キャスト
ルイジ・ロ・カーショ(ニコラ[Nicola Carati]、カラーティ家の長男)
アレッシオ・ボーニ(マッテオ[Matteo]、弟)
ジャスミン・トリンカ(ジョルジャ[Giorgia]、精神が不安定)
アドリアーナ・アスティ(アドリアーナ[Adriana]、母)
ソニア・ベルガマスコ(ジュリア・モンファルコ[Giulia Monfalco]、二コラの妻)
ファブリツィオ・ジフーニ(カルロ・トンマージ[Carlo Tommasi]、親友)
マヤ・サンサ(ミレッラ・ウターノ[Mirella Utano])
ヴァレンティーナ・カルネルッティ(フランチェスカ[Francesca]、カラーティ家の次女、カルロと結婚)
アンドレア・ティドーナ(アンジェロ[Angelo]、父)
リディア・ヴィターレ(ジョヴァンナ[Giovanna]、カラーティ家の長女)
マヤ・サンサ(ミレッラ・ウターノ[Mirella Utano])
カミッラ・フィリッピ(サラ、ジュリアの娘)
クラウディオ・ジョエ(ヴィターレ・ミカーヴィ)
リッカルド・スカマルチョ(アンドレア・ウターノ、ミレッラの息子)
ジョヴァンニ・シフォーニ(ベルト)
グレタ・カヴオーティ(8歳のサラ)
サラ・パヴォンチェッロ(5歳のサラ)
スタッフ
監督: マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ
脚本: サンドロ・ペトラリア / ステファノ・ルッリ
製作総指揮: アレッサンドロ・カローシ
製作: アンジェロ・バルバガッロ / ドナテッラ・ボッティ
撮影: ロベルト・フォルツァ
美術: フランコ・チェラオーロ
衣装: エリザベッタ・モンタルド
編集: ロベルト・ミッシローリ
基本情報
原題: La meglio gioventù
英題: The Best of Youth
製作会社: BiBi Film, Rai Fiction
配給: 東京テアトル(日)
公開日: 2003年5月19日(カンヌ国際映画祭)、2003年6月22日(伊)、2004年4月30日(イタリア映画祭、日)、2005年7月9日(日)
上映時間: 366分
製作国: イタリア
言語: イタリア語
@DVD
日本ではイタリア映画祭の後、岩波ホールで上映されたとのこと。全く知りませんでした。
岩波ではサタジット・レイの三部作を一日で上映してお昼を持って行って、見た若いころの記憶があります。
イタリア語のレッスンの時にちょうどイタリア旅行から帰ってきたAkikoさんの話でフィレンツェが洪水一歩手前で、多くの人が
何十年も前のフィレンツェ大洪水のことを思い出していました。映画でもヴォランティアで洪水の後の復興のシーンがあり、
それでこの映画の話になり、先生お薦めなので借りてみることにしたものです。6時間以上の大作でもあり、借りてから
1ヶ月近く見ることができませんでしたが、やっと時間ができて一日で見切りました。
ジョルジャとマッテオと二コラ
この映画の時代が自分よりおそらく2~3歳くらい上の世代だと思いました。戦後まもなく生まれた世代かと・・
学生運動やタイプからパソコンへの時代の変化、イタリアの現代史としてフィレンツェの大洪水、学生運動と赤い旅団、シチリアの
マフィア、フィアット社の大量レイオフの等が物語に絡んで進行していきました。日本でも多くの学生が学生運動にかかわり
その後の人生も狂わせました。自分の同時代を生きた若者の物語だったので、時代を重ね合わせ考えさせられることが多かった映画
でした。世の中との違和感や不正に耐えられず向かって行って、心を閉ざし、規律の中にストイックに身を置いたマッティオと
人権を守るために精神科医になった兄の二コラ。姉のジョバンナは検事となり、企業の公害やマフィアの事件を扱い、精神科医と
なった二コラの患者の人権を守るための裁判など社会的な問題も多く含みながら物語は続くのですが、親子や友達、恋人、夫婦の
お互いを気遣う気持ちなども丁寧に描かれていました。
繊細過ぎたマッティオ
ジュリア
あたたかみが感じられる事業家の父と愛情深い教師の母
末の妹フランチェスカと親友カルロ
マッティオの恋人でカメラマン ミレッラ
マッティオの息子と二コラの出会い
第一部のオープニング曲は The Animals の「The House of the Rising Sun(朝日のあたる家)」、第二部のオープニング曲は
Queen の「Who Wants to Live Forever」。そのほかたくさんの若いころ慣れ親しんだ曲やクラシック音楽が使われました。
シューマンの異国にてはソフィーの選択でも使われていて印象的でした。
最初はアメリカのポップスばかりで嫌だと思ったりしましたが、あの時代は世界的にアメリカやイギリスのポピュラーソング
が当たり前でした。時代を感じさせて懐かしく思いました。イタリアもきっとカンツォーネだけでななかったのですね。
