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Reflections

時のかけらたち

幸福なラザロ ・・・ Lazzaro Felice

2024-02-01 23:59:07 | movie

イタリア映画が続いた昨年末。印象に強く残った、まったく違うタイプの作品二つの中からまずラザロを。

「幸福なラザロ」は借りてきたビデオの予告にあり、とても見たくなって借りたものです。
「その人は疑わない、怒らない、欲しがらない」このナレーションと美しいイタリアの村・・
オルミ監督を思い出させるドキュメンタリーのような映像に即借りました。

実際は寓話で終わり方などどう考えていいか、ちょっと戸惑ってしまう、もともとよみがえって
いるのですが、解釈に思いがさまよってしまいました。

 

映画『幸福なラザロ』予告篇(4.19公開)

 

 

 

■スタッフ
監督: アリーチェ・ロルヴァケル
脚本: アリーチェ・ロルバケル
撮影: エレーヌ・ルバール
美術: エミータ・フリガート
衣装: ロレダーナ・ブシェーミ
編集: ネリー・ケティエ
音楽: ピエロ・クリチッティ

■出演
Lazzaro: アドリアーノ・タルディオロ
Antonia bambina: アニェーゼ・グラツィアーニ
Antonia: アルバ・ロルヴァケル
Tancredi bambino: ルカ・チコヴァーニ
Tancredi adulto: トマーゾ・ラーニョ
Ultimo: セルジ・ロペス
Marchesa Alfonsina De Luna: ニコレッタ・ブラスキ
■製作
2018年/127分/イタリア

 

監督のアリーチェ・ロルヴァケルは若い女性ですが、このような複雑な迷路のようなストーリーと、
一般の人から選んだラザロ役を得て、素晴らしい映像を作り上げてすごいと思います。このタイプの映画は
私の昔から好きなイタリア映画のタイプです。 一緒に借りた「3つの鍵」はまた現代の都会で暮らす
人たちの問題を取り上げてまた別の切り口の映画でした。

ラザロと言えば新約聖書のエピソードが思い出されるように、よみがえりの話です。20年経って目を覚ましたラザロが
見た世界の変化。農奴の見た目には搾取されている生活から、現代のイタリア北部?での都会の底辺での同じように
時代に搾取された人々の貧困な暮らし。汚れて行く地球・・・ ラザロが聖人のように奇跡のように村人との再会で
都会の中に小さな自然を見出して、希望をもって団結して暮らしていく人々。唯一の友人のために銀行に乗り込み
殺されてしまう無垢な青年、ラザロ。

現代と、そして幸せとは何だろうと考えさせられる映画でした。イタリアとの結びつきの深い狼が何を表しているのか
そして要所に現れてラザロの魂を運んでいるのか・・・ 

いろいろレビューを見ていると、タルコフスキーのノスタルジアと比較している人がいました。タルコフスキーを感じ
させる映画でした。またタンクレディという名前ですぐ山猫のアラン・ドロンが演じた役を思い出した人も私の年代では
多いかなと思いました。

教会で拒絶されて、音楽が彼らについてきたシーンも美しかったです。
ラザロの魂はあの美しい山に帰って行ったのだろうかなどと考えている私です。

この映画はラザロ役のアドリアーノ・タルディオロを抜きでは考えられませんが、アルバ・ロルヴァケルという素晴らしい
女優さんにひかれました。なんと監督のお姉さんでした。

この次に見た映画「3つの鍵」でも一つのエピソードの主役です。タンクレディ役のトマーゾ・ラーニョも出ていました。
最近のイタリア映画はほとんど見ていなかったので、いろいろ発見があります。

 

幸福なラザロ(アリーチェ・ロルヴァケル2018)で使われた曲
 ベッリーニ:『清らかな女神よ』 食卓の上のオルゴール
 バッハ:平均律クラヴィア曲集第1巻第8番前奏曲とフーガ BWV853変ホ短調 タンクレディの携帯オーディオ  
 ヴェルディ:『乾杯の歌』 ケーキ屋のBGM  
 Karol Mossakowski:『Organo per Lazzaro』(映画オリジナル) 教会から聞こえるオルガン  
 バッハ:『われを憐れみたまえ、おお主なる神よ』(Erbarm dich mein, o Herre Gott) BWV 721 ラストシーン

音楽も素晴らしく、イタリア映画でもよくつかわれるバッハですよね。Casta Diva のメロディーもよかったです。
やっぱり、ラザロは天から使わされたのかしらと思ってしまいます。

参考)
映画の引用における転移と忘却
幸福なラザロ 映画レヴュー



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La vita è bella ・・・ Life Is Beautiful

2024-01-26 23:59:07 | movie

昨年末からイタリア映画が続いていてイタリア誕生を描いた「グレイテスト・キング」、「ダンテ」や「幸福なラザロ」
「3つの鍵」など見て、イタリア映画の層の厚さを感じ、早くメモを書かなくてはと思っていたのですが、なかなか
時間が取れずにまた直近からスタートです。

お正月に見ようと思って借りていたイタリア語の友人のおすすめです。

ライフ・イズ・ビューティフル

 

 

イタリアの俳優ロベルト・ベニーニが監督・脚本・主演を務め、強制収容所に送られたユダヤ人の父親が幼い息子を
守るため意外な行動に出る姿を描いた感動作。1937年、トスカーナ地方の小さな町へやって来たユダヤ系イタリア人の
陽気な男性グイドは、美しい小学校教師ドーラと運命的な出会いを果たす。いつも陽気で機転のきくグイドにドーラも
心を奪われ、やがて2人は結婚。息子ジョズエも生まれ家族は幸せな日々を送るが、彼らが暮らす町にもユダヤ人迫害の
魔の手が迫り、3人は強制収容所に連行されてしまう。グイドは幼いジョズエに悲惨な現実を悟られないよう、ひたすら
陽気に振る舞いながら嘘をつき続けるが……。第71回アカデミー賞で主演男優賞、外国語映画賞、作曲賞、第51回カンヌ
国際映画祭でグランプリを受賞した。

