そうだったんだ! 中小企業経営 ~社長の経営戦略がまるごとわかる本~ | |
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中小企業診断士になると、サラリーマン時代には、やったこともない、いろいろな仕事を体験する。その一つが補助金の審査だ。役所は、中小企業に対して、いろいろな補助金を出す。しかしその補助金が適切かどうか、誰かが判断しないといけない。その審査の仕事をやるようになった。もちろん一人でやるのではなく、専門分野で複数人が採点し、その合計点で審査される。
新しい革新的な製品やサービスの開発なので、いままで気が付かなかったアイディアが書かれている。代表的なのはドローンを使ったサービスや、3Dプリンタのサービスなどだ。そして、その提案企業の財務的な裏付けも調べる。大半は良好なのだが、たまに債務超過の企業さんがある。
債務超過とは、バランスシートの資産より負債が多い状態だ。バランスシートは、借方に資産を、貸方に負債と自己資本を書き、両者が一致するようになっている。その借方の資産をすべて売却しても、負債が多くて返済しきれない状態だ。つまり、経営不振で廃業しようとして清算しても、借金だけが残る、という状態だ。
その債務超過が数千万円、ある場合がある。数十万円ならすぐ返せるが、数千万円はまず返せない。このときの経営者の気持ちは、どんなだろうか。四六時中、寝ても覚めても数千万円の借金だ。私なら、気が狂ってしまうんじゃなかろうか。人生何のために生きているか、わからない。自殺したくなるのも頷ける。
やっぱり、経営者は大変だ。これから利益を出して、借金を少しずつ返さないといけない。企業は政府と違って、紙幣を印刷して増やすことはできない。寝ても覚めても借金、ですよ。