4月7日 & 8日
サントリーホールでのコンサートのための前日のリハーサル(4月7日 すみだトリフォニーホール)
指揮: 尾高忠義 ソプラノ: 砂川涼子 コンサート・マスター: 崔 文洙
新日本フィルハーモニーのリハーサルに誘っていただき、またすみだトリフォニーホールに行きました。都民劇場の年間のコンサートがほぼ全滅の私にとって、またとない機会です。今回はマーラーで4番は珍しい曲で、ここ数年でどんな曲をコンサートで聴いたか調べてみたら、5番5回、1番4回、6番1回となっていました。若いころに合唱付きの2番「復活」を聴いた記憶があります。
聴いているうちに昔、よく聴いていたことがあった曲だったことを思い出しました。家にあるLPレコードを探したけれど4番はありませんでした。きっとテープか何かにとっていたのでしょうね。
この曲を聴くようになったのは黒沼ユリ子の著書「メキシコからの手紙」にマーラーについて触れていたのがきっかけだったように記憶しています。彼女がメキシコ人のご主人とメキシコで暮らしていた時代のことです。
ふと気がつくと何かが静かに心の扉をノックする。いつものように夫がマーラーの交響曲4番のレコードをかけたのだ。そのやわらかい木管楽器の音が弦楽器群へと受け継がれ、幅広いテーマがホルンなど交えて雄大に歌いだされる頃には、太陽のそそぐシャンパン色の光を受けて山々のシルエットには色がよみがえり、様々なトーンの緑が浮かび上がってくる。
この本の中にはマーラーが美しい自然の中で暮し、その自然を音楽に表現していたこと、またメキシコの美しい自然と過酷な人々の暮らしなどについて書かれていました。
マーラーを聞くとまるで昔の自分に出会ったようなそんな感じでした。そのあとで見た映画「椿の庭」では思い出はその場所に触れたときによみがえるとありましたが、まさに音楽も同じ力があります。どこにいても想像の翼が広がるところがすごいです。
マーラーの曲は確かに旋律が美しく、天上の音楽のようなところもありますが、時に奇妙な感じがしたり、デーモニッシュな部分があり不思議な曲です。そういうところが魅力となっているのではないかとも思います。以前マーラーイヤーの時はしょっちゅうマーラーの曲が演奏されていましたが、印象に今残っているのはメータ、イスラエルフィルの5番です。5番はヴィスコンティの映画「ベニスに死す」でアダージェットが一躍有名になりましたが、ベジャールの振り付けのバレエもよかったです。
ベジャールのバレエを思い出してみようと思ったら、ジョルジョ・ドンのダンスが出てきたので思わず見ました。アダージェットはジル・ロマンで実際は見たかもしれません。YouTubeには森下洋子と踊った「ライト」もありました。
Jorge DONN UNICO.(Danza) Video Edicion Hugo Omar Viggiano
話がそれましたが、リハーサルの時は尾高さんの細かい指示でしょっちゅう曲が途切れました。声が聞きづらかったので明確に指示がわからなかったのは残念でしたが、前日にこれだけ作り込むのかと驚きました。それで通して聴きたいと思い、翌日サントリーホールに早めに行って、当日券を取り、久々のフル・コンサートでした。
4月8日
新日本フィルハーモニー交響楽団 第631回定期演奏会 ジェイド サントリーホール
プログラム:
モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」
マーラー 交響曲第4番
指揮: 尾高忠義 ヴァイオリン:山根一仁 ソプラノ: 砂川涼子 コンサート・マスター: 崔 文洙
真後ろでない安い席でしたが、真後ろと変わりないかも。
指揮者は正面から見えるけれど、楽団の中に入ってしまっている感覚です。一人一人の動きがよくわかりました。客観的に聴く感じでないのでやっぱり後ろの方がよかったかもしれません。前日のリハーサルの方が感動してしまいましたが、やり遂げた感はありました。リハを聴いてなかったモーツァルトのヴァイオリンが意外に良かったです。若手のヴァイオリニストの音がすごく素直な感じがして、楽しめました。マーラーの前にモーツァルトでよかったと言った感じです。曲が終わった後指揮者がブラスなどのセクションを立たせなかったのはちょっと残念でした。
このマーラーの曲では二つのチューニングの違うヴァイオリンを使い分けるので、最後にコンマスが2つのヴァイオリンを高く上げていました。そういうところにマーラーの曲の不思議さが出るのかしら・・・
久しぶりに聴くマーラーでちょっとしたマイブームになり、図書館で3番と4番のCDを借りて、聴いています。3番がまたものすごく長い曲なのですが、美しいです。アバド指揮、ベルリンフィル。インパルやシノーポリ、バーンスタインとかいろいろな指揮者の名盤がありそうです。
マーラー 交響曲第3番ニ短調 第6楽章 エッシェンバッハ