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2017年筑波大学第4問 冷戦構造の成立

2021年02月15日 | 論述問題
2017年筑波大学 第4問
各問について,それぞれ400字以内で解答しなさい。なお,解答文中では指定された語句に下線を施すこと。

 第二次世界大戦後,世界はアメリカとソ連という二つの超大国を軸に,西側の資本主義陣営と東側の社会主義陣営に分断され,相互に激しく対立した。このいわゆる冷戦構造の成立期におけるヨーロッパの動向について,以下の語句を用いて説明しなさい。

北大西洋条約機構(NATO)   経済相互援助会議(COMECON)
ドイツ民主共和国 トルーマン=ドクトリン   マーシャル=プラン


解答例
ヤルタ会談にしたがって戦後ドイツとベルリンは東西に分断された。ソ連に解放された東南欧諸国と東独はソ連の衛星国となり社会主義政権が成立した。このような中、アメリカは47年トルーマン=ドクトリンで封じ込め政策を展開し、トルコ・ギリシアの共産化を防いだ。また47年マーシャル・プランの受け入れを表明したチェコでクーデタが発生し社会主義化した。その波及を嫌い48年アメリカ主導で西独が単独で通貨改革を実施した。反発したソ連は西ベルリンを封鎖した。このベルリン封鎖は49年に終了したが、49年東独はドイツ民主共和国、西独はドイツ連邦共和国として独立し、ドイツの分断が確定した。49年西側諸国はアメリカの核の傘の下NATOを結成したのに対し、東南欧諸国はソ連と経済相互援助会議を結成し、55年にはワルシャワ条約機構によりソ連への依存を強めた。そして55年西ドイツがNATOに加盟した結果、ヨーロッパはWTOとNATOの軍事同盟による分断がした。(に)

考え方・書き方
1. 成立期をどの時期かを考える必要がある。一般には1946~1955年。1955年WTO成立と西独NATO加盟。
2. 書くべき内容はヨーロッパの動向。したがって文章の主語がヨーロッパになるように書きたい。多くの受験生は米ソの対立を軸に記述する。この場合アメリカとソ連が主語になる。しかし、本来はヨーロッパの動向を書けというのだから、ヨーロッパを主語にすべきだろう。
3. 時間軸を書くことになるだろうから、正確に書ける範囲で年代を書いたほうが良い。ただし、1949年の出来事は多様だからその順番を正確には書けないはず。うまく時間軸にならないように記述した。
4. 「全ては問題文の中にある」のが世界史論述問題の原則。
5. マーシャル・プランはユーゴも受け入れているので「分断」という文脈では扱いづらい。使い方はマーシャル・プラン➡チェコ・クーデタ➡西独単独通貨改革➡ベルリン封鎖➡空輸で対応➡東西ドイツの独立➡ドイツの「分断」が確定
という文脈で記述するほうが良い。






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