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Reflections

時のかけらたち

最近借りた映画「エレニの旅」と「ファミリア」 ・・・"Trilogia: To livadi pou dakryzei" and " Familia" 

2025-08-29 23:59:05 | movie

エレニの旅  Trilogia: To livadi pou dakryzei 「三部作 第一部 泣く牧草地」

『エレニの旅』
監督・脚本:テオ・アンゲロプロス
撮影:アンドレアス・シナノス
音楽:エレニ・カランドルー
出演:アレクサンドラ・アイディニ、ニコス・プルサニディス、
ヨルゴス・アルメニス、エヴァ・コマタニドゥ
2004年/170分/ギリシア



見出し画像

 

『エレニの旅』 予告編 テオ・アンゲロプロス監督作品

 

若いころ見た「旅芸人の記録」がギリシアの歴史を描いて圧倒的な素晴らしさでした。
オリヴェイラ監督やカウリスマキ、エリセ監督などの映画を見て、急に見たくなったアンゲロプロス監督の
「エレニの旅」でした。

ギリシャの現代史をロシア革命から第二次世界大戦までを描き、歴史に巻き込まれ、愛する者すべてを失っていく
エレニの慟哭が伝わってくる映画でした。今も世界のあちこちで問題になっている難民の話で、さらに混とんとしていく
世の中に対するメッセージ性の強い映画ですが、撮影が素晴らしく、まるで写真集を見ているような映画でした。
画像はどこかタルコフスキーを思い出させるものでした。
音楽も国境を越えて人の心を打つ、歌い継がれてきた人々の思いがこもるものでした。中には「アマポーラ」も流れて
どこかホッとしました。
始まりは神話的でどこかミステリアスな導入もギリシア神話風でしたが、話はどんどん現代史の渦の中にまきこまれて
いきました。遠い昔のことではなく、今も続く直近の歴史です。

ガザやウクライナの無差別殺人のニュースが日々伝えられる中、なぜ人と人が殺しあわないといけないのか、人間という
無意味なことをくりかえす生物に嫌気がさしてきます。この映画にもファシズムに抵抗し、人間らしさを取り戻したい
願いが込められていました。

 

 

ファミリア  Familia

監督:成島出
キャスト:役所広司
吉沢亮 / サガエルカス ワケドファジレ
中原丈雄 室井滋 アリまらい果 シマダアラン スミダグスタボ
松重豊 / MIYAVI
佐藤浩市
製作委員会:木下グループ フェローズ ディグ&フェローズ
配給:キノフィルムズ
familiar-movie.jp/Twitter@familia_movie
(c)2022「ファミリア」製作委員会

2022年製作/121分/PG12/日本
劇場公開日:2023年1月6日

 

吉沢亮が最も尊敬する俳優としている役所広司と共演した映画を見たくなって借りて見ました。
役所広司の空気感と自然な演技には「Perfect Days」でもすごいと思っていたところでしたが
ここでも演技を押さえたナチュラルさがありました。

 

話は私の知らないブラジル移民のコミュニティと日本人の対立の中から人間同士のつながりの
糸口を見つけるこれからの生き方を目指すものでした。


「エレニの旅」とはスケールが違いますが、移民を扱って、日本の中の現実の世界を知ることが
できて良かったと思いました。

 

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アブラハム渓谷に浸る ・・・ immersing myself in the movie ”Abraham's Valley”

2025-08-15 12:47:18 | movie

5月19日

Bunkamuraでの「オリヴェイラ2025没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集」が4月18日から始まって、
ドキュメンタリーを見に行ったことを4月3日のブログに書いていました。その時に柄本佑のトークもありましたが、
今回上映される監督の作品の紹介もあり、アブラハム手渓谷を見たいと思っていました。毎週上映が延長されて
やっと5月19日にル・シネマまで見に行くことができました。

 

アブラハム渓谷(マノエル・デ・オリヴェイラ1993)


とにかく映像と音楽が美しく、帰ってからすぐ使われた曲目をチェックしました。
映像にマッチした音楽が素晴らしく、どれも月に由来していました。

ベートーヴェン:『月光』第1楽章  
フォーレ:『月の光』『夢のあとで』  
ドビュッシー:『ベルガマスク組曲』第3曲〈月の光〉  
シューマン:『月の夜』  
ショパン:『幻想即興曲』 クレジットには"Clair de Lune (Fantaisie-impromptu)"


今残っている印象はもう数ヶ月も経ってしまったのだけれど、ヴィスコンティと同じようにその音楽との
見事な調和がありますが、異なるものだと思いました。耽美的というのともちょっと違うような、ヴィスコンティと
苦悩が違うような・・・ それに女性の立場に立って描いている、新しい女性の。時代と周りの世界との
ギャップに苦しむのは監督自身を投影しているともどこかで読んだような気もする。

映画見た直後のメモはこれだけ

多くの問題を含みながら展開するストーリー

ヨーロッパの歴史、男性と女性、女性の生き方、古いものと新しいもの・・
古さの中にある価値・・ 癒されることのない孤独・・

死の前の輝き・・ 人生はそれでも美しい・・

ヒロインの中にある狂気と死の暗示。

眼の奥にある人々の心の動き・・

(C)Madragoa Filmes, Gemini Films, Light Night

この洗濯をする女性もなにかを象徴して意味ありげでした。機械にとってかわられない人間性でしょうか・・
人間から人間らしさを奪ってしまうことにもなるテクノロジー。


全く私好みの映画でした。

 

解説

ポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリベイラ監督による1993年の映画「アブラハム渓谷」を、98年にオリベイラ監が
自ら再編集し15分の未公開シーンを追加した完全版。19世紀フランスの作家フローベールの小説「ボヴァリー夫人」
をポルトガルの女性作家アグスティーナ・ベッサ=ルイスが翻案した小説「アブラハム渓谷」を原作に、男性的な世界に
詩的な想像力で抵抗する女性の苦悩を描き、オリベイラ監督の代表作のひとつとなった。

オリベイラ監督作の常連俳優レオノール・シルベイラが主人公エマを演じて世界的に注目を集め、同じくオリベイラ監督作
に多数出演するルイス・ミゲル・シントラ、イザベル・ルトが共演。

2025年4月開催の特集上映「オリヴェイラ2025 没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集」にて、ディレクターズカット版
ともいえる「完全版」を劇場初公開。

1993年製作/203分/G/フランス・ポルトガル・スイス合作
原題または英題:Vale Abraao
配給:プンクテ
劇場公開日:2025年4月18日

映画.comより

 

参考)【「アブラハム渓谷 完全版」評論】美的フェティシズムと一線を画する、格調高い芸術性に込められた真意

 

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映画『ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区』 ・・・ Centro Historico

2025-07-16 23:59:36 | movie

「母の眠り」と一緒に借りて見たのが、ポルトガルのオムニバス映画。
オリヴェイラ監督はヴィム・ヴェンダースの「リスボン特急」で見て映画の中で映画を語る姿が
印象的で、その後Bunkamuraでの特集で「アブラハム渓谷」を見に行った監督。
そして大好きなスペインの監督ヴィクトル・エリセが何十年ぶりかに撮った短編。
カウリスマキ監督はポルトガルに20年以上住むフィンランド人と初めて知りました。

