じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

村上春樹「タクシーに乗った吸血鬼」

2022-08-13 20:04:45 | Weblog

★ ハードなウィークデイを過ごしていると、週末は何かボーっとしてしまう。高校野球をチラチラ見ながら、時にはうつらうつら。最近は手に汗握る投手戦というのが少ない。エラーが多いのはコロナ禍による練習不足のせいか。まぁ、どうでもいいようなことを考えながら、ぼんやりと眺めるのも時間の贅沢な使い方だ。

★ さて、今日は村上春樹さんの「カンガルー日和」(講談社文庫)から「眠い」と「タクシーに乗った吸血鬼」を読んだ。

★ 「眠い」はただただ人数合わせのために、彼女に頼まれて出席した結婚式の話。主人公はひたすら睡魔と戦う。ポタージュスープを飲んでは、スプーンを落としかけるし、牡蠣のグラタンやステーキを食べても睡魔は身体から離れない。エスプレッソを飲んで、いよいよお開きとなって、どうにか目が覚めてきたという話。

★ 他人の結婚式は確かに退屈だろうね。

★ 「タクシーに乗った吸血鬼」は、主人公がタクシーに乗って渋滞に巻き込まれたときのエピソード。数十センチ、数メートル刻みにしか前進せず、料金のカウントだけが無慈悲にもリズムを刻んでいる光景。主人公は少々エロい妄想を考えながら時間をつぶしていると、ふと運転手が語りかけてくる。

★ 「吸血鬼を信じますか」と。主人公が「信じない」と答えると、では「幽霊は信じるか」と問うてくる。「幽霊は信じる」と答えると、その違いを問われる主人公。何とか理屈を言ってその場を取り繕うが、そうすると運転手は自分は吸血鬼だと告白する。

★ 吸血鬼だと言われても怖くもなんともない。主人公はやがてタクシーを降りるが、何となく吸血鬼を信じているところが面白い。

★ この作品、ミュンヘン・オリンピックの時代の話題が入っている。1972年だったかな。このオリンピックでは悲惨なテロがあったなぁ。映画「ミュンヘン」を観た記憶がある。日本チームは男子バレーの金メダルが印象に残っている。「ミュンヘンへの道」というアニメもあった。

★ 吸血鬼が血を吸いたい女優、吸いたくない女優というのも興味深かった。吸血鬼の好みはどういうところだろうか。

★ ともかく軽いタッチの作品だった。携帯電話がない時代の「すれ違い」も懐かしい。

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