「丹生神社」という神社は、全国に八十八社あります。
丹生都比売大神を祀る神社を入れるともっとあるのですが、実は祀られている場所と神様の名前にはある共通点があります。
それは、近くに水銀鉱脈があるということです。丹生都比売神社は、これらの丹生神社の総本社となっています。

「丹」という字は、丹砂(朱砂)という赤色の鉱石を意味していて、「丹」が生まれるところ、という意味で「丹生」という
名前がつけられています。

神社の本殿や鳥居は朱色ですが、「朱」は丹砂を顔料として作られます。神社に「朱」が使われるのは、血の色に近いこの色を
神聖視した古代人が、魔除けの力があると考えていたからです。

「朱」を司る丹生明神は、あらゆる厄災を祓い幸せへと導く強い女神として信仰されてきたんですね。

さらに丹砂は昔から色々と重宝されてきました。

丹砂を精製すれば水銀が採取できますが、水銀は多様な用途があります。
仏像の鍍金にも使われますし、金や銀を採取する際の触媒にも使われます。
また、大陸への輸出品でもあったので、丹砂は重要な鉱石でもありました。

なので、丹生明神は、昔から丹砂を生業で扱う一族に氏神として祀られてきたわけです。