この映画はギマラインス地区が欧州文化首都に指定されたことをきっかけにプロジェクトが作られ各監督
に依頼されたという。

 

 

映画『ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区』予告編

 

ポルトガル・オムニバス映画
『ポルトガル、ここに誕生す~ギマランイス歴史地区』(2012)

第一話、アキ・カウリスマキ『バーテンダー』
第二話、ペドロ・コスタ『スウィート・エクソシスト』
第三話、ビクトール・エリセ『割れたガラス』
第四話、マノエル・デ・オリヴェイラ『征服者、征服さる』

 

世界に名だたる4人の巨匠が語る、鮮やかな“ポルトガル発祥の地”の記憶
“ポルトガル発祥の地”とされ、2001年に世界遺産に登録された、古都ギマランイス。EUが提唱する2012年の“欧州文化首都”に
指定されたこの街を紹介するため、一大プロジェクトとして企画された本作。どんな物語を語るべきか?”という問いに、
スタイルもトーンも全く異なる独創的な作品で答えたのは、世界に名だたる4人の巨匠たち。
バーで働く孤独な男の姿を描く、アキ・カウリスマキ監督らしいペーソス溢れる喜劇『バーテンダー』。現代映画の最先端を
行くペドロ・コスタ監督による、アフリカ移民と亡霊との異形な会話劇『スウィート・エクソシスト』。ビクトル・エリセ監督
が贈る、欧州第2の繊維工場跡地で過去の声に耳を澄ます感動のドキュメンタリー『割れたガラス』。そして、現役最高齢となる
104歳のマノエル・ド・オリヴェイラ監督の観る者をあっと驚かす痛快な掌編『征服者、征服さる』。特定のテーマでの競作として
それぞれの視点から切り取られた4つの歴史の物語は、人々に知的な発見と無上の映画体験をもたらすことだろう。
                                              https://longride.jp/libraryより

多くの歴史的建造物が残るポルトガルの古都ギマランイスを題材に、ヨーロッパ映画界を代表する4人の名匠が競作した
オムニバス作品。バーで働く男の1日を描いたアキ・カウリスマキ監督作「バーテンダー」、1974年の革命をモチーフに
したペドロ・コスタ監督作「スウィート・エクソシスト」、閉鎖された紡績工場が題材のビクトル・エリセ監督作
「割れたガラス」、ギマランイス城を舞台に描いたマノエル・デ・オリべイラ監督作「征服者、征服さる」の4話で構成。
2012年・第13回東京フィルメックスの特別招待作品として上映(映画祭上映時タイトル「ギマランイス歴史地区」)。
13年、劇場公開。

2012年製作/96分/G/ポルトガル
原題または英題:Centro Historico
配給:ロングライド
劇場公開日:2013年9月14日

                                                     映画.comより

 
 
 
 
一話のカウリスマキは初めて見たと思うけれど、自然の音だけで撮った台詞のない映画。
画像がきれいだし、流れる音楽と何か小さなドラマがあったような・・ 自然で淡々とした
描き方で好きになりました。「枯れ葉」という彼の映画が見たいと思ったけど TSUTAYA DISCAS
ではありませんでした。
 
二話は意味不明。全く理解できなくて、2度見る気がしませんでした。
他の短編は2度見ました。
 
特にエリセ監督の映画は歴史とはとかいろいろ説得力がありました。
ドキュメンタリーとなっていましたが、プロの俳優さんたちもいたみたいです。
安い労働力として使われた人々の過酷な労働でしか生きることのできなかったやるせない思い。
一枚の大きな写真の中の人々の顔には笑顔がなく厳しい表情でその生活を物語っていました。
歴史がぎっしりつまった「ガラス工場」。
 
カメラの前で人々が語る現実
過酷できつい労働の日々、そこに労働や移民の問題も含組んでいるように思いました。

現実、真実の重みの前に映画は何ができるのかと思いました。
生きていくために低賃金で働くしかない人々のなんとも言えない表情。
その写真の前でアコーディオンの音色がやさしくまるで鎮魂歌のような響きで
彼らを包んでいました。

同じく私の大好きなオルミ監督の「木靴の木」を思わせる映画でした。

とてもインパクトのある映画でした。人々が語る歴史・・
その中で普通の人がインターネットがすべてを牛耳っていると話し、大きな問題定義を
していました。世界は今までにないほど様変わりして来ていると思います。
 
最後のオリヴェイラ監督の映画はポルトガルの歴史ですが、どこかユーモラスでした。
グレン・グールドのピアノ、バッハのイタリア協奏曲が引き締めてあっけなく終わった
ショート・ムービーでした。久しぶりに聴くバッハが私の気持ちも引き締めてくれました。
 
 
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母の眠り ・・・ One True Thing

2025-07-14 23:57:06 | movie

 

2度目に見た「母の眠り」、中で流れた曲を確認したくて。
シンディ・ローパーは間違えでベット・ミドラーでした。

それにも増して、その内容にさらに感動が増しました。
20年くらい前に借りて見たと思う。メリル・ストリープが大好きな女優さんだったし、
テーマも女性の仕事と家事、安楽死など身近に考えるべきことでした。

女友達と車の中で楽しそうに歌う”Friend”がとても印象的で、ずっとシンディー・ローパーかと思って
いました。今回2回目になるけど図書館から借りて見たのは誰が歌っていたのか確認するためでした。

 

監督1998年製作/128分/アメリカ
原題または英題:One True Thing
配給:UIP
劇場公開日:1999年11月13日

監督…カール・フランクリン(Carl Franklin)
原作…アナ・クィンドレン(Anna Quindlen)
脚本…カレン・クローナー(Karen Croner)
音楽…クルフ・エイデルマン(Cliff Eidelman)
編集…キャロル・クラベッツ(Carole Kravetz)
撮影…デクラン・クイン(Declan Quinn)
主題歌…ベッド・ミドラー(Bette Midler)―マイ・ワン・トゥルー・フレンド

キャスト
ケイト・グールデン(Kate Gulden) …メリル・ストリープ(Meryl Streep)
エレン・グールデン(Ellen Gulden) …レニー・ゼルウィガー(Renee Zellweger)
ジョージ・グールデン(George Gulden) …ウイリアム・ハート(WIlliam Hurt)
ブライアン・グールデン(Brian Gulden) …トム・エベレット・スコット(Tom Everett Scott)
ジョーダン・ベルツアー(Jordan Belzer)…ニッキー・カット(Nicky Katt)
ジュールス(Jules) …ローレン・グラハム(Lauren Graham)
地方検事 …ジェームス・エクハウス(James Eckhouse)
トゥイーディー(Mr.Tweedy) …パトリック・ブリーン(Patrick Breen)
オリバー・モスト(Oliver Most) …ギャリット・グラハム(Gerrit Graham)

