勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

カメラを止めるな!

2018年08月04日 | 邦画
300万円の予算で制作され、当初は2館での上映だったが、口コミで徐々に評判が広まり、全国での拡大公開になった作品。

なるほど、そう来ましたか。何といっても圧巻は、作品冒頭の30分以上にもわたる、ワンカットの長回し。ワンカット・長回しのドラマと言えば、三谷幸喜脚本・監督、竹内結子主演の『大空港2013』を思い出します。『大空港2013』よりも時間が短いとはいえ、何といってもワンカット。いやぁ、よく撮りましたね。

それに加えてもう一つ思ったのが、この作品、そもそもゾンビドラマ撮影中に本当のゾンビが出たと言う設定の作品な訳ですが、①劇中ドラマの撮影、②この作品としての撮影、と要するに、二本作品と撮ったのと同じ手間ですよね?実際、エンドロールの撮影模様を見ると、作品中で描かれていた模様と、実際の撮影の様子が異なっていて、あるシーンを撮っているシーンを撮ると言う事になっていましたからね。いやぁ、作るの大変でしたね。

はっきり言ってC級作品な訳ですが、口コミで面白さが広がるのは判る気がします。

タイトル カメラを止めるな!

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/日本
監督 上田慎一郎
出演 濱津隆之(日暮隆之/監督)、真魚(日暮真央/日暮監督の娘)、しゅはまはるみ(日暮晴美/日暮監督の妻)、長屋和彰(神谷和明/劇中ドラマの俳優役)、細井学(細田学/劇中ドラマのカメラマン役)、市原洋(山ノ内洋/劇中ドラマの助監督役)、山崎俊太郎(山越俊助/劇中ドラマの録音マン役)、大澤真一郎(古沢真一郎/ラインプロデューサー)、竹原芳子(笹原芳子/テレビプロデューサー)、吉田美紀(吉野美紀/監督助手)、合田純奈(栗原綾奈/監督助手)、浅森咲希奈(松浦早希/監督助手)、秋山ゆずき(松本逢花/劇中ドラマ主演の女優役)、山口友和(谷口智和/撮影スタッフ)、藤村拓矢(藤丸拓哉/音響効果スタッフ)、高橋恭子(相田舞/劇中ドラマのメイク役)、イワゴウサトシ(黒岡大吾/劇中ドラマの監督役)

万引き家族

2018年06月17日 | 邦画
第71回カンヌ国際映画祭でのパルム・ドール(最優秀賞)受賞作品。

なるほど。そう来るわけですか。なんか、朴訥としたリリー・フランキーの演技が光りますね。普段は何となく弱々しい印象を与えつつも、ある局面で冷徹さを見せられると、“ゾクッ”とした怖さを感じずにはいられません。

そこに、安藤サクラの見事な演技。演技をしているはずなのですが、あまりにも自然で、演技をしていると言う事を感じさせません。お見事。

こういう二人を相手にすると、若手では演技派だと思うのですが、松岡茉優の演技も色あせて見えてしまいますね。

その他にも、樹木希林、柄本明、池脇千鶴・・・。こういう人たちが脇を固めての城桧吏なんじゃ無いですかね?城がフィーチャーされていますが、そんな印象を受けました。

って言うか、私的には、城よりも佐々木みゆでは無いのか?とも思いましたが、違うのかな?

“家族”と言う言葉が一つのキーワードだったので、途中まで“家族”なんだな、と思っていたんですが、終盤にその認識が一変させられます。そういう持って行き方、そして、作品の終わり方が、他のパルムドール作品とも共通する感じで、本作品がパルムドールを受けたのもわかる感じがします。

タイトル 万引き家族

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2018年/日本
監督 是枝裕和
出演 リリー・フランキー(柴田治)、安藤サクラ(柴田信代)、松岡茉優(柴田亜紀)、池松壮亮(4番さん)、城桧吏(柴田祥太)、佐々木みゆ(ゆり)、緒形直人(柴田譲)、森口瑤子(柴田葉子) 山田裕貴(北条保)、片山萌美(北条希)、柄本明(川戸頼次)、高良健吾(前園巧)、池脇千鶴(宮部希衣)、樹木希林(柴田初枝)