1997年製作/117分/G/イタリア
原題:La vita e bella

  • グイド ロベルト・ベニーニ

  • ドーラ ニコレッタ・ブラスキ

  • ジョズエ ジョルジオ・カンタリーニ

  • ジュスティーノ・デュラーノ

  • セルジオ・ブストリック

  • マリサ・パレデス

  • 医師 ホルスト・ブッフホルツ

  • ピエトロ・デ・シルバ

映画.com より

Life Is Beautiful | Official Trailer (HD) - Roberto Benigni, Nicoletta Braschi | MIRAMAX

 

人間が人間に対して犯す罪を改めて感じます。人が人に対して絶対にしてはいけないこと。今世界で起きていること、そして何十年も前に
起きたおぞましい出来事・・・

最初はコメディタッチも楽しく、イタリア語も聞きやすく見ていましたが、中盤から笑っている場面でも泣きそうになり
ラストでは泣きました。ファンタジーですが、現実がしっかりと組み込まれています。希望を失わせない、生き延びてほしいが
ために父親が貫いた嘘。人生という素晴らしいプレゼントをもらった子供。昔この映画のタイトル「ライフ・イズ・ビューティフル」
を見た時にイタリア語のタイトルだとよかったのだけどなんだかありふれているように思ってしまったのは大きな誤解でした。

主演で監督のベニーニはこれはLove Storyであると語っていました。なんという大きな愛でしょう。

子育て時代に見れなかった映画。その中には素晴らしいものがたくさんあることを知ったこの頃です。

 

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最近見た映画リスト ・・・list of movies I have seen in about a year

2024-01-05 23:59:58 | movie

 Goebel From the heart

 

昨年末のブログで、今まで見た映画の中でまだ記録がないものを書いておこうと思ったのですが、
結局時間がありませんでした。できるだけ早く書かなくてはとリストにしてこれから少しずつ書いて行こうかと
思いました。

TSUTAYA DISCASで月4本のサブスクですが、こなすのは大変。最初はコロナで映画が見れず、見逃したケネス・ブラナーの
「シェイクスピアの庭」を借りたのが始まりで、すぐやめようかと思ったのですが、次々見たい映画が現れてなかなか
やめられないのが現状です。仕事や子育て、看病などで映画を見れない時代も長かったので古い映画も今頃見ています。
レンタルに加えて、時々TVから録画しておいたものたまっていて・・・ 借りたビデオの予告編や、映画館で予告で見た
映画、昔見たかった映画、友だちのおすすめ映画など見たいものがどんどん広がって来てはいますが、見る時間もなかなか
作れない状態です。

どんな映画を見て行ったかと見てみると、俳優・監督ではケイト・ブランシェット、コリン・ファース、ダニエル・ディ
ルイス、イザベル・アジャーニ、是枝、黒澤、キアロスタミ、音楽関連でグールド、アンデルシェフスキ、マリア・カラス。
マリア・カラスはドキュメンタリの「私はマリア・カラス」を見てから続けて2本見ました。今頃知った彼女の人生にひき
こまれました。イタリア映画祭に始まり、イタリア映画もよく見た昨年でした。昔からイタリア映画は好きでしたが
さすが映画の国、その層の厚さに驚きます。

2022年 11月 キャロル、ヴァイオレット・エバー・ガーデン、ハンナ・アーレント*、山猫*
    12月 英国王のスピーチ*、アート・オブ・グールド*、Carmen、Coda*
2023年   1月 サクリファイス*、ブルー・ジャスミン、Bobという名の猫
      2月   マジック・イン・ムーンライト、レイルウェイ、ベイビー・ブローカー、シングルマン
       バベットの晩餐会*、アンデルシェフスキのディアベッリ変奏曲*
      3月  未来よこんにちは*、間奏曲はパリで*、ショーシャンクの空に*、バグダッド・カフェ*
      4月  蜜蜂と遠雷*、生きる*、今を生きる、丘の上の本屋さん*、シェルタリング・スカイ
      5月  私はマリア・カラス*、ミセス・ハリスパリへ行く、あなたのもとに走る*(イタリア映画祭)、マリア
        カラスの真実、帰れない山*、夢*
      6月  ミラノ・スカラ座魅惑の神殿、永遠のマリア・カラス、レ・ミゼラブル
      7月  ファントム・スレッド*、マイ・レフト・フット
      8月  カミーユ・クローデル、アデル、突然炎のごとく、みつばちの大地*
      9月  TAR, There will be blood 、ザ・グレイテスト・キング*
    10月  グレート・ビューティ/追憶のローマ*、グリーン・ブック
    11月  Cold War, The Whale
    12月  幸福なラザロ、3つの鍵、ダンテ*、友だちの家はどこ*

      * はすでにアップ済みです。

今一番見たいのは役所広司のPerfect daysです。

イタリア文化の紹介をしてくれるイタリア文化会館。映画や劇、音楽を提供してくれる
貴重な場所です。

 

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Where Is the Friend's House?  Abbas Kiarostami

2023-12-30 23:53:25 | movie

 

Where Is The Friend's House? Trailer | Khane-ye doust kodjast? | Abbas Kiarostami

 

友だちのうちはどこ?
1987年 イラン 85分
スタッフ
監督:アッバス・キアロスタミ
製作:アリ・レザ・ザリン
脚本:アッバス・キアロスタミ
撮影:ホマユン・パイヴァール

キャスト
ババク・アハマッドプール
アハマッド・アハマッドプール
ゴダバクシュ・デファイエ
イラン・オタリ

素晴らしいイタリア映画を「ラザロ」と「3つの鍵」を見終わってすぐ何かいい映画を見たくなって、半年以上前に
録画していたキアロスタミ監督の「友だちのうちはどこ?」を「ダンテ」を見に行く前日の20日に家で見ました。

注目していた監督で「桜桃の味」を見に行きたいと思ったことがありましたが、そのままでした。
イランの映画監督のキアロスタミは小津の大ファンでした。そのことがうかがえるようななんでもない1日を
淡々と描いているのですが、少年のひたむきな思いが伝わって、ただ友人の家を探すだけなのにスリリングでもあり
飽きさせません。どんな大人たちがいたのか、繰り返して見たりして、ただあの男の子が抱きしめてあげたいくらい
かわいかったです。イランの社会が男子だけしか教育していないことが当たり前のように描かれていて、男の子でも
家の手伝いをしたり、働いていて勉強する時間もあまりありません。大人の言うことには絶対に従わなければいけない
イスラムの戒律の世界。そんな中でも少年を助ける扉職人だった老人の言葉にはひかれるところがありました。
今は長持ちする鉄のドアの時代に変わってきていると木のドアを作る老人は話す「一生ってそんなに長いものかな?」
時代は変わり人はなぜ町に行ってしまうかと時代の変化を嘆き、最後に少年のノートに押し花をはさむように渡す老人。
少年の気持ちに唯一寄り添う大人でした。何回も見たくなる不思議な映画でした。

