「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

管理別荘地(1)

2008-08-20 15:31:58 | 八ヶ岳西麓の楽しい暮らし


我が山荘のある八ヶ岳中央高原三井の森しゃくなげの丘は、名前からしてわかるとおり、大手ディベロッパーの別荘分譲地である。標高1500m少しから1600m少しまでの森林を、木を残しながら造成し、盛り土、切り土、アスファルト舗装して水道と電気を引いて作り上げた、という感じの別荘地帯である。

分譲地は妙にきれいに整えてある。長野県側の八ヶ岳山麓の大型分譲地では、東麓も西麓も最低分譲面積の規制がある。ここは90年代前半の開発なので、1区画の最低面積が1000平米である。隣接した新しい分譲地のそれは1200平米である。都会で1000平米あるいは1200平米より大きな区画と言えば、お屋敷の土地だろうが、山の中ではたいして大きいとは感じはない。上下どちらの画像も山荘前を撮影したものだ。クルマはほとんど通らないのに、立派な2車線道路もついている。

土地の購入を検討するにあたり、こんな山の中まで来て、こうした人工的な分譲地に山荘を建てるのもなんだかなぁ、と考え込んでしまったものだ。私は出来ればもっと自然な里山というイメージの土地を買って、そこに山荘を建てたかったのだ。



それでも結局私がここに山荘を建てることを決めたのは、将来の予測不可能な変化を恐れたことが理由だと思う。管理別荘地である限り、厳しい規制がある。まず敷地を分割しての土地売買は不可能だ。建物を建てる前には株式会社三井の森の厳しいチェックがあり、建蔽率、容積率から始まって、高さ、外壁の色彩、道路あるいは敷地境界からの後退距離をチェックしてくれる。分離した複数棟建ても防いでくれる。変な建物が建つ可能性が著しく低いのである。いきなり隣の樹木が切り払われてカラオケ・スナックや産業廃棄物処理場が出来たりすることもない。

同じ長野県諏訪郡原村の下の方になんとも素敵な森があるが、そこに有名な漫画家が赤と白の太いストライプの外観で山荘を建てた。この漫画家は東京の自宅も同様な外観で建て、近隣の顰蹙をかって話題になった。彼は彼の山荘が、周囲のすばらしい景観から恩恵を受けられると考えたから、そこに山荘を建てたのであろう。周囲が雑居ビルなら彼はそこに山荘を建てなかったはずだ。同時にそうであるとすれば彼は、自分の山荘も周囲の景観の一部であり、周囲の景観に大きな影響を与える一要素であるという単純な事実に思い至らねばならない。法律的に処罰されないなら何でも好きなことをして良いとは、なんとも未成熟な考え方である。

日本では自分だけが「山荘にふさわしい環境を保とう」と思っていても無理である。景観鈍感後進国なので、この漫画家のような人がいるし、行政もあっさりそれを許してしまう。どんどん周囲が無秩序、アンバランスに開発されてしまう。そうしたわけで、私は管理別荘地に山荘を建てた。
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4 コメント

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Unknown (のっぱらひろし)
2008-08-20 23:25:44
管理別荘地を選択する最大の理由は、書かれているとおりですね。
そこには基本的に別荘目的の家が建つ。建築規制されてるのがいいです。
また2~3区画に一軒程度しか建ってない。
つまり1000坪ぐらいの空間に一軒の家。
しかも森のなかです。
この環境は何よりも得がたいものです。
しかも一年を通して留守が大半なので管理してくれてるのも安心です。
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Unknown ()
2008-08-21 06:22:34
あの漫画家の件、難しい問題ですね。
どこまでが自由なのか、何が美しく、なにが全体バランスの基準なのか。
別荘地の中にあのような家はちょっと不釣り合いな感じがするけど、都心の住宅地で、あそこまで過剰反応するのはどうかなという気がしないでもありません。
返信する
Unknown (管理人)
2008-08-21 07:09:34
のっぱらひろしさん

おはようございます。
夏休みが終わりそう。毎年のことですが、
だんだん不機嫌になります。あああーー。
チェルトは巨大な別荘地ですが、古いところ
でも家が建っているところが少ないですねえ。
静かでいいです。同じ柳川地区でも上と下では
雰囲気もずいぶん違う。当然ながら流れ清水


今年の夏休みは、ララアユも喜んでいたこと
でしょう。短いながらも静かな滞在を満喫された
ようで良かったですね。
返信する
Unknown (管理人)
2008-08-21 07:25:36
舘さん、おはようございます。

残念ながら日本では都会も田舎も別荘地も絶望的で
すね。伝統的なスタイルで古い家々が並ぶ魅力的な
風景がほとんど存続していません。建築様式の断続
がここまで顕著な国も珍しいでしょう。これが歴史
的に連続していれば、自然に統一感も出ますが。

八ヶ岳からだと木曽の奈良井や妻籠等の家並みが
魅力的だと私は思います。建築外観の様式、高さ、
色彩、素材に一定の統一感があるからだと
思いますが、日本ではこうしたことは稀有ですね。

ところが日本以外の先進国では、都会でさえ、
先ほどの建築外観の様式、高さ、色彩、素材に
統一感が見られ、視覚的にも時間的にも連続する
町並みの美しさが楽しめます。日本だと
「自分の土地は何しても自由。看板自由、色彩自由、
建替えも好きに」となり、それを防ごうとすると、
役所が乗り出して新たな法律を作るしかない、となる。
じゃあ、役所のコントロールで美しい町並みを作れ
るかというと、ないよりはいいが、「数値で表せる
ものは規制可能」という程度でしょう。

結局、景観の公共性という概念が市民レベルで
根付かない限り、根本的な変化はちょっと無理な
ようです。ちょうど今南麓の造園家中谷さんの
「木漏れ日の庭で」という本を読んでいました。
彼も同じようなことを感じておられるのだなあと
思われる記述がありました。永遠の課題ですね。
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