Reflections

時のかけらたち

病院で読む「森と生きる」 ・・・ "Living in the Woods" : the best book to read in a hospital 

2023-05-13 22:57:45 | books

入院のお供はスマホで聴くイタリア語とクラシック音楽、そして本数冊。

森と生きるシリーズも3作目です。

森で暮らす片田さんはまるで鳥の仲間みたいに感じられます。病院に持って行く本は1冊はヴィジュアルなものと
思っていました。植物関係もいいと思いましたが、重たい本は止めて鳥と花の絵の画文集にしました。仏教関連の本は
病院で読む本ではないと持ってきて読んで思いました。気持ちはそれどこではないのです。何か心が明るくなる方がいい
です。病院では時間があるので絵も隅から隅まで眺めて楽しくなります。片田さんの本が好きなのは鳥だけでなく植物が
一緒に描かれているところです。植物から自然の世界に入って行った私にとって、いろいろ知ることができて嬉しいです。
それに付いている文章の中に片田さんが現れるので、植物と鳥と片田さんと・・・3つの世界が一つになって何かとても
親しみを覚えるのです。

片田さんの本を見ているとまだ鳥の名前を知ってからそれほど経っていないのですが(とにかく鳩とスズメとシジュウカラ、
メジロ、カラスくらいしか知らなかったのですから)、私がその鳥たちと出会った時の光景など思い出しています。
軽井沢で見たたくさんの小さな黄緑色っぽい鳥がカワラヒワでした。本当に群れてパーっと地面にやって来ました。新宿御苑
でもたくさん見たことがありました。のちに軽井沢で再び見た時、じっくり見れたのか意外と羽根を広げた時奇麗だと思った
ことがありました。
片田さんがきれいな鳥だけでなく、ちょっとかわいそうな鳥を見ても腕まくりして美人さんに描いてあげるという心意気が
好きです。私も初めてカシラダカを見た時は、確か小峰公園だったと思いますが、遠くのぬかるみに降りていてかわいくない
とその時見たルリビタキと比較してしまいました。でも後ほど霧ヶ峰でホオアカを見た時は、私も見方が変わってきて
かわいく思えました。みんなその子なりの可愛さがあります。でもまだまだ初心者でヒヨドリが来たらなんだヒヨかとがっかり
したり、ムクドリだと写真を撮らなかったりして・・・ やっぱりカワイイ子の方に目が行ってしまい、ジョウビタキの女の子や
エナガに出会ったらキュンとしてしまいます。猛禽類への道はまだまだ遠いです。
「コゲラとマユミ」では去年だか高尾山での人だかりで初めてコゲラが赤い実を食べているところを見ました。いつもは宇宙人的な
顔に見える(白いところがウルトラマンの目のように思えてしまって)コゲラがまるでメジロが無心に花の蜜を吸うように
赤い実になりふり構わずとりくんでいる姿を見たことを思い出しました。コゲラはいつもは木を忙しく上ったり下りたりしてギ~と
鳴いてここにいるよと知らせてくれるかわいい鳥です。友達ともコゲランとよんで人気者の鳥です。
片田さんの本を見ながら、自分と鳥とのつながりなど思い出したりして書くととりとめがなくなってきました。

 

 

片田さんの描かれる鳥を見ると愛情にあふれていることを感じます。特に目がかわいいの。
どの絵も好きですが、トラツグミもいいけど「マヒワとハンノキ」の絵がとても好きです。生真面目な目をしていると
書かれているところが面白いです。私はかわいい目と思いました。植物とのコーディネーションも良く絵として色あいも
好きだしお気に入りです。

画文集の中には信州に住む片田さんでもなかなか出会えない鳥たちもたくさんいます。
私の数少ない経験でも初めてゴジュウカラに会った時のこととか、アカゲラを見た時のことははっきり覚えています。
そういう積み重ねがたくさんあって片田さんの画文集の中にそれぞれの思い出があります。
なかなか出会えないからその出会いには価値があります。私はキクイタダキに会ってみたい。

東京では簡単には鳥に出会えないので、私は花探しの方が多いのですが、その時期にしか会えない花との出会いは
嬉しいものです。

立ち読み仲間の彼とのエピソードも、どんな人だったのかな~なんて想像を膨らませてしまいました。

シベリウスのことが文章に出てきて、私もシベリウスの曲に自然を感じます。館野泉が弾くピアノ曲もそうです。館野さんは
音楽の中心でなくそういう影響の少ないところに身を置きたかったと話していて何かわかるような気がします。
今回たまたま入院中にシベリウスの暗めの交響曲を聴きましたが、美しさを感じました。

神様が味方してくれるという言葉が何回か出てきますが、私も人生において神様がいると感じたことが何回かありました。

気の重い病院での時間がとても楽しい時間に変わって行きました。私は今までこの本を鳥が好きな人にプレゼントして
いましたが、今は病気と闘っている人に差し上げたくなりました。贈ってくれた友人にも片田さんにも感謝しています。
片田さんは「コロナの中、少しでも気持ちが明るくなりますように」との思いを込めてこの本を作られたとお聞きしています。


                       (八ヶ岳美術館のHPより)

片田さんは薬科大学を卒業後、彫金をしたり、版画家としても活躍されていましたが
その後水彩画家となり、2000年に蓼科に移住後は、野鳥を中心に森の動植物を描いています。

森の鳥も動物もみんな彼女のお友達です。鳥や花の世界の生態系から宇宙までつながる
世界の中で暮らされています。

出会った鳥たちもまだまだたくさんいるので、その子たちも本にしてあげてくださいね。
続きをお待ちしています。

 

コメント (2)
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