ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

天狗の話 (14)

2005-11-21 09:00:15 | 四方山話
前回の末尾で、「狗賓」(普通、敬称をつけて狗賓様)は天狗の異名の一つ、
と書きました。
昔、深い山に入って山仕事をする人は天狗と出会う機会が多いので、天狗を
恐れ敬う気持ちは里人には想像できないほど強かったと思います。

山のなかで急に強風が吹く「天狗風」、大木の倒れる音が次第に近づいてくる
「天狗倒し」、大岩や大木を落とす音がする「天狗落とし」、あるいは天狗に
さらわれて高い木の天辺に吊される…など様々な伝承が各地に残されています。

 それほどでなくても、<北美濃郡上郡、武儀群、東美濃賀茂郡、恵那郡>
あたりでは、山仕事中の斧の頭がいつの間にか抜き取られている、ことが
あったといいます(想山著聞奇集)。
(図は同書から。右から二人目の髭を生やした人物の他は、すべて斧の頭が
なくなっています。)




これは山の神もしくは天狗の縄張りである聖なる区域へ、人間どもが入らない
ようにという警告でもあるのでしょう。
そんなことが起これば「齋(ものいみ)」をして山の神を祭って詫びを入れ、
あるいは事前に山神に供え物をしてから山の木を伐る習慣がありました。

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