 






私が若いころ大好きだったエルマンノ・オルミ、ヴィクトル・エリセ監督と同じタイプの監督だと思いました。自然で
ドキュメンタリーのような映画で、でも限りなく美しくピュア。

たまたまオルミ監督の映画に翌日見た「ダンテ」の主演男優が出ていたので、その映画の所を見ていたら
映画上映の頃のオルミ監督のメッセージをみつけました。「緑はよみがえる」は岩波ホールに見に行きました。
その時もこのメッセージを見ていたのですが、今この時代にますますそれを強く感じます。

そしてオルミ監督のメッセージ

オルミ監督は「真の平和は武器で勝ち取ることも守ることもできません」と警鐘を鳴らし、
「ひとりひとりが平和を希求することで平和な国はつくられる」と訴えている
。 映画は、第1次大戦下のイタリアで

オルミ監督の父親が経験した事実を基に製作され、戦地で命を落とした若者たちの痛みと悲しみを描いた。


エルマンノ・オルミ監督「緑はよみがえる」日本公開メッセージ

 

今日のニュースでもロシアのミサイル攻撃を報じていた。最近はTVはほとんど見ていないけれどパレスチナの民間人を巻き込む
戦争が激化して世界中そんなに武器を作りたいのと思ってしまいます。日本の政界もキックバックとか自分たちのことばかりで
オルミ監督のメッセージが再び心に響きます。

 

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Dante

2023-12-28 23:59:21 | movie

12月20日

茶の湯は混同しておりました。

13日と20日にあり、13日は続き薄で終わってから結構ギリギリな時間で六本木ストライプハウスのレース展に
行きました。膝が痛く正座ができなかったのでお点前は無理かと思ったらい、意外に大丈夫でお稽古することが
できました。

20日にはひざが治っているかと思ったら、まだ正座は痛かったので先生に前もって、見学だけでも大丈夫でしょうか
とお聞きして、見学するため早い時間に伺いました。筒茶碗のお点前で流し点というお茶を簡単に楽しむお点前でした。
しかしたっぷり時間がかかってしまい、飛んで家に帰り、夕飯を30分で作って、イタリア文化会館に映画「ダンテ」を
見に行きましたが、上映開始1分前くらいについて、席を取っていてくれたイタリア語の友達が手を振って教えてくれて
席に着いたらすぐ電気が消えました。

あらすじ

1350年、ジョヴァンニ・ボッカッチオはラヴェンナへと向かう。その目的はダンテ・アリギエーリの娘
ベアトリーチェに、彼の死と亡命に対する償いとして10枚のフィオリーノ金貨を渡すことであった。
旅路を通じて、ボッカッチオは人間ダンテの物語を再構成する。

監督:プーピ・アヴァーティ
脚本:プーピ・アヴァーティ、ジョヴァンニ・ボッカッチオ
出演:セルジョ・カステッリット、アレッサンドロ・スペルドゥーティ、カルロッタ・ガンバ
上映時間:94分
2022年 イタリア

上映前に、アントニオ・タイヤーニ副首相兼外務・国際協力大臣と、アヴァーティ監督からのビデオメッセージがありました。

とても印象に残った言葉はタイヤーニ副首相の文化こそ最大の外交であるという意味のことばでした。
国と国の関係はどうであれ、人と人を繋げるのが文化だと思います。

 

これは、ラヴェンナへ向かうボッカッチオの旅路を通じて、ダンテの人生を語る映画です。同い年、9歳の少女と恋に落ち、
彼女がダンテの愛の告白に応じる決心をするまでの9年間、彼女を追い続けた少年の人生。そこから、今なお私たちを感動
させるダンテの詩が生まれたのです。(アヴァーティ監督のビデオメッセージより抜粋)

ダンテ - 予告編|Dante - Trailer|第36回東京国際映画祭 36th Tokyo International Film Festival

 

 

 

 

ダンテのことは全く知らず、朗読劇「ダンテの声」を見てから興味を持ちました。
それでこのイタリア文化会館の催しはとてもいい機会でした。

ドキュメンタリーのようなこの映画でダンテの時代と背景を知ることができてとてもよかったです。
13世紀のイタリアはペストが流行していた時代で、フィレンツェの政争に巻き込まれて、フィレンツェを
追放され二度と戻ることはありませんでした。ボッカチオが同時代人でダンテを評価し、支持し広めた人
とは知りませんでした。単なる詩人と思っていたので戦争や政治にかかわっていた行動の人とは思っても
いませんでした。ダンテは「すべての星の本当の名前」を知っていたという修道女になった娘の言葉が
不思議な光を放っています。娘は最後まで父とラヴェンナで暮らし傍で見ていた人です。映画は一部ホラー
っぽい場面もありましたが、あの時代を描くことには大体成功していたように思えました。

映画の中でベアトリーチェをフランチェスカ・ダ・リミニと混同しそうになりました。
トニ・セルヴィッロによる朗読劇「ダンテの声」を見てから「神曲」を読んでみたくなりましたが、まだ入門書も
読んでいなくて、あの膨大な詩になかなか取り掛かれません。今の時代こそ「ダンテ」を読むべきと思うのですが。

ダンテを演じていたアレッサンドロ・スペルドゥーティは最近「3つの鍵」を見たのですぐ声といい背の高さといい
彼だと思ったのですが、あの立派な付け鼻の特殊メイクにちょっと惑わされました。

スペルドゥーティは以前オルミ監督の反戦映画「緑はよみがえる」で若い中尉役を演じていました。
「3つの鍵」の問題児となかなか個性的な役者でした。

「幸福なラザロ」、「3つの鍵」とたて続けにイタリア映画を見て、その前にはグレート・ビューティ~追憶のローマも
見ていいたので、イタリア映画の層の厚さに驚かされました。

 