学生運動に深くかかわって、最後には赤い旅団の一員となって行ったジュリアが最初にひいたモーツァルトのソナタがとても
アグレッシブに聞こえましたが、その後の話の展開で納得です。ピアノを弾いて見たらと言う二コラの父親のやさしさも
感じました。ジュリアはラストには音楽に救われていくようでした。
この映画の最後の方に流れたピアソラの曲がエンディングに向かい心に沁み、終わった後も静かに流れました。
マッティオやジュリアの閉ざされた世界から、二コラがマッティオにも小さな物語があったのだと感動を母に伝えるシーンに
ほっとするものがありました。人生にはいくつかの小さなすてきな物語がある・・ すてきなこと。
「輝ける青春」というタイトルななんともぴったり来なくて、現代と違うのではとも思ったけど意訳ではなくその通りで
パゾリーニの詩のタイトルと同じだそうです。
世界は美しいことを感じることもできずに自ら死を選んだマッティオの思いが息子に伝わり、ノルウェーの自然の中で
恋人と共に世界は、人生は美しいことを実感するラストシーンが良かったです。
映画で使われた音楽
‐輝ける青春(マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ2003)
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番第1楽章 ジュリアが演奏
シューマン:『子供の情景』から「見知らぬ国と人びとから」 トリノの自宅アパートでジュリアが演奏
ラヴェル:『ソナチネ』第1楽章 ジュリアがニコラの父親の前で演奏
モーツァルト:クラリネット協奏曲第2楽章 カルロがニコラに理想の銀行について語る場面
ソル:『24の練習曲』Op.35から第22番「月の光」 ニコラが物思いにふける場面で
バッハ:モテット「主に向かって新しき歌をうたえ」BWV.225 ジュリアがスコアを目で追うと、その音楽が
バッハ:2声のためのインヴェンション第2曲ハ短調 ラスト近く、刑務所を出所したジュリアが、教会のパイプオルガンで
ブリテン:『シンプル・シンフォニー』から第3楽章「センチメンタル・サラバンド」 時代や場所の転換の時などに
ピアソラ:『オブリビオン』『リメンブランス』『天使のミロンガ』
ジョヴァンニ・ソッリマ:『アクィラルコ』から「アリア」
THE HOUSE OF THE RISING Sun The Animals
ORA O MAI PIU Mina
AIN'T THAT A SHAME Fats Domino
REACH OUT I 'LL BE THERE The Four Tops
I HEARD IT THROUGH THE GRAPEVINE Creedence Cleawater Revival
A CHI (HURT) Fausto Leali
I'M THROUGH WITH LOVE Dinah Washington
TIME AFTER TIME Dinah Washington
WHO WANTS TO LIVE FOREVER Queen
SOMETHING 'S NEW
BLUE MOON
FASCINATION
AMANDA MIO
SODADE Cesaria Evora
FRUTO PROIBIDO Cesaria Evora
Georges Delerue : JULES ET JIM :CATHARINE ET JIM
トリフォーの映画「突然炎のごとく」より
Fausto Leali - A Chi
A chi
sorridero' se non a te.
A chi
se tu, tu non sei piu' qui.
いったい誰に
私は微笑めばいいの、あなた以外に
いったい誰に
あなたが、あなたがここに もういなければ
Ormai e' finita,
e' finita, tra di noi.
もう終わってしまったこと
私たち2人の間は
Ma forse un po' della mia vita
e' rimasta negli occhi tuoi.
しかし私の人生の一部はもしかして
あなたの瞳に残っているかもしれない
A chi
io parlero' se non a te.
A chi
raccontero' tutti i sogni miei.
いったい誰に
話せばいいの、あなた以外に
いったい誰に
自分の夢をすべて語ればいいの
Lo sai m'hai fatto male
lasciandomi solo cosi',
ma non importa, io ti
aspettero'.
知ってる? あなたは私を傷つけた
こんなふうに私を独りぼっちにして
でもかまわない、私はあなたのことを
ずっと待ちます。
作詞:Jimmie Crane, Al Jacobs, Mogol Giulio Rapetti 和訳:鈴木マリア・アルフォンサ
出典:NHKラジオ『まいにちイタリア語』2009年2月号
参考)