ジョン・ロックは,イギリスの政治思想家【ホッブズ】の社会契約説を批判的に継承し,政治社会の成立を【自然状態】から説きおこした。ロックによれば,自然状態において人間はすべて独立・平等で,生命・自由・財産にかんする一定の権利を賦与され,労働や貨幣を通してさらなる財産の形成をするという。そこでは人々の間の紛争を解決する機関も権力も欠けているから,人々は人権を内外の侵略者から守るために,各人が自然状態で保有していた権利の一部を政治社会に譲渡して共通の政治権力を形成することになる。
しかしながらこの政治権力はもっぱら生命・自由・財産にかんする権利を擁護するためのものであるから,政府が信託目的に反してこれを侵害する場合には【抵抗権】が認められ,新たな政府を創ることができるという。この抵抗権はアメリカ独立革命の独立宣言やフランス人権宣言にも採用されている。
このようにロックは,生命・自由・財産という立法権によっても侵されない権利を論じ,政治権力を契約によって成立するものとして位置づけた
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