Dec. 20  2023  

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グレート・ビューティー /追憶のローマ(La grande bellezza)・・・The Great Beauty

2023-11-29 23:37:01 | movie

10月に借りて見たthe Great Beauty とGreen Book。両方ともいい映画でしたが、Great Beauty なかなか全編見れなかったけれど
一度見ると何回も見たくなりました。Green Bookもいい映画でしたがわかりやすく1回でOK。

その前に見たイザベル・アジャーニの2作、ケイト・ブランシェット、ダニエル・ディ・ルイスの重い映画も
アップしたいところですが、イタリア繋がりで最近、何度も見たGreat Beautyを。トニ・セルヴィッロのダンテ「神曲」
の朗読をイタリア文化会館で聞いたときのあの流れるようなイタリア語に感動して、この名優の映画を見たくなりました。
何しろ映画も何十年も見に行っていなかったのですから状況も全く知りません。

 

最初はなかなかこの映画を続けて見ることができませんでした。とにかく長い。そして退廃的なパーティ・シーンにはちょっと
うんざりしていました。でもこの聖と俗、静と動が交互に現れるこの映画はローマそのものをあらわしているようで中毒になり
そうな映画です。全部通してみるとなんとも心に残る映画で、何回も見ました。音楽も映像もセルヴィッロの声も何もかも
素晴らしいのです。見始めてすぐ、フェリーニを連想させましたが、フェリーニへのオマージュとのことで納得しました。

カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した『イル・ディーヴォ-魔王と呼ばれた男-』や、ショーン・ペン主演の
『きっと ここが帰る場所』などで知られ、いま、世界がもっとも注目する監督となったパオロ・ソレンティーノ監督。
最新作の『グレート・ビューティー/追憶のローマ』もまた、彼の卓越した美学と深い感動で描き挙げる巨大な映像モニュメント
となり、イタリア映画では15年ぶりとなるアカデミー賞外国語映画賞に輝いている。

主演を演じたのは、本作での演技でさまざまな映画賞の演技賞に輝いたトニ・セルヴィッロ。老年に差し掛かった作家の心の喪失
そして老いを感じるがゆえの生きることへの渇望を、重厚感をもって演じた。また、カルロ・ヴェルドーネやパメラ・ヴィロレージ
といった人気俳優も数多く出演。イタリアの人気歌手アントネッロ・ヴェンディッティやフランスの女優、ファニー・アルダンら
多くのセレブリティも本人役として顔を見せている。 
                           Openers より

 

本作はある程度の人生経験を経た大人を満足させてくれる。誰が見ても面白いようなわかりやすい映画ではなく“じわじわとくる”作品だ。

冒頭、ローマの古典的な美しさには静寂があり、セレブたちが繰り広げるばか騒ぎには異様なエネルギーがある。この静と動の
シークエンスに本作で何度も繰り返し描かれる死の要素が埋め込まれている。何が始まるのかはわからないが、少なくともこの映画が
高い美意識を持った非凡な作品であることだけは伝わってくる。

本作は主人公のジェップが何を求め、何と葛藤し、何に苦悩しているのかをストレートに見せるようなことはしない。だが失い続ける
痛みや埋没していく虚しさを感覚的にわかる人なら、ジェップの苦悩が理解できる。作品内の洗練された映像とセリフの中から人間の
愚かさと愛しさがじわじわと浮かび上がってくる。このじわじわと浮かび上がってくる何かを掴むには、観客本人がある程度の大人で
あることが必要だろう。だからこそ、大人にはたまらない作品なのだ。
                   MIHOシネマ より

 

2013年製作/141分/PG12/イタリア・フランス合作
原題:La grande bellezza

スタッフ

監督・原案 パオロ・ソレンティーノ
脚本   パオロ・ソレンティーノ
     ウンベルト・コンタレッロ
撮影   ルカ・ビガッツィ
美術   ステファニア・セラ
衣装   ダニエラ・サンティオ
編集   クリスティアーノ・トラバリョーリ
音楽   レーレ・マルキテッリ

キャスト

ジェップ・ガンバルデッラ トニ・セルビッロ
ロマーノ カルロ・ベルドーネ
ラモーナ サブリナ・フェリッリ
マダム・アルダン  ファニー・アルダン

 

『グレート・ビューティー 追憶のローマ』 8/23(土)Bunkamuraル・シネマ他公開

 

The Great Beauty trailer - in cinemas from 6 September 2013

 

享楽の人生を送るジェップもその生活にはうんざりして、友達もローマを見限りローマから出ていく中、初恋の女性の死や
旧友の娘ラモーナとの愛と別れ、そして人生の最後に再び筆を取ろうと思うところで映画は終わる。とにかく音楽が素晴らしかった。
いろいろなレビュー記事を見ていると最後の長い川からローマを写している画面に端から身を投げる人がいてそれは彼では
ないかとの深読みもありましたが、私は再生だと思いたい。

中にちりばめられた言葉も素敵でした。

旅に出るのは確かに有益だ。
旅は想像力を働かせる。
これ以外のものはすべて失望と疲労を与えるだけだ。
これは生から死への架空の旅の物語。
(L.R.セリーヌ『世界の果てへの旅』)

 

「65歳になった数日後に私が悟った最も重要なこと。それは、自分がやりたくないことをやって時間を無駄には
出来ないということだ。」

65歳を迎えて数日後確固たる事実を発見した。もはや望まぬ行為に費やす時間はないのだ。ローマにやって来た時
私は26歳だったがかなりの速さでほぼそれとは気づかないまま俗世の渦というべきものに飲みまれた。とはいえ
私はただの俗物に甘んじる気はなかった。私は俗物の王になりたかった。そしてなった。パーティに参加するだけでは
物足りず、それをぶち壊す力を得ようとした。

L.R.セリーヌ『世界の果てへの旅』
旅は有益だ。想像力を誘う。

後は幻滅と疲労のみ。
これは架空の旅、それが強みだ。
生から死、人間、獣、街、ものすべて見せかけ

つまり小説、作り話、辞書にもそうある。
しかし目をつぶれば誰でもできる。そこは人生の彼岸。


毎年夏になると9月の目標を立てた。今は違う。今は昔の目標を思い出して過ごしている。消え失せた目標を。
ノスタルジアの何が悪いというのだ。未来を信じられないものの唯一の気晴らし。

人生もローマも真っ逆さまに落ちていくとき、初恋の人を思い出し、愛することの意味を再び見出し、
大切なことを忘れていたことに気づき、また小説を書いてみようと思うジェップ。ローマには大いなる美が集う。

あっけなく病気で亡くなってしまうラモーナとの会話が美しかった。「お互いに大事にしあえてよかった」と。
こういう大人の愛があるのだと映画の展開がとても新鮮だった。

 

"THE GREAT BEAUTY" THEME SONG (2013)

 

The Beauty Of The Great Beauty (La Grande Bellezza)

 

 

Spellbinding music  Great Beauty

In thinking about this film, an inevitable mix of the sacred and the profane, just as Rome famously is – I immediately thought that this flagrant contradiction of the city, its capacity to miraculously combine the sacred and the profane, should be echoed in the music.

