勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

顔のないヒトラーたち / Im Labyrinth des Schweigens

2015年10月03日 | 洋画(ドイツ系)
2015年の今年は戦後70年を迎えたわけですが、世界にはもう一つ戦後70年を迎えている国があります。この作品は、もう一つの戦後70年を迎えた国ドイツが、自身の戦争責任とどの様に向き合ったかを描いた骨太の作品。

今でこそ、ドイツは戦争責任を自分できちんと総括した国と称されている訳ですが、そこに至るまでは、こんな苦労があったんですね。ドイツ人のことなので、戦争終結を持って、理性的に、速やかにきちんと自身の過去と向き合ったのかと思っていたんですが、完全に勉強不足でした。

翻って我が国。この作品で描かれたドイツのような、自分自身できちんと自分の過去の行いと向き合ったでしょうかね?この作品でも描かれていますが、「もう忘れたい」とか「父の世代を糾弾するのか」と言う事もあって、ちゃんと自分自身で過去の振り返りをきちんとしていない気がしてなりません。

いまの日本人は見るべき映画だと思います。

タイトル 顔のないヒトラーたち / 原題 Im Labyrinth des Schweigens
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2014年/ドイツ
監督 ジュリオ・リッチャレッリ
出演 アレクサンダー・フェーリング(ヨハン・ラドマン/ヘッセン州検事)、フリーデリーケ・ベヒト(マレーネ・ウォンドラック)、アンドレ・シマンスキ(トーマス・グニルカ/記者)、ヨハン・フォン・ビューロー(オットー・ハラー/ヘッセン州検事)、ヨハネス・クリシュ(シモン・キルシュ)、ゲルト・フォス(フリッツ・バウアー/ヘッセン州検事総長)、ロベルト・ハンガー=ビューラー(ウォルター・フリードベルク/ヘッセン州検事正)、ハンシ・ヨクマン(シュミッチェン/秘書)、ルーカス・ミコ(ヘルマン・ラングバイン)

パパが遺した物語 / Fathers and Daughters

2015年10月03日 | 洋画(アメリカ系)
幼くして母を、そして、続いて作家の父を亡くした影響で、誰も愛することが出来ず破滅的な生活を繰り返していた女性が、作家であった父を尊敬する男性と巡りあったことから真実の愛を見つけようとする物語。

ラッセル・クロウもアマンダ・セイフライドももちろん良いんですが、この作品で一番の注目点は、幼いころのケイティを演じたカイリー・ロジャーズに尽きますね。豊かな表情で感情を非常に上手く表現しています。素晴らしい。劇中、ジェイクと幼いケイティが“CLOSE TO YOU”を歌うシーンが有るんですが、二人で仲良く歌い、本当に良いシーンでしたね。

そしてその“CLOSE TO YOU”。周知の通り、元々はカーペンターズの名曲ですが、カーペンターズ版の権利を取ることが出来ず、この作品ではマイケル・ボルトンが歌っています。カーペンターズ版と違った味わいですが、この作品の雰囲気と相まって、意外に良い味をだしていました。

これにも触れましょう。映像の進行ですが、現在と25年前の時代をシームレスに描く演出がされています。回想シーンなどで、過去の出来事を振り返ると言う演出はごく普通に使われる演出ですが、これはそれとはちょっと違いますね。正にシームレスです。ですが、それはそれで特に違和感も感じませんでした。

今のケイティの生活など、ちょっと予想とは異なる出来事もありましたが、全般的にはなかなか良い作品だったと思います。ジェイクのケイティへの無限で無償の愛が良いですね。

原題『Fathers and Daughters』。『A father and a daughter』でもなく、『The father and the daughter』でもなく、なんで複数形なんでしょうね。世の中の父と、世の中娘の物語ということなんでしょうか?

タイトル パパが遺した物語 / 原題 Fathers and Daughters
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2015年/アメリカ・イタリア
監督 ガブリエレ・ムッチーノ
出演 ラッセル・クロウ(ジェイク・デイヴィス)、アマンダ・セイフライド(ケイティ・デイヴィス/ジェイクの娘)、アーロン・ポール(キャメロン/ケイティの恋人)、ダイアン・クルーガー(エリザベス/ジェイクの妻の姉)、クワベンジャネ・ウォレス(ルーシー)、ブルース・グリーンウッド(ウィリアム/エリザベスの夫)、ジャネット・マクティア(キャロライン)、カイリー・ロジャーズ(ケイティ・デイヴィス(幼少期))、ジェーン・フォンダ(セオドラ)、オクタビア・スペンサー(ドクター・コーマン)