羊と鋼の森

2018年06月10日 | 邦画
2016年の第13回本屋大賞を受賞した宮下奈都の同名小説『羊と鋼の森』の映画化作品。

原作も読んでいるんですが、映像にすると、こんなに抒情的になるんですね。って言うか、抒情的になったのは、脚本、監督の演出のためかもしれませんが。ピアノの音を聞いた直樹が森の中を彷徨って歩いたり、和音も水の中で浮かんでいたりと、ものすごく、抒情的な映像に感じました。

その悩み多き青年、直樹を山崎賢人が中々上手く演じています。うっかりすると、感受性が高く自然と話が出来る、危ない青年にも見えかねないですが(笑)本を読んだ印象では、直樹がここまでナイーブで、悩み多き青年だとは思いませんでした。

上白石萌音と上白石萌歌の実姉妹が、劇中でも姉妹役で出ています。原作では、姉妹は双子と言う設定でしたが、映画では特にその設定には触れられていません。見る人にお任せと言う事なんだと思いますが、実際には双子では無いですし、見た目も双子には見えないので、映画では普通の姉妹と言う事なんでしょうね。ピアノを演奏する引きのシーンがあります。引きの映像では、手元の吹き替えが効かないわけですが、それっぽく演奏していました。二人の実母がピアノの先生であるものの、萌音は小1までしかピアノ経験がなく、萌歌に至ってはピアノ経験がなかったらしいのですが、猛特訓して撮影に挑んだと言う事だそうです。

あと、作品中では、一つのエピソードでしかないのですが、直樹が初めて調律に行ったシーンも印象的ですね。位牌が二つ置いてあり、犬の首輪を青年が持っているのですが、それらには、いろんな幸せな思い出があると言う、中々印象的なシーン。特に、直樹が青年に尋ねることも無いのが、良かったと思います。あそこでね、青年に話を聞いて、気を遣うようなそぶりを見せたらダメですよね。

先に書いたように、思ったよりも抒情的な演出になっています。そういう演出が苦手な人にはお勧めしませんが、人の成長描いた映画としては、まぁまぁ、面白いと思います。

タイトル 羊と鋼の森

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2018年/日本
監督 橋本光二郎
原作 宮下奈都『羊と鋼の森』
出演 山崎賢人(外村直樹)、鈴木亮平(柳伸二/江藤楽器調律師)、上白石萌音(佐倉和音)、上白石萌歌(佐倉由仁)、堀内敬子(北川みずき/江藤楽器事務員)、仲里依紗(濱野絵里)、城田優(上条真人/Barのピアニスト)、森永悠希(南隆志/直樹が初めて単独で調律に行った家の青年)、佐野勇斗(外村雅樹/直樹の弟)、光石研(秋野匡史/江藤楽器調律師)、吉行和子(外村キヨ/直樹の祖母)、三浦友和(板鳥宗一郎/江藤楽器調律師)

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

2018年06月08日 | 邦画
2010年に、「Yahoo!知恵袋」に投稿された“お悩み”が元ネタ。

実話です。元ネタも、リアルタイムで知っているんですよねぇ。もう、そんなに昔の話ですか。確かにね、急に奥さんが死んだふりを始めると、驚きますよね(笑)

「妻が死んだふり」と言う所は事実だと思いますが、その他のところは脚本ですよね?でも、ぶっ飛んだことを仕掛けてくる“ちえ”の人となりが、わかるような話になっていて、中々ハートウォーミングです。

「月がきれいですね」・・・。そうか、そんな事だったんだな。そして、「死んでもいいわ」・・・。なるほど。知らんかった。後者は、都市伝説だと言う話もあるようですが、ロマンティックです。

