、実際にあった出来事を描いたにしては、上記の通り優秀な情報官であったこともあり、中々ドキドキするシーンもあります。亡命ポーランド人と、友情とも、打算とも付かない付き合いもありましたしね。

在カウナスの日本領事館の建物ですが、エンドロールの写真の建物と似ていました。本物で撮ったんですかね?いまは、記念館のような建物になっているみたいですが、どうなんでしょうか?

それに対して、物語終盤のブカレストの捕虜収容所でのシーンですが、建物がちょっとねぇ。当時の捕虜収容所の雰囲気を出そうとしたんでしょうけど、使われていない建物であることがアリアリ。もう少し、なんとかして欲しかったですね。

杉原千畝の名が知られるようになったのも、平成になってからの頃からですからねぇ。なんともねぇ。確かに、官僚、組織人としては、やってはならない事をやったわけですが、その結果をみれば、その行為は賞賛に値するのは確か。もっと外交にも活かせるはずだったのに、活かしていないどころか、杉原の存在自体を無かった事としていた日本国外務省のバカさ加減には怒りに近い感情を覚えました。

若干微妙な所もありますが、全般としては、良かったと思います。

タイトル 杉原千畝 スギハラチウネ

日本公開年 2015年
製作年/製作国 2015年/日本
監督 チェリン・グラック
出演 唐沢寿明(杉原千畝)、小雪(杉原幸子/千畝の妻)、ボリス・スジック(ペシュ(ポーランド亡命政府諜報員レシェク・ダシュキェヴィチ少尉)/在カウナス日本領事館運転手)、ツェザリ・ウカシェビチ(ヴォルフガング・グッジェ/在カウナス日本領事館員、ドイツ系リトアニア人)、アグニェシュカ・グロホウスカ(イリーナ/千畝の協力者、白系ロシア人)、ミハウ・ジュラフスキ(ニシェリ/ユダヤ難民のリーダー)、小日向文世(大島浩/駐ドイツ日本大使)、塚本高史(南川欽吾/関東軍少尉)、滝藤賢一(関満一朗/日本国外務省の杉原の上司)、石橋凌(大橋忠一/満州国外交部次長、満洲国外交部時代の千畝の上司)、濱田岳(大迫辰雄/JTB社員・「天草丸」乗務員)、二階堂智(根井三郎/駐ウラジオストック総領事代理)、板尾創路(菊池静男/千畝の友人)、アンジェイ・ブルメンフェルド(ローゼンタール)、ズビグニェフ・ザマホフスキ(ガノール社長)、アンナ・グリチェビチ(ユダヤ人母)、ベナンティ・ノスル(ヤン・ズバルテンディク/在カウナスオランダ領事)、マチェイ・ザコシチェルニ(マラット/満洲での千畝の諜報活動の相棒)