Jean A. Gili – Interview with Paolo Sorrentino

 

映画で使われた曲

Arvo Part の曲は他の曲ですが、ヨーヨーマのコンサートでも演奏されました。
現代の有名な作家だったのですね。

I Lie
Composed by David Lang
Performed by Torino Vocalesemble
 
Far l'amore
Written by Franco BracardiBob Sinclar(as Christophe le Friant) and Daniele Pace
Performed by Bob Sinclar and Raffaella Carrà
 
More Than Scarlet
Written by Matt Fitzgerald, Pete Kelly, Tom Schutzinger and Ben Ely
Performed by Decoder Ring
 
Mueve la colita
Written by F. Attanasio, Ricky Nanni, Lorenzo Confetta, S. Attanasio and G. Attanasio
Performed by El Gato DJ
 
My Heart's in the Highlands
Composed by Arvo Pärt
Lyrics by Robert Burns
Performed by Else Torp and Christopher Bowers-Broadbent
 
Que no se acabe el mambo
Written by J. Peña Suazo
Performed by La Banda Gorda
 
The Lamb
Composed by John Tavener and William Blake
Performed by The Choir of the Temple Church
      
Parade
Written by Andreas Berthling, Tomas Hallonsten and Johan Berthling
Performed by Tape feat. Ingmar Lindelof
 
World to Come IV
Composed by David Lang
Performed by Maya Beiser
 
Symphony No. 3, Op. 36 'Of Sorrowful Song': III. Lento - Cantabile Semplice
Composed by Henryk Mikolaj Górecki
Performed by London Sinfonietta and Dawn Upshaw
  
Moody
Written by the Scroggins Sisters
Performed by ESG
 
Take My Breath Away
Written and performed by Gui Boratto
Courtesy of Truelove Music/Kompakt Records
 
The Beatitudes
Composed by Vladimir Martynov
Performed by Kronos Quartet
 
Forever
Written by Maurizio Fabrizio and Antonello Venditti
Performed by Antonello Venditti
 
Pancho
Written by Julius Steffaro and Jack Trombey
 
There Must Be an Angel (Playing with My Heart)
Written by Annie Lennox and David A. Stewart
Vocals by Lorraine Bowen
Remixed by Paolo Scotti
 
Water from the Same Source
Written by Christian Frederickson, Rachel Grimes and Jason Noble
Performed by Rachel's
 
Symphony in C Major: II. Adagio
Composed by Georges Bizet
Performed by Leopold Stokowski and his Symphony Orchestra
   
Dies Irae
Composed by Zbigniew Preisner
Performed by Elzbieta Towarnicka, Dariusz Paradowski, Piotr LykowskiPiotr Kusiewicz, Grzegorz Zychowicz and Jan Szypowski
 
Everything Trying
Written and performed by Damien Jurado
 
Discoteca
Written by Christian Bouyjou, Chloé Fabre and Radha Valli
Performed by Exchpoptrue
 
We No Speak Americano
Written by Renato CarosoneNicola Salerno, Matthew Handley, Duncan MacLennan and Andrew Stanley
Performed by Studio Allstars
 
Ti ruberò
Written by Bruno Lauzi
Performed by Monica Cetti
 
Beata Viscera
Written by Magister Perotinus
Performed by Vox Clamantis
  

Trois Mouvements Perpétuels: I - Assez modéré
Written by Francis Poulenc
Performed by Peter Beijersbergen van Hengouwen

 

↓ ピノキオとの比較が面白かった記事です。
グレート・ビューティ  渋谷文化プロジェクト

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Romulus & Remos ・・・イタリアの建国神話

2023-11-28 23:59:50 | movie

この像のことは知っているけど、それ以上のことは知らないので、イタリア文化会館のニュースレターで下記の
映画のことを知り、申し込んでいました。

ちょうど永遠のローマ展をやっているのですが、今一つローマにはひかれなくて、見に行く気がしなかったのですが、
録画してあった番組があったので合わせて見てみました。

 

10月31日

現在、東京都美術館で「永遠の都 ローマ展」が開催されているのを機に、ローマ建国の伝説をモデルに双子の兄弟
ロムルスとレムスの悲劇を描いた歴史アクション映画「ザ・グレイテスト・キング」(Il primo re)を上映します。
レムス役には「帰れない山」「ザ・プレイス 運命の交差点」「暗黒街」などで日本でもおなじみのアレッサンドロ・ボルギ。
監督は、日本でも大ヒットした「いつだってやめられる」シリーズをプロデュースしたマッテオ・ローヴェレです。
紀元前8世紀のイタリアの様子を再現し、アクションシーンもほとんどが役者、スタントマンが演じるなどリアルさを
追求した大迫力の作品。日本では劇場未公開の「ザ・グレイテスト・キング」をぜひスクリーンでお楽しみください。
*DVDでの上映です。

ザ・グレイテスト・キング
Il primo re
監督・脚本・製作:マッテオ・ローヴェレ
脚本:フィリッポ・グラヴィーノ、フランチェスカ・マニエーリ
製作:イザベッラ・オルシーニ、アンドレア・パリ
音楽:アンドレア・ファッリ
撮影:ダニエーレ・チプリ
出演:アレッサンドロ・ボルギ(レムス)、アレッシオ・ラピチェ(ロムルス)
   ファブリツィオ・ロンジョーネ(ラルス・イル・ヴェッキオ)マッシミリアーノ・ロッシ(テファリエ)
   タニア・ガッリッバ(ウェスタの巫女)
2019年/イタリア・ベルギー/128分/ラテン語/日本語字幕

