『5』つぎの文章を読んで,下記の設問に答えよ。成城大学
古代インドにおいて成立した仏教とヒンドゥー教はともに、インド北部においてはるかに以前から有力な宗教であった[a]教の影響のもとに形成された。(A) [a]教の成立にかかわる文化的伝統は、インド=ヨーロッパ系の「b」人が、前1500年頃,中央アジアからパンジャーブ地方に侵入して住みつき、さらに前1000年頃以降、東のガンジス川流域へと進出する歴史の長い時間のなかではぐくまれてきた。その長期にわたる民族移動の過程で定住も進み、農業生産が向上して余剰が増大し各地に都市国家が形成される。それにともない、「b」人支配層が先住民族などを階級的に支配する社会構造も確立されて、今日にいたるまでの(B)インド社会に特有の複雑で固定的な身分秩序の基礎がかたちづくられることになる。
前500年頃の「c」を開祖とする仏教の発祥には、(C)こうした階級・階層社会にたいする批判の一面もみられる。それにたいして、その後に隆盛するヒンドゥー教は「a」教を直接の母体としその伝統を継承しつつ、さらにインドの(D)民間信仰や仏教の要素をとりいれながら発展し、インド的な身分秩序の維持に即応する側面が濃厚である。ヒンドゥー教は、とりわけ4世紀に成立した「d」朝の時代から盛んになる。ところが仏教は、その頃からヒンドゥー教に吸収されるようなかたちで、(E)インドにおいてはしだいに衰退し、後のインドのイスラム化の過程で決定的な打撃を被ることになる。
問1、文中の空欄a~dを埋めるのに最も適切な語句を記せ(同一記号は同一語句)。
問2、下線部(A)について,
(1)この宗教の神々への讃歌を記した文献から当時の文化をうかがい知ることができる。その神々への讃歌の文献を総称して何と呼ぶか。
(2)上記(1)に関連して、この宗教に独白の哲学的思索について記した「奥義書」とも訳される聖典は何か。
(3)上記(1)の文献の記述に使用された言語から発達して洗練され、インドの古典の表記に古代から用いられてきた,梵語ともいわれるインド=ヨーロッパ詰系の言語は何か。
問3、下線部(B)について、
(1)この身分秩序の基軸として、四つの「種姓」と訳される階級構造がある。種姓にあたるインドの言葉をカタカナで記せ。
(2)上記(1)に関して、四つの種姓のうち、下層の被征服民の種姓を何と呼ぶか。
(3)上記(1)の種姓に、さらにジャーティといわれる多様な出身集団が組み合わさり構成されたインド固有の身分秩序をポルトガル語起源の言葉で一般に何と呼ぶか。
問4、下線部(C)について,仏教の発祥と同じ頃に、これと同様の批判的な観点をもって登場し、しかも、今日のインドにも約400万人の信者がいる、不殺生・菜食主義の宗教は何か。
問5、下線部(D)について、民間信仰をとりいれることにより、さまざまな神々が生み出され民衆に信仰されることになったが、なかでもヒンドゥー教の最高神とされる二つの神々はシヴァ神と何か。その神の名前を記せ。
問6、下線部(E)について、
(1)仏教は、インドにおいては衰退していったが、その後も,一方では中国やチベットや日本で、他方では東南アジアなどで盛んに信仰されるようになる。そのうち前者にあたる、おもにインド以北の地域で信仰されるようになった仏教を総称して何と呼ぶか。
(2)上記(1)の、北方に伝わった仏教の教義について思索してまとめ、中国や日本の思想にも影響をもたらし、日本の仏教界でも南都六宗・天台宗・真言宗の「八宗の祖師」と仰がれた、2~3世紀の南インド出身の仏教理論家は誰か。中国名を答えよ。
正解
問1.aバラモンb.アーリヤc.ガウタマ=シッダールタd.グアタ 問2(1)ヴェーダ(2)ウパニシャッド(3)サンスクリット語 問3.(1)ヴァルナ(2)シュードラ(3)カースト 問4.ジヤイナ教 問5.シヴァ神・ヴィシュヌ神 問6.(1)大乗仏教(2)竜樹