人生の深さや命の重みを問いかける心温まる人間ドラマ。正反対な道を歩みなぞの死をとげた母の生き方を通し、
親子の関係と家族のきずなを娘の視点で見つめた感動作。

大都会NYでジャーナリストとして自立した生活を送るエレン。父に頼まれ不本意ながら病に倒れた母の世話を
すべく帰郷。慣れない看病に疲れ父との衝突を繰り返しながらも、やがて母の愛情と真実の姿を知る。

                                           Movie Walker より

専業主婦として生きた病身の母親と、彼女を看病するために帰省したキャリア・ウーマンの娘の姿を描いた
ヒューマン・ドラマ。ジャーナリストのアナ・クィドレンの同名小説(邦訳・新潮社刊)の映画化  映画.com より

 

ブリジット・ジョーンズでおなじみのレニー・ゼルウィガーは現代の女性の生き方を見事に演じ
彼女の目を通して父親観や母親感が変化していくのがわかります。誰もに共通するようなことです。
崩れたリスペクトしていた父親像とその関係の最後での和解と受け入れられなかった母親の人生の
意味を理解していきます。




娘に必死に伝える幸せとは・・




自分の身体がきかなくなっていくことへのいらだちとプライドを見事に表現していました。

 

キャリア・ウーマンだった娘に仕事上のアドバイスをしても、家の中の雑事や介護を平気で押し付けてくる父親。
30年近く前の映画だけど今になるとさらにこのジェンダー差が際立つ。父親に対する尊敬の気持ちが
消えて行き、父の弱さを見せつけられる娘。私もそうだったように誰にでも共通の思い。女性の家庭での
立場とか・・ 母親の強さとその愛情で包み込む家庭。

母親との最後の短い時間の中に生活の中にあるささやかな幸せに気づかされていく娘。

母親の圧巻的なセリフは
幸せになるっていうことはかんたん
持っているものをただ愛すればいい
持っていないものや持っていないと思っているものを追い求めるより幸せ

It's so much easier to be happy, my love. It's so much easier to choose to love the things that you have,
and you have so much, instead of always yearning for what you're missing, or what it is you're imagining
you're missing. It's so much more peaceful.


結婚生活は妥協の繰り返し・・・でも翌朝目が覚めて、キッチンのコーヒーの香りや子供たちの笑顔で
夫は思っていたような人でなかったけれど人生の一部と思い直す。

日本語のタイトルではわからないけれど、原題”One True Thing”は映画のラストの妻の墓の前で父親役の
ウィリアム・ハートの台詞、「一番大切なもの、一番大切なこと、かけがえのない宝」と話すシーンに
現れます。

キャスト全て好きな俳優さん達でよかったです。歌のおかげで見直すことができました。

 

One True Thing (1998) Trailer | Renee Zellweger, Meryl Streep, William Hurt

 

 

Bette Midler - Friends

 

Bette Midler - My One True Friend (from "One True Thing") Live at Rosie O'Donnell Show (1998) HD

 

My One True Friend by Bette Midler 

And now, is it too late to say

How you made my life so different in your quiet way?
I can see the joy in simple things,
A sunlit sky and all the songs we used to sing.

I have walked and I have I prayed.
I could forgive and we could start again.
In the end,
You are my one true friend.

For all, all the times you closed your eyes,
Allowing me to stumble or to be surprised,
By life, with all it’s twists and turns.
I made mistakes, you always knew that I would learn.

And when I left, it’s you who stayed.
You always knew that I’d come home again.
In the end,
You are my one true friend.

Though love may break, it never dies.
It changes shape, through changing eyes.
What I denied, I now can see.
You always were the light inside of me.

I know, I know, I know, I know it was you.

I have walked and I have I prayed.
I could forgive and we could start again.
In the end, you are my one true friend.

My one true friend.
I always, always knew,
I always knew that it was you,
My one true friend

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映画「国宝」 ・・・ Kokuho ( National Treasure)

2025-07-06 03:31:12 | movie

吉沢亮は2018年ころ電車の中のエステの広告(銀座カラー)に載っていた私にとっては無名の注目の人で、娘にあのポスターの
女性より美しい人は誰と、ジャニーズあたりかと思い聞いていた人です。その後朝ドラにとてもさわやかな役で出て
やっと芽が出てきた感じでした。その後いろいろな映画で活躍してきた俳優で、長い売れなかった時代から頭角を
あらわしてきました。その吉沢亮のカンヌ映画祭での出品で初めて知った「国宝」は今年見たい映画でした。
歌舞伎の美の世界を体現するほどのすごい役者さんに成長していました。

【写真の時期を読む】「自分にとっては演技が一番。いまは演技しかありません」 GQ JAPAN より

原作を読んでいないので細かいところはわからないのですが、まったく反対の立場に身を置く二人が憎みあうこともなく
運命を受け入れながらお互いをライバルとして、深いつながりを持って成長していく姿が美しかったです。二人の友情が
軸になり、一つの世界を上り詰め国宝となった男の物語でした。田中泯が演じた万菊の生き方もまた何かこの映画を底で
支えているような感じがしました。エンタメ性も強く、特にカメラが良かったと思ったら、日本人ではなかったのですね。
迫力がすごくありました。彼らを支えた女性たちがあまり描かれてなかったのは少し残念。

監督に喜久雄として曽根崎心中を演じてと言われて、歌舞伎役者とは違い、劇中劇として演じたことはとても難しかった
と思います。そこが映画なのですが。その中で喜久雄対俊介ではなく吉沢亮対横浜流星の姿も見たような感じがしました。
横浜流星もまるで本物の歌舞伎役者にいそうなそんな感じで見事な個性でした。

この映画を見ながら私の心に浮かんだのが玉三郎が最近の菊五郎襲名披露公演で踊った「京鹿の子三人道成

舞台に立つ重圧感も伝わってきて、歌舞伎を時々楽しませてもらっているけれど、あの重い衣装を着けて、しかも高齢になって
行く役者さんたちにとって、並ではない覚悟があることを再認識しました。音楽にしても演劇にしても舞台に立つ人には
リスペクトの気持ちを持って、身が引き締まる思いを持ち続けたいと思いました。

映画を見る前にNHKのスイッチインタビュー「吉沢亮×四代目 中村鴈治郎」を見ることができて、曽根崎心中の理解が
深まって、よかったと思いました。喜久雄の思いとお初の思いと吉沢亮の思いが、決意が重なったような見事な芝居と
なっていました。

とにかく、吉沢亮も、横浜流星も命を懸けて本物の歌舞伎を求めた渾身の作品で、歌舞伎の舞台も素晴らしく、あっという間に
時間が経ってしまった映画でした。

あとから李監督の対談を見たら、吉沢亮を最初から想定した映画で、彼が引き受けなかったら存在しなかった映画と話していました。
吉沢亮の底知れない沼のようなミステリアスな面と、キラキラした美しさが彼の魅力と語っていて、役者としてどんな役にも
なれるような感じがしました。間違いなく彼の代表作と誰もが思っている演技ですが、この作品を経験して成長した彼の今後も
楽しみに思えます。