羊飼いとしてテヴェレ川のほとりで暮らす18歳の双子の兄弟、ロムルスとレムス。レムスは自身が神の意志を超える
存在であると確信し、いずれロムルスとたどり着くことになる都市の統治者になるべく自分が運命づけられていると
信じる。しかし、悲劇はすぐそこまで迫っていたー。

「ザ・グレイテスト・キング」上映会
10月31日(火)18:30(開場18:00)
イタリア文化会館ホール
主催:イタリア文化会館

 

 

イタリアにもこんなアクション映画があるのだとちょっとした驚き。
薄暗くやみのようなシーンが多かったので、誰が誰だかよくわからなかったのですが、「帰れない山」の主演者の1人
アレッサンドロ・ボルギが出ていました。

紀元前の闇の世界の中に入っていくような疑似体験。
映画のラストのクレジットの時の画像にローマがどんどん領土を増やしていく地図が動いてとても大きな国になって行く様子が
おもしろかったです。

あと驚いたのはこの映画がラテン語を使っていたこと。ラテン語は話し言葉でなく、書き言葉かと勘違いしていた私。
この映画の時代からするとラテン語が正解なのでしょう。イタリア語はダンテの神曲で確立されたとの歴史があります。
イタリア人にしたら、ラテン語は習うでしょうけど・・見ている方には美しいイタリア語が聞けるかと思ったのに
全くわからず・・・

 

今日、録画で取ってあった番組を時間がある時にさっと流しました。

《カピトリーノの牝狼(複製)》作品解説・東京都美術館「永遠の都ローマ展」

 

《ローマ教会の擬人像》作品解説・東京都美術館「永遠の都ローマ展」

 

ローマの発展がわかり面白かったです。それにしても紀元前にコンクリートで建造物をどんどん作って行ったローマという
文化がすごいです。土木建築について圧倒的な技術を持っていた国です。

 

Oct. 31  2023   Kudan

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みつばちの大地 ・・・ More Than Honey

2023-09-19 21:10:10 | movie

見たかったドキュメンタリーです。
岩波ホールでやっていた時に、見逃しました。もう追いつけないのでやめようと思っていたTSUTAYAサブスクでこんなに
素晴らしい映画が見れるなんて嬉しいです。なかなか見たい映画のラインアップがありません。

8月の終わりにやっと見ることができました。

 

 

映画『みつばちの大地』予告編

 

 

 

太古の昔から花粉を媒介して多くの生命を支えてきたミツバチの生態を通し、自然界における人間の暮らしのあり方を
問いかけたドキュメンタリー。近年、世界中でミツバチの大量死や失踪が発生しているという事実を踏まえ、祖父の代から
ミツバチに親しんできたというスイスのマークス・イムホーフ監督が各地で取材を敢行。最新鋭の技術を駆使したマクロ
撮影でミツバチの神秘的な生態に迫り、人間の営みが多くの生命を危機にさらしているばかりでなく、自分たちの存在をも
おびやかしているという事実を浮き彫りにする。

2012年製作/91分/ドイツ・オーストリア・スイス合作
原題:More Than Honey
配給:シグロ
劇場公開日:2014年5月31日

監督マークス・イムホーフ
製作トマス・クフス ヘルムート・グラッサー ピエール=アラン・マイヤー マークス・イムホーフ
脚本マークス・イムホーフ
撮影ヨーク・イェシェル アッティラ・ボア
編集アンネ・ファビニ
音楽ペーター・シェラー

 

ずっと昔、NOVAで英会話に行っていた時、たまたま一人だけだった時に、先生と映画の話や
イタリアの美術について話したりしたときに、進めてもらったインディーズの映画、「アダプテーション」。
映画を見て、蜂のダンスというフレーズがあり、すごく感動したことがありました。スパイク・ジョーンズ監督
カウフマン脚本の刺激的な映画でした。ニコラス・ケイジとメリル・ストリープでしたが、「蜂はそのダンスで
地球を回していることを知らない」と言うセリフです。そのあとにこの映画が封切られたので、行きたかったの
ですが、行きそびれていました。

アインシュタインのみつばちが絶滅すれば4年後に人類は滅びると言ったという衝撃的な言葉が紹介された
この映画は自身が養蜂と身近だった監督の見ごたえのあるドキュメンタリーでした。
人類の食物の1/3はミツバチに依存しているというのは蜂蜜を食べるのではなく、植物が実をつけるために
蜂の助けが必要だということ。

今ミツバチが世界的に大量に死にはじめているのは樹木の花にまく殺虫剤や抗生物質のせいではないかと言われている。

アメリカでの大規模な養蜂事業は資本主義社会の欲の塊のように思えた。ミツバチは今や飼いならされた家畜と
なり、過酷な旅を続け、抗生物質入りの砂糖水なしに生きられなくなっているという。ミツバチは地球3周分飛んで
いるとの説明があった。ミツバチの大量死にはいろいろな要因の複合的なものではないかと言われているが、
一言でいえば、人間の文明のために死んでいると映画ではナレーションがありました。

ミツバチは賢く繊細な生き物と言われていますが、超個体と言う集団の説明が興味深かった。コロニーが個体を超えて
感情を持つ一つの組織とみることができるらしい。意志決定能力もあり、予測から計画も立てられる。
そんなミツバチを人間は従順な生物に変えた。「鏡の国のアリス」の中のように同じ場所にいるために全力で走り続ける
しかないと比喩された。

中国での生態系を壊すようなことや、ブラジルでの失敗などの例が説明されていたけれど、オーストラリアの取り組みに
希望が見えました。将来どんな食べ物が残るかの瀬戸際です。オーストラリアはミツバチは病気に感染されていない
最後の大陸と言われています。遺伝子などを操作することなく、未来のため病気のないオスの蜂を育てています。

太古から花粉を運んで地球の生命をはぐくんできたミツバチ。自然と人間の持続可能な関係が命の未来を守ります。
人間が地球を壊さないことを願うばかりです。

 

 

 

 

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プーチンとゼレンスキー  ロシアとウクライナの100年 ・・・ Putin and Zelensky, 100 years of Russia and Ukraine