古代インドにおいて成立した仏教とヒンドゥー教はともに、インド北部においてはるかに以前から有力な宗教であった[a]教の影響のもとに形成された。(A) [a]教の成立にかかわる文化的伝統は、インド=ヨーロッパ系の「b」人が、前1500年頃,中央アジアからパンジャーブ地方に侵入して住みつき、さらに前1000年頃以降、東のガンジス川流域へと進出する歴史の長い時間のなかではぐくまれてきた。その長期にわたる民族移動の過程で定住も進み、農業生産が向上して余剰が増大し各地に都市国家が形成される。それにともない、「b」人支配層が先住民族などを階級的に支配する社会構造も確立されて、今日にいたるまでの(B)インド社会に特有の複雑で固定的な身分秩序の基礎がかたちづくられることになる。
前500年頃の「c」を開祖とする仏教の発祥には、(C)こうした階級・階層社会にたいする批判の一面もみられる。それにたいして、その後に隆盛するヒンドゥー教は「a」教を直接の母体としその伝統を継承しつつ、さらにインドの(D)民間信仰や仏教の要素をとりいれながら発展し、インド的な身分秩序の維持に即応する側面が濃厚である。ヒンドゥー教は、とりわけ4世紀に成立した「d」朝の時代から盛んになる。ところが仏教は、その頃からヒンドゥー教に吸収されるようなかたちで、(E)インドにおいてはしだいに衰退し、後のインドのイスラム化の過程で決定的な打撃を被ることになる。
問1、文中の空欄a~dを埋めるのに最も適切な語句を記せ(同一記号は同一語句)。
問2、下線部(A)について,
(1)この宗教の神々への讃歌を記した文献から当時の文化をうかがい知ることができる。その神々への讃歌の文献を総称して何と呼ぶか。
(2)上記(1)に関連して、この宗教に独白の哲学的思索について記した「奥義書」とも訳される聖典は何か。
(3)上記(1)の文献の記述に使用された言語から発達して洗練され、インドの古典の表記に古代から用いられてきた,梵語ともいわれるインド=ヨーロッパ詰系の言語は何か。
問3、下線部(B)について、
(1)この身分秩序の基軸として、四つの「種姓」と訳される階級構造がある。種姓にあたるインドの言葉をカタカナで記せ。
(2)上記(1)に関して、四つの種姓のうち、下層の被征服民の種姓を何と呼ぶか。
(3)上記(1)の種姓に、さらにジャーティといわれる多様な出身集団が組み合わさり構成されたインド固有の身分秩序をポルトガル語起源の言葉で一般に何と呼ぶか。
問4、下線部(C)について,仏教の発祥と同じ頃に、これと同様の批判的な観点をもって登場し、しかも、今日のインドにも約400万人の信者がいる、不殺生・菜食主義の宗教は何か。
問5、下線部(D)について、民間信仰をとりいれることにより、さまざまな神々が生み出され民衆に信仰されることになったが、なかでもヒンドゥー教の最高神とされる二つの神々はシヴァ神と何か。その神の名前を記せ。
問6、下線部(E)について、
(1)仏教は、インドにおいては衰退していったが、その後も,一方では中国やチベットや日本で、他方では東南アジアなどで盛んに信仰されるようになる。そのうち前者にあたる、おもにインド以北の地域で信仰されるようになった仏教を総称して何と呼ぶか。
(2)上記(1)の、北方に伝わった仏教の教義について思索してまとめ、中国や日本の思想にも影響をもたらし、日本の仏教界でも南都六宗・天台宗・真言宗の「八宗の祖師」と仰がれた、2~3世紀の南インド出身の仏教理論家は誰か。中国名を答えよ。
正解
問1.aバラモンb.アーリヤc.ガウタマ=シッダールタd.グアタ 問2(1)ヴェーダ(2)ウパニシャッド(3)サンスクリット語 問3.(1)ヴァルナ(2)シュードラ(3)カースト 問4.ジヤイナ教 問5.シヴァ神・ヴィシュヌ神 問6.(1)大乗仏教(2)竜樹