ほんものを求め続けてしがみついた後に見た風景は両親が殺されたときに降った雪のように、舞い続ける紙吹雪か、
それとも何か光が見えたのか、生ききった姿に対する安堵感なのか・・
最後に思ったことは国宝でも観客があってのことと。一緒に創り出していくものではということでした。芸術は一人のものでなく
人々に与えるものと・・ 

 

2025年製作/175分/PG12/日本
配給:東宝
劇場公開日:2025年6月6日

スタッフ

監督 李相日
原作 吉田修一
脚本 奥寺佐渡子
撮影 ソフィアン・エル・ファニ
美術 種田陽平

キャスト

  • 立花喜久雄  吉沢 亮
  • 大垣俊介   横浜流星
  • 福田春江   高畑充希
  • 大垣幸子   寺島しのぶ
  • 彰子     森 七菜
  • 竹野     三浦貴大
  • 藤駒     見上 愛
  • 少年・喜久雄 黒川想矢
  • 少年・俊介  越山敬達
  • 立花権五郎  永瀬正敏
  • 梅木     嶋田久作
  • 立花マツ   宮澤エマ
  • 吾妻千五郎  中村鴈治郎
  • 小野川万菊  田中 泯
  • 花井半二郎  渡辺 謙

 

 
国宝オフイシャルサイトより

 

July 4 2025  Shinjuku

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輝ける青春 ・・・ La Meglio Gioventu

2025-05-31 23:55:49 | movie

 

キャスト

ルイジ・ロ・カーショ(ニコラ[Nicola Carati]、カラーティ家の長男)
アレッシオ・ボーニ(マッテオ[Matteo]、弟)
ジャスミン・トリンカ(ジョルジャ[Giorgia]、精神が不安定)
アドリアーナ・アスティ(アドリアーナ[Adriana]、母)
ソニア・ベルガマスコ(ジュリア・モンファルコ[Giulia Monfalco]、二コラの妻)
ファブリツィオ・ジフーニ(カルロ・トンマージ[Carlo Tommasi]、親友)
マヤ・サンサ(ミレッラ・ウターノ[Mirella Utano])
ヴァレンティーナ・カルネルッティ(フランチェスカ[Francesca]、カラーティ家の次女、カルロと結婚)
アンドレア・ティドーナ(アンジェロ[Angelo]、父)
リディア・ヴィターレ(ジョヴァンナ[Giovanna]、カラーティ家の長女)
マヤ・サンサ(ミレッラ・ウターノ[Mirella Utano])
カミッラ・フィリッピ(サラ、ジュリアの娘)
クラウディオ・ジョエ(ヴィターレ・ミカーヴィ)
リッカルド・スカマルチョ(アンドレア・ウターノ、ミレッラの息子)
ジョヴァンニ・シフォーニ(ベルト)
グレタ・カヴオーティ(8歳のサラ)
サラ・パヴォンチェッロ(5歳のサラ)

スタッフ

監督: マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ
脚本: サンドロ・ペトラリア / ステファノ・ルッリ
製作総指揮: アレッサンドロ・カローシ
製作: アンジェロ・バルバガッロ / ドナテッラ・ボッティ
撮影: ロベルト・フォルツァ
美術: フランコ・チェラオーロ
衣装: エリザベッタ・モンタルド
編集: ロベルト・ミッシローリ

基本情報

原題: La meglio gioventù
英題: The Best of Youth
製作会社: BiBi Film, Rai Fiction
配給: 東京テアトル(日)
公開日: 2003年5月19日(カンヌ国際映画祭)、2003年6月22日(伊)、2004年4月30日(イタリア映画祭、日)、2005年7月9日(日)
上映時間: 366分
製作国: イタリア
言語: イタリア語

@DVD

日本ではイタリア映画祭の後、岩波ホールで上映されたとのこと。全く知りませんでした。
岩波ではサタジット・レイの三部作を一日で上映してお昼を持って行って、見た若いころの記憶があります。

イタリア語のレッスンの時にちょうどイタリア旅行から帰ってきたAkikoさんの話でフィレンツェが洪水一歩手前で、多くの人が
何十年も前のフィレンツェ大洪水のことを思い出していました。映画でもヴォランティアで洪水の後の復興のシーンがあり、
それでこの映画の話になり、先生お薦めなので借りてみることにしたものです。6時間以上の大作でもあり、借りてから
1ヶ月近く見ることができませんでしたが、やっと時間ができて一日で見切りました。

  ジョルジャとマッテオと二コラ

この映画の時代が自分よりおそらく2~3歳くらい上の世代だと思いました。戦後まもなく生まれた世代かと・・
学生運動やタイプからパソコンへの時代の変化、イタリアの現代史としてフィレンツェの大洪水、学生運動と赤い旅団、シチリアの
マフィア、フィアット社の大量レイオフの等が物語に絡んで進行していきました。日本でも多くの学生が学生運動にかかわり
その後の人生も狂わせました。自分の同時代を生きた若者の物語だったので、時代を重ね合わせ考えさせられることが多かった映画
でした。世の中との違和感や不正に耐えられず向かって行って、心を閉ざし、規律の中にストイックに身を置いたマッティオと
人権を守るために精神科医になった兄の二コラ。姉のジョバンナは検事となり、企業の公害やマフィアの事件を扱い、精神科医と
なった二コラの患者の人権を守るための裁判など社会的な問題も多く含みながら物語は続くのですが、親子や友達、恋人、夫婦の
お互いを気遣う気持ちなども丁寧に描かれていました。

 繊細過ぎたマッティオ

 ジュリア

 あたたかみが感じられる事業家の父と愛情深い教師の母

 末の妹フランチェスカと親友カルロ

 マッティオの恋人でカメラマン ミレッラ

 マッティオの息子と二コラの出会い

 

第一部のオープニング曲は The Animals の「The House of the Rising Sun(朝日のあたる家)」、第二部のオープニング曲は
Queen の「Who Wants to Live Forever」。そのほかたくさんの若いころ慣れ親しんだ曲やクラシック音楽が使われました。
シューマンの異国にてはソフィーの選択でも使われていて印象的でした。
最初はアメリカのポップスばかりで嫌だと思ったりしましたが、あの時代は世界的にアメリカやイギリスのポピュラーソング
が当たり前でした。時代を感じさせて懐かしく思いました。イタリアもきっとカンツォーネだけでななかったのですね。

学生運動に深くかかわって、最後には赤い旅団の一員となって行ったジュリアが最初にひいたモーツァルトのソナタがとても
アグレッシブに聞こえましたが、その後の話の展開で納得です。ピアノを弾いて見たらと言う二コラの父親のやさしさも
感じました。ジュリアはラストには音楽に救われていくようでした。

