「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

長期金利が上昇するとその後のことを想像しその想像がどんどん膨らんで株式市場は心配でいっぱいになる

2021-02-28 10:14:31 | モノ・お金
2月25日(木)の米国株式市場は久々の大幅下げ。

そうしたら翌26日(金)の日本では、日経平均が1,202円も下げてしまった(↓)。率としては米国よりもさらに大きい。



昨年2月以降の米国株式市場(ここでは代表的インデックスのS&P500)はご覧の通りだ(↓)。


【Source: S&P】

昨年2月から3月にかけてコロナ禍で先が見えなくなり急落したが、その後は大きく波を描きながらとにかく上昇し放題。

今年に入ってもそれは続いた。1月にちょっとした下げがあり2月に入ってからも変な雰囲気(↑のグラフの右端の丸で囲ったところ)が継続。それでも全体的には上げていて、今回下げたと言ってもねぇ、1年前の「コロナ暴落」の頃と比べたら遥かに高い水準での話。空中戦の様相で、いきなりもっと大きく急落してもおかしくないように見えるグラフだ。

拡大するとこんな感じだ。2/25(木)の下げが怖いね。でも、その前から相場つきはおかしかったとも言える。



2/25(木)の下げの理由として取りざたされたのは、長期金利の急騰である。

その直前に、FRB(米国中央銀行)議長のパウエルさんがいろいろと発言している。そのポイントは以下の通り:

● 長期金利の上昇は市場の経済回復への信頼の現れである
● しかし労働市場はコロナ禍以前に比べてまだまだ悪い
● 年率2%を上回る緩やかなインフレーションが望ましいが、現状は程遠い
● したがってFRBは今後も緩和的な政策を維持する

・・・と至極まともで抑制的なコメントだった。

私はまじめなパウエルさんのファンである。よくあのトランプ氏の筋違いな批判にも耐えて、辞任しなかったね。仮にトランプ氏に「辞任しろ!」と言われても、彼はそれを拒否して任期を全うすると、当時(2019年)証言している(↓)。



立派だ。

話が逸れた。元に戻そう。

パウエルさんは「経済はまだ良くなったわけじゃない」とし「だからFRBはそれに対応して、今後も緩和的金融政策を継続する」と言っているのだが、市場はさらにその遥か先を心配している。市場はいつも先読みなのだ。昨年来、経済実態は悪いのに期待だけでずっと株式は買われ、株式市場は活況を呈した。同時に債券市場ではその先の「将来あるかもしれない」というインフレーションまでもが読み込まれ、ずっと長期金利が上昇して来た。さらに最近では実質金利も上昇し始めたので、今は長期金利(=期待インフレ率 + 実質金利)が急騰している。そしてそれらを勝手に心配し、嫌気して株式市場は暗い雰囲気に陥った。実際にはパウエルさんが言う通り、労働市場の回復やインフレって、まだまだこの先遠い道のりだというのに。

しかし長期金利が斯様に上がるということは・・・

① FRBが量的緩和政策(国債やモーゲージ債等の債券を大量に購入し、おカネを市場にばら撒くこと)を抑え始めるかもしれない
② さらにFRBは政策目標の短期金利を引き上げ始めるかもしれない

という状態を債券市場がすでに長期金利に織り込んでいることを示し、もし①や②が現実になったら株式市場はかなり冷やされる・・・と連想ゲームで総悲観状態に株式市場が陥った2月第4週なのでした。市場って、観察対象としてはとても面白いよねぇ。

ここでは10年満期の米国債利回りを長期金利として掲げる。


【Source: FRB】

ご覧の通りだ。ピュンピュン上がる長期金利。

しかし先述の通り、経済実態はというと、まだまだ回復途上にある。それもかなりノロノロしたものだ。

非農業部門の雇用者数の前月比の増加ペースは、昨年春に比較するともはや止まったような状態である。


【Source: 米国労働省】

さらに消費者物価指数はというと、ご覧の通り(↓)である。


【Source: 米国労働省】

ここではよくニュースで見かけるコア(エネルギー、食品を除く)の指数ではなく、全部を含んだ総合指数で、かつ季節調整無しで単純に前年比の数値(%)を使った。

これを見る限り、現行のインフレ率も中央銀行が目標としている水準からはかなり低いのである。

それにもかかわらず、将来の経済回復の行き過ぎとインフレを織り込み、それゆえ中央銀行が引き締めに転じることを早くも心配する暗いムードが市場を覆ったというのが、今回のお話だ。

長期金利が急上昇し株価が下がるという出来事は、8年前(2013年)の春のバーナンキ・ショックを思い出させる。

その時バーナンキさん(パウエル氏の前任の前任)は、ただ「QE(量的緩和)政策を将来止めるかも」と言っただけだったが、市場は癇癪を起こし金利は上昇を続け、株式市場は1か月ほどの間乱高下しながら下げて行った。


【Source: S&P、FRB】

バーナンキさんの発言は2013年の5月22日のことだった。その前日の5/21には高値をつけていた株価が、その後6/24まで下げ続けているのが↑のグラフで確認できる。

しかしその後8年間の株価の推移でもわかるように、金利の上昇自体は経済が堅調であることの証左であり、通常株式市場は時間をかけてそれを消化し、さらに株価は上昇して行くことが多いのである。

しかしながら、今回はすでに株価の割高性を示す様々な指標が点滅中で、株価上昇もいつまで続くやら・・・。きっと春にはもっと大きな下げが一度やって来ると思うんだなぁ。

ジェームス・テーラー、あるいはキャロル・キングで聴きたい1曲。ここはキャロル・キングで♪



【2番、1:48あたりから】
If the sky above you
Grows dark and full of clouds
And that old north wind begins to blow
Keep your head together and call my name out loud

そろそろ大きな下げ相場が来るかもしれないと思う時期の市場関係者の心理みたいな歌詞だ(笑)。本来は友情賛歌なんだが。

がんばりましょう。
コメント (13)
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