世の中、パルムドールの話でいっぱいですが、こちらの作品も中々いいと思いますよ(笑)

タイトル 家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2018年/日本
監督 李闘士男
原作 K.Kajunsky
漫画原作 ichida
出演 榮倉奈々(加賀美ちえ)、安田顕(加賀美じゅん)、大谷亮平(佐野壮馬/じゅんの会社の後輩)、野々すみ花(佐野由美子/壮馬の妻)、浅野和之(蒲原/じゅんの上司)、品川徹(横山/ちえのパート先のクリーニング店店主)、螢雪次朗(進一/ちえの実父)

今夜、ロマンス劇場で

2018年02月10日 | 邦画
モノクロ映画の登場人物であるヒロインと、映画監督を目指している現実世界の青年の切ない恋を描いたファンタジー。季節柄、バレンタインデーが近いですからね。

時代設定は、1960年代。まだ映画産業は隆盛ですが、テレビ放送も始まり、その陰りが懸念され始めた頃。映画を愛する青年が主人公の作品の設定としては、良いのではないでしょうか?

映画から出てくるヒロインがモノクロであるためか、現実世界側の色合いは、意識的に鮮やかな色を使っている事に気づかされます。いや、必要以上に色鮮やかなのを、目立たせていたかも(笑)

この作品、やっぱり何といっても、綾瀬はるかに尽きますね。彼女、バラエティ番組とかでは、とんだポンコツな訳ですが(失礼)、ひとたび作品の世界に入ると、キッチリと演じてくるところが凄い。どっちが本当の彼女なんだか。って言うか、今回のヒロインは、お転婆なお姫様と言う事なのですが、キッチリとそう言う雰囲気だしてきますからねぇ。凄い女優さんです。

相手役の坂口健太郎ですが、なるほど。こう言う優しい男の役、似合いますね。まぁ、元々優しそうな人な訳ですが、お転婆なお姫様に振り回される優男を非常にうまく演じています。

結ばれぬ愛?いや、あれは“結ばれた”のかな?純愛ですね。行く前は正直、「まぁ、ファンタジーだしねぇ。」と半分斜に構えていたのですが、予想以上に良かったです。主題歌を歌うシェネルも良かったです。うっかりすると泣きます(笑)

タイトル 今夜、ロマンス劇場で

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2018年/日本
監督 武内英樹
出演 綾瀬はるか(美雪)、坂口健太郎(牧野健司/京映の助監督)、本田翼(成瀬塔子/京映の社長令嬢)、北村一輝(俊藤龍之介/京映のスター)、中尾明慶(山中伸太郎/健司の友人)、柄本明(本多正/ロマンス館主人)、加藤剛(病室の老人)、石橋杏奈(吉川天音/老人が入院している病院の看護師)

祈りの幕が下りる時

2018年01月28日 | 邦画
加賀恭一郎シリーズの最終章。

キャッチコピーに“泣けるミステリー”とありますが、確かに少しウルっとくるかも。特にね、浅居博美の子供の頃の逃避行の件とかね、泣けますね。

シリーズ最終章と言う事で、このシリーズでここに至るまでのところが凝縮されている感じがします。エンドロールではなぜか、この作品には出ていない人が登場していたりしますしね。まさに、回想シーンと言う事でしょうか。

阿部寛の演技はすごく良いのですが、ちょっとだけ突っ込みを。って言うか、阿部寛への突っ込みでは無く、加賀の母が仙台に居たと言う設定についての突っ込みです。あの、加賀の母が居たところって、仙台市内じゃ無いんじゃね?塩釜とか、多賀城とか、そういう感じがしたんですけど?違いますかね?河口のすぐ近くに建屋がある街なんで、そういう所かなぁと。

それと、一方の松嶋菜々子。「やっぱ、ちょー美人だな。」と言う加賀のセリフはさておき(笑)、なんか、彼女の演技の良いところが、あまり出ていなかったような気がするんですよねぇ。加賀中心に話が進むので、彼女の演技力を試されるシーンが意外に少なかったかなと。なんか、あまりにも淡々とした感じで、もうちょっと演技を見たかった気がします。

