じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

筒井康隆「家族八景」より

2023-08-29 14:58:47 | Weblog

★ 「文學界」6月号で、筒井康隆さんの「老耄よりの忠告」という文章を読んだ。88歳に達した著者が、自らの老齢の経験から読者諸氏へ送った「忠告」の書である。

★ 私など著者より20歳以上も若いのだが参考になった。何といっても筒井節の健在なのがうれしい。

★ そんなこんなで、今日は筒井康隆さんの「家族八景」(新潮文庫)から、「無風地帯」を読んだ。

★ 七瀬は18歳のかわいいお手伝いさんだ。彼女には人の心を読む能力がある。いや、望む望まざるに関わらず、他人の心の声が聞こえてくるのだ。(慣れたこととはいえ、結構辛そうだ)

★ 今回、七瀬が訪れたのは尾形家。会社の重役らしき父親と年の割に老けて見えるその妻。夜中まで遊んでいるドラ息子とドラ娘の4人家族。外から見ると裕福で仲が良い理想的な家族なのだが、彼らの心の中はグチャグチャ。家族を装っているだけの仮面家族だ。

★ テレパシー能力があるお手伝いさんという設定が面白い。

★ お手伝いさんが主人公なのは「家政婦は見た」や「家政婦のミタ」の原型か。テレパスが登場するのは「スパイ・ファミリー」のアーニャの原型か。

★ かわいいのに訳ありというのは、ずっと昔にテレビで見た「かわいい魔女ジニー」を思い出す。

★ ブラックユーモア満載だ。

コメント    この記事についてブログを書く
« 司馬遼太郎「忍者四貫目の死」 | トップ | 安倍公房「公然の秘密」 »

コメントを投稿