Reflections

時のかけらたち

セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター ・・・ The Salt of the Earth

2015-08-18 23:17:09 | movie
ヴィム・ベンダース 監督作品 ドキュメンタリー
セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター
原題は地の塩



昨日歯医者さんに行った帰りに文化村まで行こうかと思っていましたが
間の時間がありすぎたので、家に戻りまた書類などの整理をしていました。
今日仕切りなおして、文化村まで行って映画を見ることができました。
火曜日は文化村ル・シネマのサービス・ディで早くから込み合っていました。

映画はタイトルとは違い、かなりショッキングなテーマが半分以上続き、
最後にGenesisとして、残したい地球を守る姿勢でそこにやっと楽園を見ることが
できました。

―「地球の46%はまだありのまま、起源の頃と同じ姿をしている」とサルガドは言う。自らの足、
セスナ、船、カヌー、気球などを駆使した撮影旅行は32回を越え、極限の暑さや寒さなどの
危険な状況もあるなか、サルガドは8年をかけて息を飲むほど美しい写真を撮影した。
山や砂漠、海などの自然、動物、そして現代社会から離れて暮らす人々、原始的な自然と生活など、
ありのままの地球の姿を通して地球環境と人間社会の関係を再考させてくれるプロジェクトとなった。―

ショックだったのは難民と飢餓、戦争の報道写真です。
彼のテーマ人口移動のプロジェクト”exodus”
今も世界のあちこちで問題になっている難民。
油田の迫力と過酷な労働”workers"
経済学からカメラマンへの転身と報道写真から自然や動物の写真への軌跡が
ヴェンダースにより丁寧に語られていきます。

彼はエチオピアの飢餓やルワンダ、コンゴの内紛、ユーゴでの民族対立
を撮り、最後は精神的に病んでしまったようで、そこからの再生が
父親が病気のために戻ったブラジルの地での自然の復活になったという道のり。
夫人の木を植えようという言葉から荒れ果てた自然を復活させました。
それまでの「戦争や飢餓は世界の状況を伝えなければならないという使命感が
強かったことによります。
しかし人間の愚かさにヨーロッパでさえも起きてしまったことに
すごく失望したようで、人間はこんなにも戦争が好きな動物であったかと。

どんな立場に置かれても母と子の愛情と信頼を撮った写真も素晴らしかったし、
動物に対してもマナーをもって接した(尊厳を抱いて)はすごいと思いました。

少数部族の生活に寄り添ったのも、雄大な自然の写真もすべて圧巻でした。
「ピダハン 謎の言語を操るアマゾンの民」を1年くらい前にEテレでやっていて
面白かったことを思い出しました。他に類のない言語とコミュニケーション術を持っていると・・
「すでに幸せなピダハンの人たちに神のメッセージを伝えるなど無意味なことでだったからです」
と言って宣教師は布教をやめて、自身の信仰も捨ててしまった。

また南米のことに触れていた時に、彼らが一番大切に思っているのは「音楽」であると。
昔南米に割と長く出張に行っていたスタッフから音楽に溢れているという話を聞いたことがあります。
その時はバッハとかクラシックでしたが、行きたいと思った時に終わってしまったベンダースの
ドキュメンタリー「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」もどうしても見たくなってしまいました。


最近、写真美術館が閉じているのでちょっと酸欠気味でした。報道写真は人間の本質を
映し出す写真。




   


   









次男がダウン症で家族を深い悲しみに落とし込んだが、彼は素晴らしいコミュニケーション術を持っていた。
私もTが脳梗塞で言葉を失った時、言いたいことって通じるものだと思いました。


アフリカの写真集はどこかで見たことがあるような気がしましたが
知らないフォトグラファーでした。ものすごいスケールの写真と人でした。
ただただ圧倒されました。








コメント (2)
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