じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

太宰治「桜桃」

2018-05-01 18:26:05 | Weblog
☆ 太宰治「桜桃」(現代日本文学館「太宰治」文春文庫)を読んだ。

☆ 外面は道化を演じて場を盛り上げながら、内面は常に欲求不満を抱えている。そしてそんな自分に嫌気がしている。主人公の「太宰」という作家はそういう人物だ。

☆ 妻と3人の幼子がいる。食事時はまさに戦場。男は育児も家事もできず、いや、やろうとはせず、都合が悪くなると酒や女に逃げ場を求める。どうしようもない人間だ。妻はその間も「涙の谷」に汗をかいている。

☆ 自嘲ともとれるが、作品に救いを求めてるようにも思う。文章に殴りかかっているようなそんな荒々しい息遣いを感じる。

☆ 不味そうに桜桃を食べては種を吐く男。自分自身に自信を持てない男。大人になり切れない男。そして感受性が強く、正直な男。この男を救うには破滅しかなかったのだろうか。
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