この映画の最後の方に流れたピアソラの曲がエンディングに向かい心に沁み、終わった後も静かに流れました。
マッティオやジュリアの閉ざされた世界から、二コラがマッティオにも小さな物語があったのだと感動を母に伝えるシーンに
ほっとするものがありました。人生にはいくつかの小さなすてきな物語がある・・ すてきなこと。

「輝ける青春」というタイトルななんともぴったり来なくて、原題と違うのではとも思ったけど意訳ではなくその通りで
パゾリーニの詩のタイトルと同じだそうです。

世界は美しいことを感じることもできずに自ら死を選んだマッティオの思いが息子に伝わり、ノルウェーの自然の中で
恋人と共に世界は、人生は美しいことを実感するラストシーンが良かったです。

 

映画で使われた音楽

‐輝ける青春(マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ2003)
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番第1楽章 ジュリアが演奏
シューマン:『子供の情景』から「見知らぬ国と人びとから」 トリノの自宅アパートでジュリアが演奏
ラヴェル:『ソナチネ』第1楽章 ジュリアがニコラの父親の前で演奏
モーツァルト:クラリネット協奏曲第2楽章 カルロがニコラに理想の銀行について語る場面
ソル:『24の練習曲』Op.35から第22番「月の光」 ニコラが物思いにふける場面で
バッハ:モテット「主に向かって新しき歌をうたえ」BWV.225 ジュリアがスコアを目で追うと、その音楽が
バッハ:2声のためのインヴェンション第2曲ハ短調 ラスト近く、刑務所を出所したジュリアが、教会のパイプオルガンで
ブリテン:『シンプル・シンフォニー』から第3楽章「センチメンタル・サラバンド」 時代や場所の転換の時などに
ピアソラ:『オブリビオン』『リメンブランス』『天使のミロンガ』
ジョヴァンニ・ソッリマ:『アクィラルコ』から「アリア」

THE HOUSE OF THE RISING Sun       The Animals
ORA O MAI PIU                                         Mina
AIN'T THAT A SHAME                               Fats Domino
REACH OUT I 'LL BE THERE                      The Four Tops
I HEARD IT THROUGH THE GRAPEVINE   Creedence Cleawater Revival
A CHI  (HURT)                                           Fausto Leali
I'M THROUGH WITH LOVE                       Dinah Washington
TIME AFTER TIME                                      Dinah Washington
WHO WANTS TO LIVE FOREVER              Queen
SOMETHING 'S NEW
BLUE MOON
FASCINATION
AMANDA  MIO
SODADE                                                   Cesaria Evora
FRUTO PROIBIDO                                    Cesaria Evora

Georges Delerue :  JULES ET JIM :CATHARINE ET JIM    
 トリフォーの映画「突然炎のごとく」より

 

Fausto Leali - A Chi

A chi
sorridero' se non a te.
A chi
se tu, tu non sei piu' qui.
いったい誰に
私は微笑めばいいの、あなた以外に
いったい誰に
あなたが、あなたがここに もういなければ

Ormai e' finita,
e' finita, tra di noi.
もう終わってしまったこと
私たち2人の間は

Ma forse un po' della mia vita
e' rimasta negli occhi tuoi.
しかし私の人生の一部はもしかして
あなたの瞳に残っているかもしれない

A chi
io parlero' se non a te.
A chi
raccontero' tutti i sogni miei.
いったい誰に
話せばいいの、あなた以外に
いったい誰に
自分の夢をすべて語ればいいの

Lo sai m'hai fatto male
lasciandomi solo cosi',
ma non importa, io ti
aspettero'.
知ってる? あなたは私を傷つけた
こんなふうに私を独りぼっちにして
でもかまわない、私はあなたのことを
ずっと待ちます。

作詞:Jimmie Crane, Al Jacobs, Mogol Giulio Rapetti 和訳:鈴木マリア・アルフォンサ
出典:NHKラジオ『まいにちイタリア語』2009年2月号

 

参考)

「輝ける青春」La meglio gioventù

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La prima cosa bella (First Beautiful Thing) 

2025-05-06 23:55:07 | movie

5月4日

ポスタービジュアル

暖かい陽がそそぐ樹林墓地にお墓参りに娘と行って、近くの緑の中を散歩してランチを取った後に、一度家に戻り、
有楽町の朝日ホールで開催されているイタリア映画祭に行きました。連休にたいていどこにも行かないので、イタリア映画祭
で面白そうなイタリア映画を時々見に行くことがあり、ここ数年は特に楽しみになってきていました。

新しい映画の中から今イタリアで話題になっている映画をみつけて、見に行くのも楽しいのですが、今回一番見たかったのは
「はじめての大切なもの」でこれ1本に絞ることにしましが。このほか、Vermiglioや後からFolleMenteも面白そうと思いましたが
オリヴィエイラ特集の方も継続されるのかどうか気になっていました。



 

La Prima Cosa Bella は2011年に上映されたことのある今回の特別上映作品でした。

さらに、イタリア映画祭25周年を記念し、「イタリア映画祭2011」での上映以来、国内では鑑賞することができなかった
はじめての大切なもの」の上映も決まっている。「人間の値打ち」のパオロ・ビルジ監督の隠れた傑作として知られ、
イタリアトップ女優のミカエラ・ラマッツォッティの出世作でもある。

                                         映画.com ニュースより

「はじめての大切なもの」

「イタリア映画祭2025」(2024年5月1~6日=東京・有楽町朝日ホール/5月10、11日=大阪・ABCホール)上映作品。

2010年製作/118分/イタリア
原題または英題:La prima cosa bella

Directed By: Paolo Virzì

Anna(da giovane):Micaela Ramazzotti
Anna:Stefania Sandrelli
Bruno (adulto): Valerio Mastandrea
Valeria(adulta):Claudia Pandolfi
Mario:Sergio Albelli
Loredano Nesi, detto Loriano:Marco Messeri
Avvocato Cenerini:Dario Ballantini
Cristiano Cenerini:Paolo Ruffini
Bruno(bambino):Giacomo Bibbiani
Valeria(bambina):Aurora Frasca
Bruno(adolescente):Francesco Rapalino
Valeria(adolescente):Giulia Burgalassi
zia Leda:Isabella Cecchi

First Beautiful Thing - Official Trailer


 

タイトルだけで何の解説も見ていなかったので、先入観0で見た映画で、最初この二つのエピソードがどう繋がるのだろうと
ワクワク感があるさすが作り方がうまい映画でした。スピーディに二つの家族が描かれて、時間差があり、同じ人だったのだと
わかるまで少し時間がかかり、監督にしてやられた感じ。私が鈍すぎたのかもしれません。この若いママの生き方の話かと
思っていたのが、この男の子が軸になっていたのがわかり、スッキリしたのが家に帰ってから見たアメリカ公開の際のトレーラーを
見てからでした。ずっとLa Prima Cosa Bellaは何を指すのだろうかと考え続けて見た映画でした。しかしテンポのいい映画で
飽きさせず、ヴァイタリティあふれるイタリアのマンマから目が離せません。美人コンテストに選ばれたことから起こる予想外の
出来事にもパワフルに子供を愛し続け、生き抜いて、人生を愛した女性の話です。

