九州の球磨川が氾濫した。この川は、昔、上流に川辺川ダムを建設中、中止となり、そのままになっていたのも氾濫の原因の一つと言われている。一方、同じ頃、群馬の八ッ場ダムも中止の俎上に載った。しかし、関東の県知事から中止反対の声が大きく、こちらは最後まで建設し、完成した。そして、昨年の台風の時は、八ッ場ダムは大活躍した。一方、川辺川ダムが完成していたら、どうなったこととだろうか。
(写真は、建設中の八ッ場ダム、建設中に見学に行った)
私は、学生の頃、土木工学を学んだ。専門科目に発電水力という科目があって、これがダムの建設であり、一応ダムのことは一通り知ってる。これらの知識もあって、土木施工管理技士の資格講座を行っている。
このダムの高さ、どうやって決めてるか、これは流域の降水量を調べて、百年に一度の洪水に耐えられるように作っている。ところが、この降水量は、暖かくなると、水蒸気を含む量が大きくなる。大きくなると、雨の降水量が増えるのだ。これは科学的にもわかっている。
ここで気象予報士学科試験の学習で学んだことを書く。この降水量、空気中に目一杯含むことができる水蒸気量(飽和蒸気量という)は、気温の上昇と比例しているわけではない。
下図を見て頂くと、0-10℃の低温の場合の飽和蒸気圧の伸びより、20-30℃の高温の場合の飽和蒸気圧の伸びの方が、ずっと大きくなっている。夏場気温が高くなったら、空気中に含む飽和蒸気圧(湿度100%の状態)は低温の場合よりずっと大きくなる。これが怖いのである。(ウイキペディア 飽和蒸気量 より)
つまり、温暖化により水蒸気量=降水量がだんだん多くなり、ダムの必要な高さも高くなっているのである。やっぱり、ダムはよく必要性を考えないと。以前民主党政権時代に、「コンクリートから人へ」とスローガンを立てて、ダムにカネを使わなかったが、止めてほしかったな。