いやぁ、それにしても、浅居博美の話は、悲しい話ですね。この話は、ミステリーと言うより、ヒューマンドラマと言う方が、正しいような気がします。

タイトル 祈りの幕が下りる時

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2018年/日本
監督 福澤克雄
原作 東野圭吾『祈りの幕が下りる時』
出演 阿部寛(加賀恭一郎)、松嶋菜々子(浅居博美)、溝端淳平(松宮脩平/警視庁捜査一課刑事、加賀の従弟)、田中麗奈(金森登紀子/加賀の父を看取った看護師)、キムラ緑子(浅居厚子/博美の母)、烏丸せつこ(宮本康代/スナック「セブン」のママ)、春風亭昇太(大林/警視庁捜査一課刑事)、及川光博(苗村誠三/浅居博美の中学時代の担任教師)、飯豊まりえ(20歳の浅居博美)、桜田ひより(14歳の浅居博美)、小日向文世(浅居博美の父)、伊藤蘭(田島百合子/加賀の母)、山﨑努(加賀隆正/加賀の父)

DESTINY 鎌倉ものがたり

2018年01月08日 | 邦画
『ALWAYS 三丁目の夕日』の山崎貴監督が、原作者・西岸良平のベストセラーコミック『鎌倉ものがたり』を実写映画化。

昨年公開だったのですが、やっと見てきました。まだ上映していると言う事なので、実は期待して行ったんですが、期待に違わぬ中々良い作品でしたね。作品を貫く言葉は『愛』と言う事で間違いないです。

その『愛』を演じたのが高畑充希。彼女無しに、この作品は成立しませんね。いやぁ、キュート。立派な大人の女性に使う言葉では無いかもしれませんが、かわいい事この上なし。試写の際、夫を演じた堺雅人が「思わず手を握りたくなった」と言うのも、彼女のキュートさと、そして映画を貫く『愛』を見ると、良く分かります。

それでいて、所々、ウルっとするようなシーンもあるんですよねぇ。ヒットするのが判ります。

それと、意外にいい味を出していたと思ったのが、安藤サクラの死神。なんとも、カジュアルな死神ですが、これが良い。それが、この作品を、柔らかくて優しい雰囲気にしていたともいます。これがねぇ、オドロオドロシイ死神だったらねぇ。あんなにほんわかした内容にはなりませんよね。

それと、一色家の家政婦を演じた中村玉緒も良いですね。

主演の堺雅人の事を忘れていたわけでは無いですが、そういう女優陣の活躍が、非常に目についた作品でした。ほんわかして、幸せになる作品です。

タイトル DESTINY 鎌倉ものがたり

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2017年/日本
監督 山崎貴
原作 西岸良平『鎌倉ものがたり』
出演 堺雅人(一色正和)、高畑充希(一色亜紀子)、堤真一(本田/里子の夫、正和の編集担当)、安藤サクラ(死神)、田中泯(貧乏神)、中村玉緒(キン/一色家の家政婦)、市川実日子(本田里子)、ムロツヨシ(ヒロシ)、要潤(稲荷/鎌倉署心霊捜査課刑事)、大倉孝二(川原/鎌倉署心霊捜査課刑事)、神戸浩(恐山/鎌倉署心霊捜査課刑事)、國村隼(大仏/鎌倉署署長)、古田新太(天頭鬼(声))、鶴田真由(一色絵美子/正和の母)、薬師丸ひろ子(小料理屋の女将)、吉行和子(瀬戸優子)、橋爪功(優子の旦那)、三浦友和(甲滝五四朗)、木下ほうか(金満和夫)、瀬戸たかの(金満麗子)

探偵はBARにいる3

2017年12月02日 | 邦画
東直己原作の「ススキノ探偵シリーズ」の映画化作品「探偵はBARにいる」の第3作目。前作は2013年でしたので、4年ぶりになります。