でもこの映画のストーリーの軸は息子のブルーノが亡くなる寸前の母と再会し、その愛を取り戻し、生きる力を得て行く
最後のシーンにつながる映画でした。

10数年前の少し古い時代のイタリア映画らしいイタリア映画でした。
結婚観なども変わりつつある時代に、何か原点を突きつけられたような感じ。市役所の人が執り行う結婚式の
シーンが一番感動しました。そのテキストが欲しいのだけれどみつけることができませんでした。結婚ってそういうもの
なのだったねと。母がなくなる前に結婚したいと言い、病床で式を挙げ、子供にも囲まれ、生涯を閉じて行く・・
今失われつつある結婚、家族とはと考えさせられるコメディでもありました。結婚式の言葉に涙がたまりました。
このママにとっては最初の結婚がLa Prima Cosa Bellaだったのかもしれません。映画の流れでは次の結婚の誓いだったのですが。

見る人によって、どの視点で見るかでも変わってくる、監督からいろいろ投げかけてくるようなそんなおもしろい映画でした。

 

 

LA PRIMA COSA BELLA はじめての大切なもの  

 




朝日ホールへ向かう途中で見たディスプレイより

 

Bicerin 映画の後はトリノ発の老舗カフェでBicerinをいただきながら、映画の話で
贅沢なイタリア映画祭のひとときでした。ヘミングウェイやニーチェも好きな飲み物
だったとか・・・ エスプレッソに、チョコレート、生クリームが層になっていました。
とてもおいしかったです。

 

 

May 4  2025   Ginza

 

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「東京物語」と「ベルリン天使の歌」・・・"Tokyo Story " and "Der Himmel über Berlin"

2025-04-17 23:57:59 | movie

偶然借りた二本の映画。二つとも若い頃に見たことがあるのだけど、ベルリンの方は最初の方のトーンが暗すぎて
確かTVでやっていたのだと思うけれど途中で見るのをやめた記憶。「Perfect Days」から「リスボン特急」を見て、そして
ベルリンに来たわけ。「パリ・テキサス」も何となく見た記憶があります。「ベルリン天使の詩」はあまりにも見ごたえが
あるので驚きましたが、「Perfect Days」からずっと遡って繋がっている感じがよくわかります。

1月に借りたまま、見る暇もなく、サブスクの料金がもったいなくもうやめようと思っていたところでした。
2本とも素晴らしく、またいい映画を発掘し見る時間を作らないとと思いました。

 

 

4月3日 「東京物語」

映像がとにかく素晴らしい。
日本家屋のあの縦線がなんとも新鮮です。
始まると心が震えてドキドキしてくるのがわかります。この地味な映画にある不思議な力。
カメラが低い位置からとらえている場面も素敵。

昔見た時はなんだか自分の子供は冷たくて、原節子演じる女性だけが老夫婦の心を温かくしてくれた映画としか
記憶がありませんでした。

今見ると笠智衆がなんとも表情が素晴らしい、名優ということを初めて実感しました。昔からなんであんなに棒読み
と思っていましたが、表情というかにじみ出てくる人柄というか・・・

 


東山千栄子もすごい女優さんで、演じているとは思えないほど自然でした。
私は祖母を思い出して思わず涙が流れました。

だれもが心にいろいろなものを抱えて、それでも生きて行く、淡々と・・ あきらめにも似て。

私は小津の作品を見ると自分が生まれてかすかに覚えている幼少期の風景や家庭の絵が浮かびます。
なつかしいとも何とも言えないもの。その時代を全く知らない若い人が見るとどんな風に思うのかしらとも
思います。彼の映画は昭和の記録としてもすごいと思います。特に映像が素晴らしいです。
そして日本語の美しさやあの時代の何か楚々としていて、礼儀正しく、気品に溢れた佇まいにあこがれてしまいます。


松竹のデータベースによると2012年に英国映画協会が10年ごとに発表している映画監督358人による史上最高の映画の
第一位に選ばれたという。ヴェンダース監督を始め、ヴィクトル・エリセ等多くの監督が小津の映画のファンが多いです。

 

1953年製作/135分/日本
配給:松竹
監督 小津安二郎
脚本 小津安二郎 野田高梧 撮影 厚田雄春 
出演 原節子、笠智衆、香川京子、山村聡、三宅邦子、安部徹、大坂志郎、東山千栄子、杉村春子、中村伸郎、東野英治郎

 

『東京物語』予告篇

 

 

4月14日~15日 「ベルリン・天使の詩」




 

『ベルリン・天使の詩』日本版劇場予告編

 

1987年製作/128分/G/西ドイツ・アメリカ合作
原題または英題:Der Himmel uber Berlin
配給:東北新社
劇場公開日:2021年11月5日

その他の公開日:1988年4月23日(日本初公開)

監督:ヴィム・ヴェンダース
キャスト:ブルーノ・ガンツ(ダミエル)守護天使
     ソルヴェーグ・ドマルタン(マリオン)サーカスのブランコ乗り
     オットー・ザンダー(カシエル)守護天使
     クルト・ボウワ(ホメロス) 老詩人
     ピーター・フォーク(本人役)

 

何十年も前に少しだけ見た思うこの映画の出だしからのすばらしさになぜ気が付かなかったのだろう。
最初に出てくるこの詩だけでもすごいインパクト。それは私の子供時代に思っていたことだから。

オーストリアの詩人、ペーター・ハントケ*の「幼年時代の歌」
                        *2019年にノーベル文学賞受賞


子供は子供だったころ
いつも不思議だった
なぜ僕は僕で君でない
なぜ僕はここにいてー
そこにいない

時の始まりはいつ?
宇宙の果てはどこ?

この世で生きるのは
ただの夢?
・・・(略)

小学生の6年の頃だったと思う。時の始まりと宇宙の果て、永遠についていつも思っていて、担任の先生を
心配させた。

初めて見た時にこの映画があまりにも暗く、そして天使らしからぬ天使・・ とにかく見る気がしなかった。
今回は「Perfect Days」で初めてちゃんとヴェンダース監督の映画を見て、「リスボン特急」を経て、このベルリンを
見ることにしたもの。

映画のクレジットに安二郎に捧ぐに驚き、後に彼はロベール・ブレッソンとサタジット・レイを今なら加えた
だろうと語ったという。私の好きな映画監督たちです。この天使はリルケの詩『ドゥイノの悲歌』の世界観に
基づいた映画と書かれていました。リルケも学生時代からひかれ続ける詩人です。

この映画が描く、戦争、冷戦終結直前のベルリン・・暗く重圧感が立ち込め、人々のうめき声が聞こえる
天使たち。映画も黒白の世界です。霊や心の世界をあらわしています。誰でも寂しい心を抱えて生きて、
思い通りに行かない人生。それでも悲惨な戦争や終わり、生きていることを感じ始める人々。人間として生きる
感覚が甦ってきます。戦争と平和もこの映画のひとつのテーマだと思いました。