2023-09-10 23:58:22 | movie

プーチンとゼレンスキー ロシアとウクライナの100年

初回放送日: 2023年8月28日

2000年、ロシアに47歳の若き大統領が誕生する。ウラジーミル・プーチン。19年後隣国ウクライナにコメディアン出身
の大統領が誕生する。ボロディミル・ゼレンスキー。この百年、両国は3度戦火を交えてきた。一度目はロシア革命直後
ウクライナは独立を求め戦った。2度目は第二次世界大戦、ナチスの後押しを受けた市民がソ連に牙をむいた。そして3度目の今。
二人の指導者が背負う、ロシアとウクライナの百年の歴史。

 ボビンレースのレッスンの前日、糸を巻き終わってTVを見たら、ドキュメンタリーで面白いのをやっていて、途中からだったけれど
きっと再放送かNHKプラスで見れるかと思っていたら、すでにそれが再放送だったので再び見ることはできませんでした。
ブログでレポートしていた人がいたので、見れなかった部分など参考にしました。

NHK映像の世紀 プーチンとゼレンスキー ロシアとウクライナの100年

 

 

 

 

まずウクライナとロシアの歴史について全く知らなかったこと、ゼレンスキーがユダヤ系だったことも
とても驚きました。最近ウクライナがゼレンスキーを大統領にしたのは過去のナチとかかわった歴史を
隠蔽したいからという驚き発言まで出ていました。

ウクライナは帝政ロシア崩壊の時から、ロシアから独立したかったことも知りました。レーニンがソ連に
組み込み、スターリンの政策によりホモドモールという悲惨な大飢饉がおこり、今でもロシアに対する恨みを
持っていると言われるほど悲惨な出来事でした。この辺から番組を見始めたのですが、目を覆うような
映像で見ることができませんでした。その後の第二次世界大戦の時、ドイツが侵攻して、ナチに乗じて
ソ連からの独立を計ろうとする人たちが出てきました。この時にウクライナでも大規模なホロコースト
(ウクライナだけで150万人のユダヤ人が虐殺)がおこり、ユダヤ系のゼレンスキーの家族も犠牲になっています。

ゼレンスキーはウクライナ東部で育ち、ロシア語圏であり、ロシアでもコメディアンとして活躍していたという
ことも意外でした。ウクライナ語を話せるようになり、のちに大統領選に立候補します。政治的なコメディを
していたことが批判に変わって行ったようです。

ソ連邦崩壊で直ちに独立を国民投票で決めたウクライナにはチェルノブイリの原発事故の際、情報が開示されなかった
ソ連に対する不信感が募っていたとのこと。何よりも自由と嘘のない世の中を求めていた長い願いがありました。

プーチンがウクライナをナチ呼ばわりするのは見当違いもいいところで、映画「アンナ・ハーレント」で語られたように
ユダヤ人でさえナチに協力した人もいました。現在非人道的なことをしているのはロシアであり、自由にものが言える
社会を目指しているウクライナに支援を差し伸べるのは当然のことと思えます。

第一次世界大戦、ロシア革命から今まで尾を引いている問題で、今起こったことではないので、簡単には片付きそうでは
ありませんが、ロシアが民主化されることを願ってやみません。そしてウクライナも簡単には絶対ひかないことが
この歴史を見るとよくわかりました。

ロシアがウクライナに侵攻してから1年半が過ぎていますが、何も知らなかったと思いました。こういう番組は貴重です。
今の状態だけ知っても歴史を知らないと理解はできないでしょう。

 

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私たちの時代 世界サブカルチャー史 欲望の系譜 日本 逆説の60-90s 60年代 ・・・our bygone days ’60s

2023-09-09 23:59:47 | movie

 玄関を出たら咲いていたコマツナギのような花

今日は高校のクラス会の打ち合わせに開催予定の上野広小路のお店まで出かけました。
昨日の台風が過ぎていてよかったです。幹事長より11月に開催してはどうかの連絡が来て、急遽幹事で
集まり、計画を立てることになりました。

役割分担、開催時期について決めて、私が先生担当になってしまったので、その場でお電話をして日程について
お伺いしました。先生には大変ご無沙汰をしてしまっていたので心配しながらお電話をしたのですが、お元気な声で
11月の土曜日はスケジュールが結構入っていて、同じようにクラス会、そしてなんとサッカー観戦まで。当時若い方の
先生でいらっしゃいましたが、今では私達より元気な印象だった前回のクラス会。

そこで日程は11月18日と決定。場所は上野広小路の梅の花です。他にいい場所がないかとも私個人的には思いましたが、
幹事長が株主になって割引が効くので、それが一番かと。個室は結構埋まっていて2時からなら取れるというので
予約してすべて決まりました。

元年金機構にお勤めだったO君や、製造業のS君、伊豆で旅館をやっていたA君は今では戻ってきて、将来介護も受けられる
マンションに移転。いろいろな話を聞き、また現代の日本の流れやら、気候変動と言うか災害などの話、原発のあの時の
危機感など思い出しながら、将来の日本についても心配しつつ話が広がって行きました。

帰りにS君が同じ名前の西郷さんに会ってから帰るというので一緒に上野の西郷さんの銅像を見て帰りました。そういえば
ちゃんと見たことがない西郷さんでした。

 

これも初めて知りました。なるほど・・

なかなか立派です。

西郷さんってこんな顔をしていたの?
西郷さんは写真をあまり撮らせなかったので、顔がよくわからないそうです。

明治維新の時に江戸で唯一戦場となった広小路あたり。それで西郷さんはここに建っているのね。
寛永寺の門前だったこのあたりには町屋や武家屋敷があったそうです。


 

 

 

 

そこでやっと夏に軽井沢で偶然見たドキュメンタリーを載せることができました。
めちゃくちゃ面白くて、こういう時代を作った流れを別の面から見ることができました。キーワードがすべて自分たちの
時代を思い出させる懐かしいものですが、どうしてこんな国になってしまったのだろうかと言う反省はあります。

