土地を媒介とした人間関係とは、自分が「所有」もしくは「保有」している土地を、「守ってもらう人」とその土地を「守ってあげる人」との人間関係をさします。西欧においては、土地の所有者は「地主(世界史では領主)」ですから、自分がその土地を耕すわけではなく、農奴と呼ばれる農民を働かせるわけです。そのころは農業以外に産業はないですから、土地を所有できなかった人々(農奴)は、領主から土地を借りて生活しなければなりません。 さて、ここで問題なのは、有効な農地はごく限られていた、という点です。非常に貧しい土木工作器具しかなかったはずです。森や沼といった自然の前に、西欧の人々は大変無力でした。おそらくこの辺が日本の中世と違っていた点でしょう。ごく限られた農地を「所有」することに成功した「領主」が人口に占める割合は、5%~8%程度。理不尽な比率です。領主にとって、この理不尽さを「必然」にする必要があった。それが中世のもつ「前近代性」です。現在のわれわれにとって「理不尽」と感じられることですが、中世の人にとっては「必然」でしかなかったといえます。社会倫理が人々の思考をがんじがらめにしていたわけです。 このような窮屈さを打破する力が近代を志向したわけです。
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