ダミエルは永劫の時に漂うより、自分の重さを感じたい、風を感じたいと思うようになります。永遠の幻より
なにげない一日の素晴らしさを感じて行きたいと・・・すべての感覚が目覚めるところはPerfect Daysに通じる
ように思いました。

ダミエルが霊から人間になって、映画の感覚も動き始めます。色がカラーになり、ダミエルの感触がこちらにも
伝わってきます。

一方、老詩人のホメロスは世界はたそがれていくような中、私は語り続ける。歌に支えられ、物語は現在の混沌に
足を取られず、未来に向かう。幾世紀をも往来する物語は終わり、今は一日一日を思うのみ。勇壮な
戦士が主人公でなく、平和なものだけが主人公の物語。私が諦めたら人間は語りべを失う。

映画の最後にも人々には語りべがいると結んでいる。語りべは映画だったり、文学だったり、音楽やあらゆる芸術表現
のような気もする。

もう一つのファンタジーはマリオンとの愛。恋?
この世の生はただの夢、サーカスが終われば夢から覚めるというマリオン。
でも彼女はすべては偶然ではなく、必然だったということに気づく。
初めて真剣に考え決断をする。

「一体だったなんて、誰が本気で言うかな。僕は一体だ。ふたりは有限の生命の子ではなく、永遠のイメージを孕んだ。
ふたりで孕んだイメージ、それは僕の命。終生の伴侶だ。ふたりだという事の驚き。男と、女の、驚き。それが僕を人間にした」
このダミエルの言葉がいろいろな比喩的な表現なのかどうかは見た人の解釈によって違うだろうかと思います。新しい世界とか
世界の歴史を作るという言葉も個人のこととも思えません。ベルリンや世界情勢のこともふくみ、一番小さな単位では二人、
男と女から始まるのかも。この世にどうして男と女がいるのだろうとか不思議なことも考えさせられる映画で天使と人間の
ラブ・ストーリーと言った簡単な映画でないように思えて、そこがまたおもしろい映画でもあり、単純に人間としてこの世に
生きることとはとも感じさせられる映画でした。
 

忘れるところでしたが、ピーター・フォークもいい味を出していました。ヴェンダース監督はキャスティングもすごいです。
映画の重要な要素です。

おまけ)
また日本びいきの彼は京都や東京という地名を出したり、飾ってあった絵は竹久夢二だったり、デヴィッド・ボウイ以前の
ようなロック歌手のコンサートでは日本人の女の子のいきなりの日本語の台詞も流れたりしました。

 

*「ベルリン・天使の詩」 わらべうた 原詞 ペーター・ハントケ Peter Handke
第1章
子供は子供だった頃
腕をブラブラさせ
小川は川になれ 川は河になれ
水たまりは海になれ と思った
子供は子供だった頃
自分が子供とは知らず
すべてに魂があり 魂はひとつと思った
子供は子供だった頃
なにも考えず 癖もなにもなく
あぐらをかいたり とびはねたり
小さな頭に 大きなつむじ
カメラを向けても 知らぬ顔 

第2章
子供は子供だった頃
いつも不思議だった
なぜ 僕は僕で 君でない?
なぜ 僕はここにいて そこにいない?
時の始まりは いつ?
宇宙の果ては どこ?
この世で生きるのは ただの夢
見るもの 聞くもの 嗅ぐものは
この世の前の世の幻
悪があるって ほんと?
いったい どんなだった
僕が僕になる前は?
僕が僕でなくなった後
いったい僕は 何になる?

第3章
子供は子供だった頃
ほうれん草や豆やライスが苦手だった
カリフラワーも
今は平気で食べる
どんどん食べる
子供は子供だった頃
一度は他所(よそ)の家で目覚めた
今は いつもだ
昔は沢山の人が美しく見えた
今はそう見えたら僥倖
昔は はっきりと
天国が見えた
今はぼんやりと予感するだけ
昔は虚無におびえる
子供は子供だった頃
遊びに熱中した
あの熱中は今は
自分の仕事に 追われる時だけ

第4章
子供は子供だった頃
リンゴとパンを 食べてればよかった
今だってそうだ
子供は子供だった頃
ブルーベリーが いっぱい降ってきた
今だってそう
胡桃を食べて 舌を荒らした
それも今も同じ
山に登る度に もっと高い山に憧れ
町に行く度に もっと大きな町に憧れた
今だってそうだ
木に登り サクランボを摘んで
得意になったのも 今も同じ
やたらと人見知りをした
今も人見知り
初雪が待ち遠しかった
今だってそう
子供は子供だった頃
樹をめがけて 槍投げをした
ささった槍は 今も揺れてる 
(日本語版字幕より)

われらの僅かな存在を過ごすためなら
葉のはしばしに(風のほほ笑みのような)さざなみを立てながら
ほかのどの樹より少し暗い姿して立つ
月桂樹として生きてもいいのに、なぜ
特に人間の存在を生きねばならないのだろう?
 -そしてなぜ運命を避けながら
運命を求めて生きねばならないのか?…
 おお、幸運が在ることが、その理由ではない。
幸運とはやがて間近く来る喪失の前の部分を早まって利得として
 取ることだ!
好奇心からのことではないし また感情を試して使うためでもない。
感情は月桂樹のうちにも在るかもしれない…
だが人間が人間の存在を生きる理由は この地上の今を生きること
 それ自身が大したことだからだ。そして
われわれ人間の存在が 現世のすべてのものにとって必要らしい
 からだ。
これらの現実のほろびやすい物たちが 最もほろびやすい存在で
 あるわれら人間に
ふしぎに深く関わるのだ。おのおののものはただ一度だけそのもの
 として在る。
ただ一度だけだ。ふたたびはない。しかし一度だけ存在したということ
 地上に実存したこと これはかけがえのない意味のことらしい。

 

 

次はオリヴェイラ監督の「アブラハム渓谷」を見てみたい。

借りるのはイタリアの長編「輝ける青春」

 

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リスボン物語 Teresa Salgueiro ・・・ Lisbon Story by Venders

2025-01-16 23:59:29 | movie

11月に借りていた「リスボン物語」をやっと見る時間ができました。
サブスクで1ヶ月に4枚借りれるのになんとまた止まってもったいないと思うのですが、
また見たい映画が出てきて、なかなかやめられません。

リスボン物語はあみさんのシャンソンを聴きに行ったときにテレーザ・サルグェイロを知り、見てみたいと
思っていたので借りました。

 

 

Lisbon Story (1994) - Trailer | Director's edition

 

 

録音技師ビンターの許に、友人の映画監督から1枚の絵葉書が届く。国境のなくなったEUの道路を通ってリスボンに彼を
訪ねるビンターだったが、当人はビデオ映像を残して消えていた。ガンマイクで街の音を拾って歩く彼の耳に、美しい女性
テレーザの歌声が届く……。リスボン市の依頼を受けたベンダース監督が、映画百年にあたって世界最高齢のオリベイラ監督
を迎えて軽やかに綴った映画への愛の賛歌。