この作品、見るたびにいつも思うんですが、一応「ススキノ探偵シリーズ」って、ハードボイルドなんですよねぇ。でも、なんでコメディーになっちゃっているんでしょう?まぁ、コミカルな作品も良いですけど、謎です。

今回のヒロインは、北川景子。“今回のヒロイン”なんて、往年の名作「寅さんシリーズ」見たいですね(笑)。北川景子初の、悪女役だそうですが・・・、うーん、悪くないですが、ここまでのヒロインの小雪や尾野真千子に比べると、やっぱり演技力でイマイチ?小雪と尾野真千子と比べるのが分が悪いですかね?美しさは随一ですが、悪女としての、迫力がね。

それよりなにより、やっぱり芋である事が良く分かったのが、前田敦子。彼女、ダメだね。まぁ、演技力が必要な役では無かったものの、それでもねぇ、芋感が・・・。

怖いのが、リリー・フランキー。この人、やっぱり怖い。怖い演技と言えば、鶴瓶の怖い人の役には定評がありますが、それに通じるものがあります。日ごろ、人が良さそうに見えるだけに、より一層怖かったです。

ここまでの二作では、探偵が受ける暴行?拷問?が、中々激しかったわけですが、今回は、どうなんだ?やっぱり人気者で、売れっ子の大泉洋に、手荒な事は出来なくなってしまったんですかね?第一作目の、雪に埋められる様な激しさは感じませんでした。まぁね、冬の北海道で、漁船の舳先に繋がれれば、それなりに酷い事になりますけど、なんか、釈然としない感じがしました。

高田君の動向については、エンドロール後に注目。まぁね?

タイトル 探偵はBARにいる3

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2017年/日本
監督 吉田照幸
原作 東直己
出演 大泉洋(探偵)、松田龍平(高田)、北川景子(岬マリ)、前田敦子(諏訪麗子)、リリー・フランキー(北城仁也)、田口トモロヲ(松尾)、安藤玉恵(峰子)、マギー(源)、篠井英介(フローラ)、土平ドンペイ(ブッチョ)、今村美乃(ヤンヤン)、松重豊(相田)、志尊淳(波留)、野間口徹(マネージャー)、坂田聡(椿秀雄)、鈴木砂羽(モンロー)、正名僕蔵(教頭先生)、斎藤歩(工藤啓吉)、前原滉(原田誠)、天山広吉(北城の手下)、片桐竜次(桐原)、栗山英樹(栗山英樹(本人役))

三度目の殺人

2017年09月10日 | 邦画
殺人の前科のある男・三隅による殺人。弁護士・重盛にとってはありふれた事件のはずであったが、事件を調べていくうちに、事件の持つ闇に深まり、次第に重盛は自信を失っていく。

そして父になる』『海街diary』でヒューマンドラマを描いてきた是枝裕和監督が描いたサスペンス。

「弁護するのに、被告を知る必要はない」それが、弁護士の本音だとすれば、ちょっと悲しいですね。「すべては依頼人の利益のため」とも言っていましたが、それは、真実と違っても“被告の利益”になるのなら、その方針で推し進めると言う事なので、やっぱりマイナスの印象を受ける言い方でしたね。

いやぁ、ましゃも良いですが、やっぱりこの作品は、役所広司の演技が見どころなんじゃないでしょうか?その芸名の持つ意味の通り“役どころが広い”俳優さんだと思います。

本編と無関係ですが、ちょっと気になったのは斉藤由貴。不倫疑惑が囁かれているところですが、この作品でも、そう言う風に向ける風向きもアリ、なんか現実とリンクして見えてしまいました。

あと、これも本筋では無いですが、広瀬すずは、やっぱり制服姿がかわいいですね。どんなに影のある役どころであったとしてもね。彼女の今後の課題は、制服を着ない役を、どのくらいうまく演じられるかと言うところにあるのではないかと、この作品を見て(大きなお世話ですが)心配になってしまいました。

