ゆるゆるらいふ

とりあえず、今日も一日機嫌よく・・・

にんじん

2017年08月26日 | 演劇
行こうか、どうしようか・・・と悩んでいたら、
友人から、彼女のお友達が、まちがってチケットを多く買ってしまったから行かないか、とのお誘い。

背中を押された形で新橋演舞場へ。

いかにも、っていうミュージカルは久しぶり。

14歳の少年「にんじん」を演じるのは、60歳の大竹しのぶさん。
一体どんなことになるのだろう、と思っていたら、「少年」だ

もし私が全力で走ったとしたら、そのフォームは「おばさん」のそれになるに違いないのに、
私より年上の大竹さんは、走るのはもちろん、ちょっとしたしぐさの一つ一つが「子供」なのだ。

3人兄弟の末っ子で、一人だけ両親から愛されない、というやりきれない思いを、
身体全体で表現し、切ない歌声で歌い上げると、ミュージカルがニガテな私でも、思わず胸がグッと詰まる。

親の前ではいい子に見せている非行少年の兄。
家を出たいがために結婚に逃げる姉。
母親に虐待されている息子を、見てみぬふりをし、世間体ばかり気にする父親。
上手くいかないすべてのことへの憤りを抑えきれずに息子にぶつけてしまい、自己嫌悪に陥る母親。

ぞくっとするような冷たい目の母親をキムラ緑子さんが熱演。
なんだか情けない父親は宇梶剛士さん。
兄はジャニーズの中山優馬さん、姉は元AKBの秋元才加さんとアイドルも活躍。

小さいころのある期間預けられた名付け親のアンリおじさんは、「にんじん」に愛情を注ぐただ一人の大人だ。
この人がいなければ、にんじんは自ら命を絶っていたに違いない。
ニンジンの個性を理解して、時には味方になってくれる女中のアネットも大切な存在だ。

子供のころに読んだはずの物語だが、いろんなお話とごっちゃになって、
ラストがどうだったのかが、まったく思い出せなかった。

舞台の上のにんじんは、みんなも寂しいんだってことを受け入れて、自分の力で前に進もうと決意する。

昔からある物語だけれど、子供への虐待、夫婦の不和、子供の非行・・・と
現代社会が抱えている問題となんら変わらない。

昔から人々は同じことを繰り返しているのだろうか。

子育てが一段落して、振り返ってみても、自分の子育てがどうであったか、ってことはよくわからない。
愛情はたくさんかけてあげられただろうか。
生きていくためのさまざまな知恵や勇気や、してはいけないことをきちんと伝えてきただろうか。

誰もが「初めて」を繰り返しながら、自分の道を進んで行かねばならない。
親だって「初めて」なのだ。

そして、今もなお、明日はまた初めてのことが起こるかもしれない。

傷つき悩むにんじんにアンリおじさんが言う。
「子供のうちに空をたくさん見ておくんだ。下ばかり見てはいけない。大人になったら空があることすら忘れてしまう」

大人になった今こそ、空を見上げよう、と思う。

始めましての方々二人を交えた4人での観劇は思いのほか楽しく、
観劇後のお茶は昔からの友人と飲んでいるように話がはずんだ。

思いがけず、私のところまで回ってきてくれたチケット。

行こうかどうかを悩んでいたのが嘘のように楽しい時間でした。
友人のお友達に感謝感謝

機会があればまたご一緒しましょう








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