                                                    映画.comより

1995年製作/104分/ドイツ・ポルトガル合作
原題または英題:Lisbon Story
配給:フランス映画社
劇場公開日:1995年8月26日

監督: ヴィム・ヴェンダース
脚本: ヴィム・ヴェンダース
撮影: リサ・リンズラー
編集: ペーター・プルツィゴッダ、アンヌ・シュネー
音楽: ユルゲン・クンーパー、マドレデウス
出演: リュディガー・フォグラー、パトリック・ボーショー、テレーザ・サルゲイロ、マノエル・ド・オリヴェイラ


 

 

ヴェンダースはその国の空気を切り取るのが得意。Perfect Daysでもそうでした。彼の目で見る日本の美しかったこと。
リスボンも同じでした。それはリスボンなのだけど、彼の目で見たリスボンで、どの映画にも同じものが流れている
と思いました。

たくさんの仕掛けがあり、あちこちに宝物が潜んでいるようで・・ Perfect Daysでも何か見逃したのではないかと
後から思ったり・・ リスボン物語はDVDだったので何回か見直しました。

コミカルでチャーミングな映画でした。そしてミステリーもあり・・・
難しいと言えば難しい映画。拾えるものがたくさんあるから・・ ビデオ映像、言葉(詩)、音(街の音、音楽)、景色 ・・
そして映画の過去と現在が行き来する・・・

ヴェンダースの「パリ、テキサス」と「ベルリン天使の詩」は昔TVでやった時に少し見た記憶があるのですが、あまり興味を
ひかなかったと思います。今見てみたい映画となりました。

「リスボン物語」はエリセ監督の「瞳をとじて」のように映画に対する思いが語られていました。

 

詩の断片についてはブログ、トレーダー分岐点の中の評に詳しく載っていました。

映画『リスボン物語』評 (監督:ヴィム・ヴェンダース)

 

サルグェイロがDVDの特典のインタビューでヴェンダースの思いやリスボンについて語っていました。

ヴィム・ヴェンダースが言っているのは
 リスボンには目に見える以上のものがある
リスボンは大変美しい町だが、目に見えないが直観できるものがある
聞こえるもの この町が持つ歴史と関係あるもの
旅立つときに感じる懐かしさと時間が止まったような感覚
この通りに存在する多くの命の感知  多くの古いもの たくさんの思い出
目に見える町の美よりも多くのもの 
それからこの雰囲気、この思い出は私とこの町を関係づける重要な要素です。

そして映画の中でオリヴェイラ監督を通して語られたこと
 神は存在します。そして宇宙は神によって創られました。
 宇宙の意味  
 人類が消滅したら宇宙の意味があるのでしょうか?
 我々は神を模倣し、それが芸術家の存在する理由です。
 芸術家は自分が小さな神であるかのように世界を再創造したいと願います。
 ・・・我々の信仰は我々が信じるから継続します。そして最後には我々は記憶を信じるのです。
 すべてが消え去るから全ての想像が事実だとどうやってわかるのでしょう・・
 だから「想像」が「事実」だということは幻影です。唯一の真実は記憶です。

 ・・・映画はカメラが瞬間をとらえますが、それだけのものです。映画はその瞬間の幻影を引き戻します。
 その瞬間の存在はフィルム以外にはわかりません。
 又、映画は俊寛の存在を保証するでしょうか? わかりません。
 我々は永遠の疑いの中で生きています。 然し地に足をつけ、食べ、人生を楽しんでいます。
 もし私が私でなければ誰でもない・・

 カメラを向けると街は遠のき、薄れて行った・・
 何も無い nada
 pureでありのまま・・私の意思が入っていない

 

芸術の中には音楽も入ると思います。音楽も神の世界をあらわしていると思うことがあります。 

映画はリスボンの音と絵を撮り、生きている人たちと歴史を重ね、リスボン市からの依頼以上の深いものを
ヴェンダース監督は撮ったと思います。

そして何よりも魅力的だったのはテレーザ・サルグェイロの声とマドレデウスの作り上げた音楽でした。

 

Madredeus Alfama, e a maravilhosa Teresa Salgueiro

 

Madredeus (Lisbon Story filme de Wim Wenders 02) - guitarra (letra)

 

Madredeus - Haja O Que Houver

 

Madredeus ao Vivo - O Porto (Live)

 

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男と女 人生最良の日々 ・・・ Les plus belles annees d'une vie

2024-12-30 23:53:02 | movie

12月30日

今月分として借りていた映画のDVDをなかなか見れないので昨晩深夜やっと見てみました。
たまって1ヶ月に8本も見れるのに今月中に返えそうと思ったのですが、それは無理みたいでした。
私も学生時代に見たルルーシュのセンセーショナルな映画「男と女」のその後の話です

不思議な感覚の映画でした。
2019年に制作された映画だから、撮影時すでに80代の後半になったジャン・ルイ・トランティニアンとアヌーク・エーメが
1966年に制作された「男と女」の52年後の続編に登場する。役というより二人の積み重ねた日々が表れるような映画でした。
アヌーク・エーメは今年の6月に92歳で、ジャン・ルイ・トランティニアンも2年前に91歳ですでになくなっています。
この年で映画に出て演じているというより実に自然な演技でした。ジャン・ルイ・トランティニアンはチャーミングで、アヌーク
エーメはいつまでも美しく、そのしぐさも素敵でした。二人とも87歳くらいだったから皺で顔もクシャクシャでしたが、輝いていました。
トランティニアンの認知症のような表情や過去から記憶を呼び覚ますような瞬間があったり、その演技も素晴らしく夢と現実を行き来
している老人がナチュラルに演じられていました。

ヴィクトル・ユーゴーの言葉「最良の日々はこの先の人生に訪れる」、すてきな言葉ですね。
記憶を半分失ってしまった男とまだ仕事をしている女の再会から、まるで初めて会ったような新鮮な感覚が伝わってきてそれは
まるで初恋のようにさわやかでした。

愛は私達より強い。
共に生きられなかったが死ぬときは一緒。

この映画の撮影の頃、ジャン・ルイ・トランティニアンの目はほとんで見えてなかったであろうとルルーシュ監督は
インタヴューで語っていました。そしてこの主演の二人は後を追うように数年後に亡くなりました。


何かがとけて行くようなそんなやさしい空気に包まれた映画でした。

 

Bunkamuraル・シネマ1/31(金)よりロードショー『男と女 人生最良の日々』予告編

2019年製作/90分/G/フランス
原題または英題:Les plus belles annees d'une vie
配給:ツイン
劇場公開日:2020年1月31日

監督 クロード・ルルーシュ
音楽 フランシス・レイ、カロジェロ

キャスト
アヌーク・エーメ、ジャン=ルイ・トランティニャン、スアド・アミドゥ、アントワーヌ・シレ、モニカ・ベルッチ

 

「男と女」から53年、映画と愛に生きたクロード・ルルーシュの人生観

 

 

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