再び06年東大第1問についての発見です。30年戦争、フランス革命戦争、第1次世界大戦の共通点について、アビと散歩をしているときに考えたことです。 国民国家の形成に与えた影響を考えるとき、30年戦争のとき、何が民族間の戦争の争点であったかというと、それは「宗教」です。戦後のウェストファリア条約でも、宗教を国家が決定することを謳っています。国家主権の確立は、絶対王政という国家形成に大いに影響していくわけです。つぎに、フランス革命戦争では「教育」が国民国家形成に大いに影響している。戦争に多くの地域から一般市民が参加したため、地方語の存在は軍隊組織になじまないわけです。そこで国民が一律の共通語を話し、共通するモラルを持つことが求められたのです。そうしないと軍隊組織が停滞します。また、第1次世界大戦は総力戦といわれます。国民の生活すべてが戦争によって影響され、そのことを国民が違和感なく許す環境は「宣伝」によって形成されたわけです。第2次世界大戦のとき日本が「欲しがりません。勝つまでは」といった宣伝を展開したが、この動きは第1次世界大戦のときに始まったのです。以上のように考えると、国民国家ンの形成に向けて3つの戦争が果たした役割とは、それぞれ「宗教」「教育」「宣伝」によって展開された、といえます。 ここまで東大の問題が求めているとは思いませんが、このように思考が発展していくことは、東大の問題の醍醐味でもあります。
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