法廷を舞台にしたサスペンスであるわけですが、実際に見た後思ったのは、話が殺伐としているので一般に温かいと言う意味合いを持ちがちなヒューマンドラマと言う言葉は使いにくいですが、やっぱり描いているのは人でしたね。人を描くと言う是枝監督の本領を発揮した作品だと思います。

タイトル 三度目の殺人

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2017年/日本
監督 是枝裕和
出演 福山雅治(重盛朋章)、役所広司(三隅高司/殺人犯)、広瀬すず(山中咲江/被害者の娘)、満島真之介(川島輝/朋章の事務所の若手弁護士)、市川実日子(篠原一葵/検事)、松岡依都美(服部亜紀子/朋章の事務所の事務員)、橋爪功(重盛彰久/朋章の父、元判事)、斉藤由貴(山中美津江/被害者の妻、咲江の母)、吉田鋼太郎(摂津大輔/朋章の友人の弁護士)

関ヶ原

2017年08月26日 | 邦画
司馬遼太郎の小説の映画化作品。

うーん。あまり司馬遼太郎の本は読んだ事は無いですが、なんか、司馬遼太郎っぽいなと思ったらだめでしょうか?

いや、個々の映像は素晴らしいんですよ。俳優陣も、岡田君に役所さん、そして平さんと、時代劇の経験が豊富な方々で、所作にも不自然さは無いし、映画と言う事なので、衣装や背景にも(たぶん)お金をかけて良いものを使っている。なので、個々のシーンは、大河ドラマを凌駕する様な、非常に質の良い時代劇映像なんですよ。

でもね。でもね、通してみると、何かモヤモヤとしっくりこない気がするんです。なぜなのか。ここからは、完全に個人的な主観ですが、盛りだくさんの内容の司馬遼太郎の原作のすべてを映像化しようとして、映像に詰めきれなかったんじゃないですかね?だから、なにかぬぐい切れない違和感を感じる。

それと、これは好みの問題ですが、初芽を軸としたラブの話なのか、あるいは、三成の義を通そうとする話なのか、なんか焦点がボケていた感じもします。まぁ、ここで不必要に、初芽とのラブの話に重点を置いてしまうと、誰も期待していないので、完全にダメダメになってしまったとおもいますけどね。

でも、かなり不勉強でした。初芽って、司馬遼太郎の創作だと思ったんですが、インターネット上の情報によれば、本当に居たんですね。正直、このあたりの歴史の知識は、昨年の大河ドラマ『真田丸』によるところが多いので、真田家の話は厚いかもしれませんが、それ以外のところは薄目かも(笑)。でも、『真田丸』見ていて良かったですよ。三成と大谷刑部の友情は、あれで学びましたからね(笑)

最後に。繰り返しになってしまいますが、個々の映像は素晴らしい。でも、通すと?と言う、ちょっと残念な感じでした。

タイトル 関ヶ原

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2017年/日本
監督 原田眞人
原作 司馬遼太郎『関ヶ原』
出演 岡田准一(石田三成)、役所広司(徳川家康)、有村架純(初芽)、平岳大(島左近)、東出昌大(小早川秀秋)、北村有起哉(井伊直政)、伊藤歩(蛇白/阿茶)、中嶋しゅう(赤耳)、音尾琢真(福島正則)、松角洋平(加藤清正)、和田正人(黒田長政)、キムラ緑子(北政所)、滝藤賢一(豊臣秀吉)、大場泰正(大谷刑部)、中越典子(花野)、壇蜜(尼僧妙善)、西岡徳馬(前田利家)、松山ケンイチ(直江兼続)、麿赤児(島津維新入道)、久保酎吉(本多正信)、春海四方(安国寺恵瓊)、堀部圭亮(八十島助左衛門)、三浦誠己(島津豊久)、たかお鷹(長寿院盛淳)、橋本じゅん(毛谷主水)、木場勝己(語り部)