あの世界が燃えた60年代、その嵐が消えて残ったものとは・・
でも加賀まりこがクールでとても面白かった。冷静だったのですね。イケイケの雰囲気が嫌でパリに逃げたとか・・
沸騰した東京から逃れた。皆が上を向いている時代は気持ち悪かったと。そのころの主演映画「乾いた花」を紹介していた。
他に岡本喜八監督の「肉弾」は戦後もモヤモヤが残る軍部を描き、美化される神風、特攻精神に反発した。
とにかく一団となって日本は敗戦から出発して、オリンピックを成し遂げた。開高健のオリンピックや東京批 判も鋭かった。

豊かさを目指し失ったもの、高度成長のひずみが出てくる。任侠映画は理不尽を描き、明塚不二夫は高度社会からこぼれ落ちたもの
を、今村昌平も「日本昆虫記」で取りこぼされた日本の歴史を描いたとのこと。

ビートルズの来日からベトナム反戦の時代に。世界で起きた反戦、革命の嵐。文化大革命やアメリカのスチューデントパワー
パリの5月革命、全共闘時代、べ平連などの市民運動、サイケデリック、新宿の文化。大島渚は横尾忠則を起用して「新宿泥棒日記」
を製作。そこで由井正雪と当時の新宿に江戸を重ねたという。大島は一つの時代の精神を描いたが、どこへ行くかは描けなかった
と言うコメント。

60sは日本を問うチャンスだった。三島の勘違い等日本全体が間違えて行く。安田講堂・・
東大入試がなくなった年に庄司薫は「赤ずきんちゃん気をつけて」を書いて、自分の力で知性を育てていくことを伝えた。
知性と言うものはただ自分だけでなく、他の人たちも自由にのびやかにするもの。本当の知性とは何と闘い、何を目指すべき
だったか世界思想として日本は何を言っていくのかを考えること。60年代ではできていなかった課題。

最後に見た第4回はいかにして現代にたどり着いたか・・消費社会の始まりでした。政治から離れた季節。
日本人のアイデンティティはどこにあるのか・・

 

世界サブカルチャー史 欲望の系譜

今を知る為にこそ過去へ飛べ。周縁から見えてくる時代の気分、深層…、逆説の異色戦後史。

シーズン3 (1)日本 逆説の60-90s 60年代 第1回

初回放送日: 2023年8月8日

大反響のシリーズEテレへ。第60回ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞受賞シーズン3日本編90分全4回を、30分全12回で。
異色の戦後史が。60年代とは?語り玉木宏。 歴史に埋もれたリアルをさまざまな映像から再発見するシリーズ初回。高度成長の
豊かさが語られる60年代だが、歪みも。大島渚ら若手監督たちが新しい波を起こす。女優・加賀まりこも時代の空気を証言。
松岡正剛も実感を語りつつ、日本のサブカルチャーの特異性を語る。この国の「曲がり角」はどこにあったのか?「青春残酷物語」
「ニッポン無責任時代」…。サブカルチャーという逸脱の精神から見えてくる、戦後日本もう一つの軌跡

シーズン3 (2)日本 逆説の60-90s 60年代 第2回

初回放送日: 2023年8月15日

第2回60年代半ばの日本。高度成長、世紀の祭典…、豊かさの中覆い隠されていた本音は?近代化していく社会に残っていた戦争の影。
異色の教養ドキュメント。語り玉木宏。 64年東京オリンピックは日本の復興を世界に印象づける華やかな祭典だったが、突貫工事での
東京大改造は様々な影ももたらしていた。人々はテレビに娯楽を求め、「夢であいましょう」などバラエティー番組で放送作家たちが大活躍。
笑いの中に隠されていた批評性は?「乾いた花」「にっぽん昆虫記」「肉弾」、近代化による豊かさの中で見失われていたのは?
サブカルチャーという逸脱の精神から見えてくる、戦後日本もう一つの軌跡。

シーズン3 (3)日本 逆説の60-90s 60年代 第3回

初回放送日: 2023年8月22日

第3回60年代終盤。再び政治の季節へ。69年東大安田講堂攻防戦に到るまで若者たちは何に怒っていたのか?この国の曲がり角を
サブカルチャー的に見つめ直す。語り玉木宏 60年代後半は、若者たちの反乱に象徴される闘争の季節。全共闘運動に没入した彼らは
当時人気を呼んだ任侠映画に何を見たのか?アンダーグラウンド演劇のメッセージは?大島渚の予感とは?「昭和残侠伝」「博奕打ち 
総長賭博」「土方巽と日本人」「新宿泥棒日記」。三島由紀夫も絶賛した安田講堂攻防戦の年の芥川賞受賞作が問いかけていたのは?
高度成長と闘争の季節という熱い60年代の実相を考える。戦後日本もう一つの軌跡。

シーズン3 (4)日本 逆説の60-90s 70年代 第1回

初回放送日: 2023年8月29日

70年代前半。日米安保、学園闘争に揺れた60年代が終わり、消費社会が訪れた、日本。時代はモーレツからビューティフルへ。
新時代の日本に待っていたのは?語り玉木宏。 大阪万博、よど号ハイジャック、三島由紀夫自決、光と影が交錯した年から始まった
70年代。「書を捨てよ町へ出よう」「あしたのジョー」日活ロマンポルノ…。闘争の時代の残滓がくすぶる中憂鬱と屈折の中で
サブカルチャーが花開こうとしていた。アンノン族が日本再発見に旅に出る。松岡正剛、林真理子らが社会の空気を証言、そこから
時代を可視化する。サブカルチャーという逸脱の精神から見えてくる、戦後日本のもう一つの軌跡。

シーズン3 (5)日本 逆説の60-90s 70年代 第2回

初回放送日: 2023年9月5日

70年代若者たちは「しらけ世代」と呼ばれるように。「いい学校いい会社」へと受験勉強に勤しむ彼らの本音は?そんな時代に
オカルトブームも。時代の空気は?語り玉木宏。 ノストラダムスの大予言、ユリゲラーの超能力、72年にはあさま山荘事件が起きく
すぶっていた学生運動の熱も急速にさめていく。田中角栄の列島改造論に一時沸いた世論もオイルショックで頓挫、時代の空気は屈折を
抱えこむ。「ゴジラ対へドラ」「仁義なき戦い」「日本沈没」…「結婚しようよ」「神田川」…、夢に向かって直線的には進まない時代、
小さな幸せを求める歌声がヒットソングとなる。70年代の憂鬱が後にもたらすのは?

 

Sep.9 2023 Ueno

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